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アルバム「美しき日本の面影」について その2

アルバムの内容について現時点で知りたくない方は、絶対にお読みにならないでください。宜しくお願い致します。

5、向日葵の影(ひまわりのかげ)
この曲を作った背景も、まさしのライナーノートでお読みください。
僕にとってグレープのイメージの一部、さだまさしのイメージの一部は、まさしの弾くロー・ポジションのDm(ディーマイナー)というコードの響きそのものなんです(これはギターを弾く方にはお分かり頂けると思います)。このDmというコードは“精霊流し”や、カポタストを付けての“無縁坂”(まさしがギターを弾く場合のみ)、ソロになってからは“風の篝火”などで使っています。もの悲しくて、儚げで、低音を4弦で弾くため弱々しくて、繊細な音です。
この“向日葵の影”(の歌詞やメロディそのもの)をまさしが作る時に、歌詞のテーマを聞かされた後、「キーは何にしたらいいと思う?」と聞かれたので、迷わずDmにして欲しいと頼みました。この曲は“精霊流し2006”だからです。
歌詞は、五七五七七の歌11首のみで出来ていて絶品です。こういうものは、さだまさしの独壇場であり、印籠だと思います。
まさしの歌、アコースティック・ギター、ソロ・ヴァイオリン、吉田政美さんのアコースティック・ギター、そしてこれも渡辺俊幸さんアレンジによる篠崎正嗣ストリングスという編成です。吉田政美さんの間奏のソロも絶品。
ミックスでも、この曲の世界をサポートするべく、空気感や温度感にも注意を払いました。

6、鉢植えの子供(はちうえのこども)
実は、この曲は昨年のアルバム用に作ったものです。アルバム“とこしへ”に“MOTTAINAI”という曲はどうしても入れたいけれど、メッセージ・ソングをあまり多くしたくはない、という理由で、昨年レコーディングしていたこの曲をストックすることにしました。今回、間奏のギターをやり直し、歌詞も手直しして、歌も歌い直して復活させました。
まさしの歌、アコースティック・ギター、渡辺さんアレンジによる篠崎ストリングスという編成です。
オケのほとんどを昨年録った訳ですから、ミックスの時に、その他の曲と音質が合うかどうか怖れていたのですが、鈴木智雄さんやマスタリング・エンジニアの酒サケさんが見事に音質を揃えてくれました。

7、悲しい螺旋(かなしいらせん)
これもまさしのライナーノートをお読みください。少しだけ種を明かせば、1000年以上前のある歌が、この歌の下敷きになっていて、恋愛における心の距離感を歌っています。
楽器編成は、石川鷹彦さんのアコースティック・ギターと12弦ギター、田代耕一郞さんのアコースティック・ギター、松原正樹さんのエレクトリック・ギター(ソロを含む)、紺野紗衣さんのピアノ、岡沢章さんのベース、島村英二さんのドラムス、川瀬さんのパーカッション、篠崎ストリングス、アレンジと指揮は渡辺さん。
切なさ、哀しさ、美しさ、かっこよさ、高揚感などが同居した曲です。

8、愛の音(あいのおと)
このアルバムは春で始まり、次の春で終わっています。この曲の風景は冬。もう終盤にさしかかりました。
風景は冬なのに心は暖かいとしたら、何故でしょう。僕はこういう世界観がとても好きです。
純粋な歌詞と童謡・唱歌のような比較的単純で美しいメロディ。
紺野さんのピアノ、篠崎ストリングス、アレンジと指揮は渡辺さん。
このアルバムだけでなく、僕のテーマはこの仕事を始めた時から、空気感、温度感、季節感、色合いなどを出すこと。特にこのアルバムでは、コンセプトからして季節感を出すことがとても大切でした。
この曲は、窓外の凍てつく寒さと、部屋の中の暖炉のような暖かさの両方のイメージを出そうと努力しました。ミックスでは鈴木さん、マスタリングでは酒サケさんの協力も絶対条件でした。

