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2006年08月30日

レクストの新技術「NS441D」

前にレクストというメーカーのオーディオ・グッズのことを書きましたが、この度またまたレクストがやってくれました。
この「NS441D」と命名されたものはCDソフトの音質改善技術です。
具体的にはCDプレーヤーやDAコンバーターなどをレクストに送って改造してもらうことになります。

先日レクストさんに伺って、実際にNS441D化したCDプレーヤーで様々なソフトを聴かせて頂いたのですが、これはもう素晴らしかったの一言に尽きます。
アルバム“美しき日本の面影”も聴いてみたのですが、スタジオでミュージシャンやエンジニアの方々と一緒に作ったサウンドがほぼ忠実に再現され、まるでまさしが目の前で歌っている感じでした。
44.1kHz/16bitのマスターテープと同じ条件で聴いた訳ではありませんので、マスターテープの音と全く同じとは言い切れませんが、マスターテープの音に何歩も近づいたのは事実だと思います。これは驚異的なことでもあります。
レクストのスタッフの方々はNS441D化したプレーヤーの音質チェックの最終段階で、さだまさしのアルバム「とこしへ」の最後の曲「記憶」を使い、それが感動的に聞こえるかどうかを確認した上でユーザーに返送しているそうです。
僕も早速、自宅で使用しているユニバーサル・プレーヤーをNS441D化して頂きました。これでスタジオの感動が自宅でよみがえります。
興味がある方は下記のURLにアクセスしてください。
http://www.reqst.com/ns441d.html

2006年08月29日

佐田玲子アルバム・レコーディング4

昨日は佐田玲子のニュー・アルバムの歌を1曲レコーディングしました。

唱歌・童謡っぽい曲なのですが、思った通り、この手の曲は難しいものですね。
力の入れ具合、抜き具合、リズムのはめ方もジャストか、或いは意図的に少しずらすか、主人公の表情をどうとらえるか、などで、表情がころころ変化します。

玲子本人は15時にスタジオ入りし、歌い終わった後に、そのままエディット作業に突入。終了が23:30でした。

2006年08月26日

佐田玲子アルバム・レコーディング3

昨日(8/25)も都内某スタジオで、佐田玲子のアルバムのレコーディング。
白石幸一郎さんのアレンジ、ピアノ、シンセ、安田裕美さんのアコースティック・ギター、川嶋一久さんのベースで、2曲のオケ録り及び1曲のベースのダビングをやりました。15時スタートで、終了が午前1時前。
本当に皆さんに素晴らしい演奏をして頂いていて、順調にレコーディングが進行しており、この先も楽しみです。

オーソドックスな部分と多少アヴァンギャルドな部分とが同居している素敵なアルバムになりそうです。

2006年08月24日

最近聴いたCD 1

「有山麻衣子/幻のコンサート」
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1270807

個人的にはあまりクラシック系の声楽ものは好きではないのですが、オーディオ雑誌の影響で買って聴いてみました。
そして、このCDの主人公である、アマチュアのソプラノ歌手、有山麻衣子さんの声に感銘を受けました。
低音部は不安定かもしれませんが、大げさなヴィブラートをあまり好まない僕にとって、彼女のノンヴィブラートの高音は天使の歌声に聞こえました。
そして僕にとって何よりも重要なことですが、彼女の歌が「どう?私って凄いでしょう?」と言ってるようには聞こえないことです。音楽に対して愛情を持って、真摯に向き合っていると感じます。おそらく更に表現力が増すであろう数年後が楽しみです。

オーディオマニアの中で話題になっているDAコンバーター「DAC-1」を作ったインフラノイズがこのCDを制作したのですが、さすがの高音質でした。
これだけ純度の高い「声」のCDは、なかなか無いですし、オーディオマニアにとっても、音楽に癒しを求める人にとっても格好のCDかもしれません。

2006年08月23日

佐田玲子アルバム・レコーディング2

昨日は都内にある某スタジオで、ギタリストの安田裕美さんにアレンジをお願いしている2曲のテンポ確認、今後の方針を含めた、いくつかの打ち合わせ、そして2曲の歌入れをやりました。
会社で朝から仕事をし、スタジオに15時前に入り、出たのが23時少し前でした。
玲子本人にしても、朝からラジオの生放送がありましたから、大変だったでしょうね。
それにも関わらず、なかなか素晴らしい歌が録れたと思います。

夏休みも取れずにレコーディングの打ち合わせ、準備、各種調整、実際のスタジオ作業をやっていて、さすがにかなり疲労感があります。

2006年08月21日

さだまさしのCDは、音が小さいか? 後編

ダイナミックレンジという言葉があります。これは小さい音から大きい音までのレベル差を言います。

ダイナミックレンジが広い音楽と狭い音楽があります。クラシックの交響曲、管弦楽曲、協奏曲などはもの凄くダイナミックレンジが広い音楽です。逆にロックンロールは曲の最初から最後までほとんどレベルが一定の音楽ですので、ダイナミックレンジは狭いと言うことになります。どちらが音楽として優秀か、ではありません。念のため。

さだまさしの作品の中で、“風に立つライオン”はダイナミックレンジが最も広い曲のひとつです。冒頭の「突然の手紙には〜」や一番最後の「おめでとう、さよなら」の声の強さ(大きさ)と、最後の方で最も盛り上がっている「風に向かって立つライオンでありたい」の声の強さ(大きさ)は全くの別物であることがお分かりになると思います。

もしもっと大きな音のCDを望まれると、「風に向かって立つライオン〜」のところは最大レベルですから変えられませんが、「突然の手紙には〜」や「おめでとう、さよなら」の部分をミックスでもっと大きくすることになります(つまりダイナミックレンジを狭くする)。「おめでとう、さよなら」と「風に向かって立つライオン〜」では、歌詞の内容や歌の表現が異なります。実際、まさしは「風に向かって立つライオン〜」を叫ぶように歌い、「おめでとう、さよなら」をささやくように歌っています。これらがもし同じ音量で聞こえたら雰囲気もイメージも表現もぶちこわしになってしまいます。

ですから、ロックンロールっぽい音楽では全曲最大限のレベルに近いように出来ますが、表現や説得力が大事なバラードなどは、最大値は高いですが、小さいところは小さいことになります(さすがに小さすぎて聞き取りづらいようなところはミックスで上げていますが・・・)。

以上のことから、ご理解頂けると思いますが、さだまさしのCDは歪みのない音質の良さを保ちながらも、音楽表現、感情表現を大切にして、なおかつ極力聞こえづらいところがないように作っています。

2006年08月20日

さだまさしのCDは、音が小さいか? 前編

「さだまさしのCDは他の人のものと比べて、音が小さいのではないか?」と聞かれたことが何度かありました。
まさしからも聞かれたことがあります(彼は知人から言われたそうです)。
疑問にお思いの方もあるかもしれませんので、ここで説明することにします。

CDは物理的に入れられる音の最大値が決まっていて、これを超えると音が歪んでしまいます(CDだけでなく録音のメディアは何でもそうです)。
レコード業界では特に近年、レベル競争になっていて、歪みもいとわずに高く入れる傾向があります。
これには理由があって、歪んでいてもより大きな音にすれば、ラジオなどでオン・エアーされた時に、他人のCDよりも大きな音で流れるため、リスナーにインパクトを与えやすいからです。
つまり売れることが最優先な訳です。レコード業界といえどもビジネスですから、売るためにやっている訳で、その意味では正しいことだと思います。
しかし、歪んでいる音は美しくはありませんし(エレクトリック・ギターのディストーションやオーヴァードライヴは別物ですが)、歪んでいたってどうせリスナーには分からないだろう、というのは思い上がりのように思います。
それに、歪みが原因のクレームもあり得ますし、酷ければ返品の対象にもなります。
さだまさしのCDでは、曲の中で一番音が大きいところを歪まない範囲の最大値に設定していますので、物理的に小さいということはありません。