コメント

すぐにふりがなをつけていただいて,ありがとうございます。
ネットでCDを予約してあるので,発売日が楽しみだったのですが,アルバム内容をこちらで読ませていただいて,その楽しみがずいぶんと大きくふくらみました。
メッセージ・ソング(=鉢植えの子ども)はその中でも特に楽しみにしています。

八野さん、いつも楽しく拝見しています。
さださんの作品はどれも好きなのですが、特に歌詞の内容の濃さとアレンジの絶妙なフィット感にいつも惹かれています。
八野さんのブログを読むと、やはり実に細やかかつ深い思いで作品作りが薦められているのだということがよく分かりますね。みなさんのそういうお仕事の結晶がアルバムになってるってことがよくわかります。

Dm…「精霊流し」「風の篝火」…なるほど!「向日葵の影」の世界を垣間見た気がします。楽しみだなあ。
前にもコメントに書いたのですが、私はE♭~F調(カポしてCのアコギでプレイする)「理不尽」「前夜」「空缶と白鷺」「聖域」「神の恵み」などのメッセージソングが大好きなんです。「鉢植えの子供」は何調なのかなあ…上の一連の流れをくむ作品だといいのになあ。私もkikakuさんと同様、この曲が今からとても楽しみです。
「悲しい螺旋」時を超えた歌と心のつながりという深さが楽しみです。そして石川鷹彦さんのギターワークに田代さん、松原さん…って豪華!読んでるだけでもワクワクしてしまいました。全編を通しての渡辺俊幸さんのストリングスアレンジ。彼はまさしさんを知り尽くしていて、特にストリングスアレンジは絶品っていつも思っています。
CD発売が待ち遠しい今日この頃です。

八野さん、その2も、ワクワクドキドキしながら読みました。ありがとうございます。

桜人に続き、「向日葵の影」も五七五七七の歌11首でできているとは、どんななのでしょうか?とても、興味深く、待ちます。

「鉢植えの子供」という、メッセージ・ソング、ストリングスの曲は、どんなかなぁ、そして、込められたメッセージは・・・?

「悲しい螺旋」の1000年以上前の歌って、何かしら??

楽しみが、日々ふくらみます。その3も、読むのが待ち遠しいです。

kikakuさん、Jun.さん、こんにちは。

“鉢植えの子供”は、残念ながら3〜5カポのプレイCのパターンではありません。プレイGのパターンです(実際のキーもG)が、途中で部分的にCに転調して、またすぐに元のGに戻っています。この転調の感覚は“たいせつなひと”の部分的な転調と同じものです。これらはピボットコードを使った転調なのですが、興味のある方は音楽の理論書などを参照してください。

“精霊流し”はキーがDmで12/8拍子、“風の篝火”はキーがDmで3フィンガーですが、“向日葵の影”はキーがDmで4拍子のアルペジオです。

八野さん、丁寧なコメントありがとうございます。

そうでしたか、「鉢植えの子供」は3〜5カポのプレイCのパターンじゃないんですね。ちょっと雰囲気はちがってくるかな。でもアレンジ構成は私の好きなアコギ+ストリングスという構成だし、親を中心とした大人と子どものありようについてのメッセージソングだと思うので、いずれにしても楽しみです。ピボットコードによる転調…勉強になりました。
ところで「精霊流し」は最初C#mで後半D#mに転調しますよね。これを中間調のDmとしてとらえるわけなのでしょうか。もちろん、さださんにおけるDmについて、八野さんの言わんとしていることは分かってるつもりですので。
他のミュージシャンでいうと、伊勢正三さんにおけるGmもそうだなって思ったりしていました。

こういう作品の背景にあるお話、本当に興味深いし、作品を聴くときにまた深く聴けるんじゃないかと思います。忙しい中、貴重な情報、本当にありがとうございます。

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