2006年08月19日

影響を受けたCD その4

「影響を受けたCD」としてポップス、ジャズ、ロックのアルバムを書いてきたので、今回はクラシックに。

僕は「幻想」と「第九」オタクです。この「幻想」とは、あの服部克久さん、隆之さん親子のパリ音楽院に於ける大先輩にあたる、ヘクトール・ベルリオーズ作曲の「幻想交響曲」のことです。
これまで様々な指揮者、オーケストラのものを聴いてきました。
名盤とされているシャルル・ミュンシュとパリ管弦楽団のもの、ミュンシュとボストン交響楽団のもの、最近だと、話題のゲルギエフとウィーン・フィルのもの、等々。

スクロヴァチェフスキ&ザールブリュッケン放送響/幻想交響曲
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1945055
おどろおどろしい演奏の幻想交響曲が多い中で、これは美しい美しい幻想交響曲です。録音もなかなか良いです。

作曲者のベルリオーズはパリ音楽院に在学中、ベートーヴェンの交響曲を全曲聴き、イギリスからやって来た劇団が演じるシェークスピアを観たらしい。それぞれにとてつもないインパクトを彼に与えたようだ。シェークスピアの主演女優であるハリエット・スミスソンに激しい恋心を抱き、その恋が実らなかったことにより、この「幻想交響曲」は作曲された(何年か後に彼の思いは実を結び、その二人は結婚するが、結局は破局するに至ったようです)。そして、ベートーヴェンの「交響曲第9番」よりわずか10年ほど後に発表された。

ベルリオーズはオーケストレーション(管弦楽法)の天才と呼ばれ、管弦楽法の著書も著している。イデーフィクス(彼が初めて使った手法の名で、スミスソンを象徴する主題が様々に変容しながら全楽章に循環する。固定楽想と訳される。これが後にワーグナーによってライト・モティーフになると言われている)の取り入れ、斬新な楽器の使い方(コル・レーニョ→弦楽器の奏法のひとつで、弓の木の部分で弦を打つ)、それまでオーケストラでは使ったことのなかった楽器も大胆に、この「幻想交響曲」に取り入れている。
まさに天才の作品だと思います。

2006年08月17日

影響を受けたCD その3

洋楽のロックの中にも様々な細かいジャンルが存在します。
その中に「プログレッシヴ・ロック」(日本では、略してプログレと呼んでいます)があります。
古くはシンフォニック・ロックとジャズ・ロックが融合したもの、とでも言えそうですが、その後は、前衛を含めて呼ぶこともあるようです。

プログレには僕の好むほとんど全ての音楽が入っています。クラシック、ジャズ、フォークを含めたロック。
このプログレの最初期のものに、キング・クリムゾンのデビュー・アルバム“クリムゾン・キングの宮殿”があります。
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1411379

何度聴いても飽きない。退廃と幻想、生と死など様々なものが詰まっていて、当時から文学性の高いアルバムとして評価されていました。曲順も完璧で、特にM2の“風に語りて”からM3の“エピタフ”への流れが最高。“エピタフ”のイントロが出てきた時には、何度聴いても鳥肌が立ってしまいます。
僕はさだまさしの“飛梅”や“まほろば”など、マイナー曲で、ドラマ性があり、ダイナミックレンジが広い(音の強弱の幅が広い)ものを“ドラマティック・マイナー”と呼んでいますが、この“エピタフ”こそが僕にとって“ドラマティック・マイナー”の原点なのです。

全篇に渡って高い集中力が維持されている。こんな完璧なデビュー・アルバムなんて、これ以外に聴いたことがありません。
発表された当時(1969年)、彼らキング・クリムゾンのメンバー達は二十歳そこそこだったはずですが、このほとんど完成されたテクニック、アイデア、音楽性などに打ちのめされます。

2006年08月16日

佐田玲子アルバム・レコーディング1

佐田玲子のアルバムのレコーディングが始まりました。
9月末の完成に向けて、今後毎日ではありませんがスタジオ作業が続きます。
ここ数日はレコーディングの準備に大わらわで、今日も次に向けての作業をやっています。

尚、アルバム・タイトル、発売日などが正式に決まってないために、まだ詳細を書くことが出来ません。

8/15は2曲のオケ部分のみをやりました。

白石幸一郎さんのアレンジ、エレクトリック・ピアノ、安田裕美さんのアコースティック・ギター、ナッシュビル・チューニングのギター、ストリングス・カルテット(1stヴァイオリン:友永優子さん、2ndヴァイオリン:升本理央さん、ヴィオラ:成谷仁志さん、チェロ:林詩乃さん)でした。
皆さんに素敵な演奏をして頂きました。
良い感じで発進出来て本当に良かったです。

2006年08月14日

アルバム「美しき日本の面影」について その3(最終回)

これまで同様、まだ内容的なことをお知りになりたくない方は、お読みにならないでください。

9、大晦日(おおつごもり)
日本人にとって大晦日と元旦はとても大事な日。リセットが許される唯一の日が大晦日かもしれません。そして、元旦には思いを新たにして、誓いを立てることでしょう。
ホームパーティのような楽しさを盛り込みたいとまさしから希望が出され、そういうコンセプトのアレンジ、編成でレコーディングを進めました。
倉田信雄さんのアレンジとシンセサイザー、石川さんのアコースティック・ギターとマンドリン、田代さんも同様、岡沢さんのベース、伊藤史朗さん(グレープ・ラスト・コンサートのドラムスもこの方)のドラムス、川瀬さんのパーカッション、堀沢真己さんのチェロ、森本さんのシンセサイザー・プログラミング、MCキッズという10人の子供コーラス、おおつごもり混声合唱団のコーラス、という編成でした。
この「おおつごもり混声合唱団」は、たまたまその場に居合わせた人たちで臨時に結成したもの(結成と言うほど大げさなものではありませんが)で命名したのはまさし。メンバーは確か、レコーディングでいつもスタジオ・ミュージシャンのブッキングをしてもらっているフェイス・ミュージックの関谷さん(女性)と根本さん(女性)、シンセサイザー・プログラミングの森本さん、FOAレコードの水落さん、マネージャーの廣田、石井、そして僕でした。エンディングには何種類ものSEを入れることになっていたのですが、最終的には鐘の音だけを入れることになりました。楽しいホームパーティのようなイメージになったでしょうか?

10、天然色の化石2006(てんねんしょくのかせき2006)
この曲は勿論、1990年にリリースした“夢回帰線Ⅱ”に入れた“天然色の化石”です。
3333回のコンサートで、まさしがこの曲をギター弾き語りでやって、各方面から好評を戴きました。その中で、アレンジャーの渡辺さんは、「この曲を是非フルオケでやってみたい」と。
そして、今年のまさしんぐWORLD発足30周年のコンサートで、横浜アリーナでは渡辺さんのアレンジ・指揮、東京ニューシティ管弦楽団、倉田さん、石川さん、宅間さんとでやりました。このフルオケ・ヴァージョンを“天然色の化石2006”と呼んでいます。
このアルバムでは、そのヴァージョンから、アコースティック・ギターと宅間さんがやったパーカッション・パートを抜いたものをやっています。
レコーディング・メンバーは、指揮の渡辺さん、ピアノの紺野さん、ハープの朝川朋之さん、クラシック・パーカッションの高田みどりさん、木管楽器・金管楽器の皆さん、そして篠崎ストリングスでした。
想像した通り、ミックス・ダウンに一番時間がかかった曲で、完璧な楽器バランスを実現させることは当然のことですが、同時に暖かさ、冷たさ、緊張感、空気感など実に様々なものを盛り込むイメージでやっています。

11、サクラサク
もうすぐ来る春を待つ冬の歌です。
まさし自身のアコースティック・ギターとメロディを含めた一人3声コーラス(それぞれをダブルで、つまり2回ずつ重ねているので6人分の声)でやっています。こちらのコーラスはまさし自身のヘッド・アレンジです。
このギターは簡単そうでいて、歌いながら弾くのは結構大変そうですが、きまったらカッコイイでしょうね。
このアルバムで一人多重コーラスを使ったのは、“桜桃”と、この“サクラサク”ですが、ミックス・ダウンで前者を暖かく柔らかいイメージにしたのに対して、こちらは冬の歌ですので、透明感や澄んだ空気感を出すイメージでやりました。

12、桜人 〜終章 しづ心なく〜(さくらびと 〜しゅうしょう しづこころなく〜)
1曲目とメロディとアレンジ・コンセプトは同じですが、歌詞、サイズ、演奏、歌などは異なるものです。
こちらの終章の方では、紀友則と西行の歌を使っています。
編成はこちらも、まさし自身のアコースティック・ギター、ナッシュビル・チューニングのギター、それに渡辺さんアレンジ・指揮による篠崎ストリングスです。
ミックスで、こちらも「はらり〜」、「ゆらり〜」のところで同じ処理をしていますが、こちらの方が多少エフェクト成分が強いと思います。また、序章と比べると若干ナッシュビル・チューニングのギターのバランスが大きいこともあり、全体的により幻想的に聞こえるはずです。

尚、この3日間で“美しき日本の面影”について書いた文の中で、ベイシック・トラックのアレンジ表記がない場合は、さだまさし本人のアレンジです。
また、通常の曲作りではメロディを先に書いて、それに歌詞をパズルのように当てはめてゆくのですが(つまり曲先)、今回のアルバムは基本的に詞先だったことも書き添えておきます。

2006年08月13日

アルバム「美しき日本の面影」について その2

アルバムの内容について現時点で知りたくない方は、絶対にお読みにならないでください。宜しくお願い致します。

5、向日葵の影(ひまわりのかげ)
この曲を作った背景も、まさしのライナーノートでお読みください。
僕にとってグレープのイメージの一部、さだまさしのイメージの一部は、まさしの弾くロー・ポジションのDm(ディーマイナー)というコードの響きそのものなんです(これはギターを弾く方にはお分かり頂けると思います)。このDmというコードは“精霊流し”や、カポタストを付けての“無縁坂”(まさしがギターを弾く場合のみ)、ソロになってからは“風の篝火”などで使っています。もの悲しくて、儚げで、低音を4弦で弾くため弱々しくて、繊細な音です。
この“向日葵の影”(の歌詞やメロディそのもの)をまさしが作る時に、歌詞のテーマを聞かされた後、「キーは何にしたらいいと思う?」と聞かれたので、迷わずDmにして欲しいと頼みました。この曲は“精霊流し2006”だからです。
歌詞は、五七五七七の歌11首のみで出来ていて絶品です。こういうものは、さだまさしの独壇場であり、印籠だと思います。
まさしの歌、アコースティック・ギター、ソロ・ヴァイオリン、吉田政美さんのアコースティック・ギター、そしてこれも渡辺俊幸さんアレンジによる篠崎正嗣ストリングスという編成です。吉田政美さんの間奏のソロも絶品。
ミックスでも、この曲の世界をサポートするべく、空気感や温度感にも注意を払いました。

6、鉢植えの子供(はちうえのこども)
実は、この曲は昨年のアルバム用に作ったものです。アルバム“とこしへ”に“MOTTAINAI”という曲はどうしても入れたいけれど、メッセージ・ソングをあまり多くしたくはない、という理由で、昨年レコーディングしていたこの曲をストックすることにしました。今回、間奏のギターをやり直し、歌詞も手直しして、歌も歌い直して復活させました。
まさしの歌、アコースティック・ギター、渡辺さんアレンジによる篠崎ストリングスという編成です。
オケのほとんどを昨年録った訳ですから、ミックスの時に、その他の曲と音質が合うかどうか怖れていたのですが、鈴木智雄さんやマスタリング・エンジニアの酒サケさんが見事に音質を揃えてくれました。

7、悲しい螺旋(かなしいらせん)
これもまさしのライナーノートをお読みください。少しだけ種を明かせば、1000年以上前のある歌が、この歌の下敷きになっていて、恋愛における心の距離感を歌っています。
楽器編成は、石川鷹彦さんのアコースティック・ギターと12弦ギター、田代耕一郞さんのアコースティック・ギター、松原正樹さんのエレクトリック・ギター(ソロを含む)、紺野紗衣さんのピアノ、岡沢章さんのベース、島村英二さんのドラムス、川瀬さんのパーカッション、篠崎ストリングス、アレンジと指揮は渡辺さん。
切なさ、哀しさ、美しさ、かっこよさ、高揚感などが同居した曲です。

8、愛の音(あいのおと)
このアルバムは春で始まり、次の春で終わっています。この曲の風景は冬。もう終盤にさしかかりました。
風景は冬なのに心は暖かいとしたら、何故でしょう。僕はこういう世界観がとても好きです。
純粋な歌詞と童謡・唱歌のような比較的単純で美しいメロディ。
紺野さんのピアノ、篠崎ストリングス、アレンジと指揮は渡辺さん。
このアルバムだけでなく、僕のテーマはこの仕事を始めた時から、空気感、温度感、季節感、色合いなどを出すこと。特にこのアルバムでは、コンセプトからして季節感を出すことがとても大切でした。
この曲は、窓外の凍てつく寒さと、部屋の中の暖炉のような暖かさの両方のイメージを出そうと努力しました。ミックスでは鈴木さん、マスタリングでは酒サケさんの協力も絶対条件でした。

2006年08月12日

アルバム「美しき日本の面影」について その1

いよいよアルバム“美しき日本の面影”の発売一月前になりましたので、3回に分けて僕の視点で少し書いてみることにしました。
アルバムの内容について現時点で知りたくない方は、絶対にお読みにならないでください。宜しくお願い致します。

1.桜人 〜序章 春の夜の月〜(さくらびと 〜じょしょう はるのよのつき〜)
九条藤原良経、藤原俊成女、大伴池主、菅原道真による4首の和歌をコラージュのように使い、前後に書き加えることで1曲の作品になるように構成したもの。
楽器編成は、まさしのアコースティック・ギター、ナッシュビル・チューニング(1、2弦は通常通り、3〜6弦をオクターブ高くしたもので、キラキラしたイメージの音になる)のギター、そして篠崎正嗣ストリングス。渡辺俊幸さんに映画音楽の1シーンのような弦を書いてもらいました。
歌詞の最後に、桜の花びらをイメージさせるような「はらり〜」、「ゆらり〜」というフレーズがあって、それを、秒速50cmで桜の花びらが舞うようなイメージをミックスで作ったつもりです。

2.桜桃(さくらんぼ)
恋人の女性を穏やかに優しく励ます歌詞。まさし自身のアコースティック・ギターとメロディを含めた4声コーラス(それぞれをダブルで録っていますので8人分の声)、川瀬正人さんのタンバリン、渡辺さんアレンジによる篠崎ストリングス、そしてシンセサイザーは森本康史さんに音を作ってもらい、僕が弾きました。
今回は、まさしの一人多重コーラスを2曲やっていて、こちらの方は僕のコーラス・アレンジ。
ミックスで、こちらは春〜初夏らしく暖かくて柔らかいイメージにしました。

3.さよなら橋(さよならばし)
グレープの二人とパーカッションの川瀬さんでやっています(一部を除く)。
グレープの二人の仮ギター、仮歌と、森本さんにシンセサイザーでパーカッションの音を何種類か作ってもらい、こちらで指定するパターンで打ち込んでもらったものを入れた状態で、「まさしんぐWORLD」コンサートに突入しました。そこではグレープの二人だけで生で披露することになりました。
まさしの10日ほどのオフの後、サイズが変更になったため、コンピューター上でサイズを編集しました。最近では、テープ・レコーダーではなく、コンピューターのMacとPro Toolsというソフトを使って、ハードディスクにレコーディングしているので、こういう編集が可能になりました。
編集した後、二人のギターや歌を本番のものに差し替え、パーカッションの大半も川瀬さんによる生のものに差し替えました。物凄く低い音のパーカッションのみシンセサイザーで作ったものをそのまま残してあります。

4.献灯会(けんとうえ)
この曲を作った背景は、まさしがライナーノートに書いていますので、そちらをお読みください。
曲調も、アレンジも、歌い方も民謡をイメージしたものになっています。
まさしの歌とアコースティック・ギター、グレープの吉田政美さんのアコースティック・ギター、パーカッションは“さよなら橋”と同様で川瀬さんの生音と森本さんに作ってもらったシンセ音の混合という編成です。
後日、撮影チームが、この曲の舞台になったお寺に撮影に伺い、出来上がった写真を見せてもらいましたが、幻想的で素敵なものでした。

2006年08月11日

「シングル・コレクション」について その10(最終回)

“名刺”も2ヴァージョン存在します。

アルバム“さよならにっぽん”のレコーディング中、“名刺”のベーシック・トラック(リズム隊とも言います)を録り終わり、ダビングに入った時、ギター・ソロをエレクトリック・ギターでやるか、アコースティック・ギターでやるか、アレンジャーの渡辺俊幸さんと一緒に悩みました。

インパクトではエレクトリック・ギター・ソロだし、個性ではアコースティック・ギター・ソロ。ソロを弾くギタリストは両テイクとも松原正樹さんでした。
結局、両方とも録り、両方ともミックスをすることにしました。

それで、最終的にアルバムはアコースティック・ギター・ソロのヴァージョン、シングルはエレクトリック・ギター・ソロのヴァージョンにしました。
ですから、歌は両ヴァージョンとも同じものですが、ソロ楽器とミックスが異なります。

ちなみに、この“さよならにっぽん”のミックスが終了し、スタッフに渡すためのコピーを、そのアルバムのアシスタント・エンジニアの徳永 宏さん(現在、「彩風」のチーフ・エンジニア)のアシスタントだった中島クン(当時20歳位?)に頼んだのですが、その若い彼がボロボロ涙をこぼしながらコピーしていました。“銀杏散りやまず”や“兵士の手紙ときよしこの夜”に泣かされたようでした。この光景が今でも目の奥に焼き付いています。

この何日間かで、同じ曲が2ヴァージョン(テイク)あり、どちらかがこの「シングル・コレクション」に収録されている曲について書いてきましたが、これで全てです。

2006年08月10日

“美しき日本の面影”打ち上げ

今夜は“美しき日本の面影”のレコーディング・スタッフの打ち上げでした。
もう何年も都内にある某焼き肉屋さんでやっています。

参加者は、エンジニアの鈴木智雄さん、マスタリング・エンジニアの酒サケさん、某スタジオのエンジニアの益子信重さん、同じく某スタジオの営業のOさん、そして僕の5人でした。
この焼き肉屋さんは僕にとっては鈴木智雄さんの紹介だったのですが、業界では有名な焼き肉屋さんで、繁理社長やマネージャーの廣田も時々利用しているようです。智雄さん、ご馳走様でした。

今後のレコーディングをどうするか、スタジオはどう対応するべきか、など、建設的な意見が飛び交い、次に向けて今夜発進したような感じです。このチームはホントにみんな真面目というか、仕事熱心ですね。

「シングル・コレクション」について その9

“あなた三昧”も2ヴァージョン存在します。
最初のものは、このアルバムに収録されているシングル・ヴァージョン。
もうひとつは、アルバム“ほのぼの”に収録しているヴァージョン。

社会情勢の変化のためか1990年代初頭は単身赴任が多かったようで(統計を取った訳ではありませんが…)、そのような方々に元気になって欲しくて、単身赴任の夫婦をテーマにした曲をまさしに作ってもらいました。また、このシングル・ヴァージョンは常盤薬品工業「パスビタンD」のCMソングになりました。

その後、アルバム“ほのぼの”を作る時には、アレンジャーは同じ石川鷹彦さんですが、リズム隊が入ってポップなシングル・ヴァージョンとは異なり、ガット・ギター、マンドリン、シンセによるシンプルなものにしてもらいました。こちらの方がサウンドが地味なだけに、より歌詞が染みるかもしれませんが、ポップなシングル・ヴァージョンも出来が良く、捨てがたいものがあります。

2006年08月08日

「シングル・コレクション」について その8

“デイジー”も2ヴァージョン存在します。
大原麗子さんが主演されたTBS系TVドラマ「親子万才」のテーマ曲を依頼されました。
その曲が“春女苑”です。同時に“デイジー”も作り、レコーディングしました。

このシングルはアレンジを服部克久さんにお願いしました。レコーディング時のキーボーディストは、あの「クラフト」のサポート・メンバーだった山田秀俊さん。彼に“デイジー”のピアノを、デヴィッド・フォスター風にアコースティック・ピアノとエレクトリック・ピアノのユニゾンで弾いてもらいました。

後に、“夢ばかりみていた”というアルバムを作る時に、この“デイジー”をもう一度レコーディングすることになり、アレンジは渡辺俊幸さんに依頼しました。

ちなみに、このシングル・コレクションに収録されているテイクは、バックの楽器で16分音符がハネてますが、アルバム“夢ばかりみていた”のテイクは16分音符がハネないようにやりました。

2006年08月07日

2006 夏 長崎から Final

20年間 本当に本当にありがとうございました。
延べ50万人のお客様、出演者、スタッフ、協賛してくださった企業、団体、そしてボランティアの皆様に、関係者のひとりとして感謝してもしきれないと思います。
僕たち関係者もお客様から勇気や感動を戴きました。

「思う」、「願う」、「祈る」という行為が、きっと「心の平穏」、「精神の豊かさ」、そして「人や自然を愛する」ということにつながっていくのでしょうね。
ひとりひとりが前後左右の隣人を愛せば、この世から悲しみも憎しみも消えるかもしれません。
様々なものを乗り越えて、みんなが笑顔でありますように。
ありがとうございました。

2006年08月04日

「シングル・コレクション」について その7

“夢”
この曲も2ヴァージョンあります。
最初はシングル“軽井沢ホテル”のカップリング曲として使ったもの。
そして、アルバム“Advantage”に収録したもの、です。

この2ヴァージョンは、アレンジ、バックの演奏は全く同じものです。
シングルを発売した後に、アルバムのレコーディングをしました。
アルバムのコンセプトとして、“軽井沢ホテル”、“夢”が必要になったので、アルバムにも収録することにしたのですが、アルバムのレコーディングの時に、“夢”だけはまさしの希望により歌をやり直しました。
ですから、“夢”は歌とミックスの異なるものが存在することになります。

演奏も歌も全てバラバラに録る、というマルチ・トラック・レコーディングを採用すると、歌や演奏などをレコーディング場所や日にちをかえて、何度でもやり直しが出来、よりクオリティの高いものを作り出せる可能性が飛躍的に高まります。しかしその分、制作費は跳ね上がることになります。

2006年08月02日

「シングル・コレクション」について その6

“椎の実のママへ”も2ヴァージョンあります。
最初のものはシングル“親父の一番長い日”のカップリング曲として使用したもの。
もうひとつはアルバム“小説「精霊流し」の世界”に使用したもの。

最初のヴァージョンは1979年に発表しました。
このヴァージョンの歌詞に「大使館」とあるのですが、後日「領事館」が正しいということが判明しました。
そのため、アルバム“小説「精霊流し」の世界”では、20年以上前にやったバックの演奏は全てそのまま使い、「大使館」を「領事館」に変更し、その他の台詞の部分にも手を加えて歌い直しました。
結果的に、より説得力が増したと思います。
ですから、“椎の実のママへ”は、歌詞、台詞、歌、ミックスが異なるヴァージョンがあることになり、このシングル・コレクションには1979年の最初のテイクを収録しています。

2006年08月01日

「シングル・コレクション」について その5

“ヨシムラ”は2ヴァージョンあり、ひとつはアルバム“家族の肖像”に収録したもの、そしてもうひとつはシングル“奇跡 〜大きな愛のように〜”のカップリングにしたヴァージョンです。

この2つの“ヨシムラ”は、どちらもまさしの歌と石川鷹彦さんのギター1本だけでやっていますが、前者と後者で同じものは、まさしの歌だけです。
これら2ヴァージョンのレコーディングは、まず最初に石川さんの普通のアコースティック・ギターを録り、次にレゾネーター・ギター(ギターの音色にバンジョーの音色を加えたような感じです)を録り、後日、まさしの歌を録りました。
当然、ミックス・ダウンは2つとも別々にやりました。

その時には“奇跡”が、トヨタ ニューカローラのCMソングに決定していましたので、そのカップリング曲をどうするか検討していました。
それで、レゾネーター・ギターを使ったヴァージョンをアルバムに使い、普通のギターを使ったヴァージョンを“奇跡”のカップリング曲として使うことにしました。