« アルバム「美しき日本の面影」について その2 | メイン | 佐田玲子アルバム・レコーディング1 »

アルバム「美しき日本の面影」について その3(最終回)

これまで同様、まだ内容的なことをお知りになりたくない方は、お読みにならないでください。

9、大晦日(おおつごもり)
日本人にとって大晦日と元旦はとても大事な日。リセットが許される唯一の日が大晦日かもしれません。そして、元旦には思いを新たにして、誓いを立てることでしょう。
ホームパーティのような楽しさを盛り込みたいとまさしから希望が出され、そういうコンセプトのアレンジ、編成でレコーディングを進めました。
倉田信雄さんのアレンジとシンセサイザー、石川さんのアコースティック・ギターとマンドリン、田代さんも同様、岡沢さんのベース、伊藤史朗さん(グレープ・ラスト・コンサートのドラムスもこの方)のドラムス、川瀬さんのパーカッション、堀沢真己さんのチェロ、森本さんのシンセサイザー・プログラミング、MCキッズという10人の子供コーラス、おおつごもり混声合唱団のコーラス、という編成でした。
この「おおつごもり混声合唱団」は、たまたまその場に居合わせた人たちで臨時に結成したもの(結成と言うほど大げさなものではありませんが)で命名したのはまさし。メンバーは確か、レコーディングでいつもスタジオ・ミュージシャンのブッキングをしてもらっているフェイス・ミュージックの関谷さん(女性)と根本さん(女性)、シンセサイザー・プログラミングの森本さん、FOAレコードの水落さん、マネージャーの廣田、石井、そして僕でした。エンディングには何種類ものSEを入れることになっていたのですが、最終的には鐘の音だけを入れることになりました。楽しいホームパーティのようなイメージになったでしょうか?

10、天然色の化石2006(てんねんしょくのかせき2006)
この曲は勿論、1990年にリリースした“夢回帰線Ⅱ”に入れた“天然色の化石”です。
3333回のコンサートで、まさしがこの曲をギター弾き語りでやって、各方面から好評を戴きました。その中で、アレンジャーの渡辺さんは、「この曲を是非フルオケでやってみたい」と。
そして、今年のまさしんぐWORLD発足30周年のコンサートで、横浜アリーナでは渡辺さんのアレンジ・指揮、東京ニューシティ管弦楽団、倉田さん、石川さん、宅間さんとでやりました。このフルオケ・ヴァージョンを“天然色の化石2006”と呼んでいます。
このアルバムでは、そのヴァージョンから、アコースティック・ギターと宅間さんがやったパーカッション・パートを抜いたものをやっています。
レコーディング・メンバーは、指揮の渡辺さん、ピアノの紺野さん、ハープの朝川朋之さん、クラシック・パーカッションの高田みどりさん、木管楽器・金管楽器の皆さん、そして篠崎ストリングスでした。
想像した通り、ミックス・ダウンに一番時間がかかった曲で、完璧な楽器バランスを実現させることは当然のことですが、同時に暖かさ、冷たさ、緊張感、空気感など実に様々なものを盛り込むイメージでやっています。

11、サクラサク
もうすぐ来る春を待つ冬の歌です。
まさし自身のアコースティック・ギターとメロディを含めた一人3声コーラス(それぞれをダブルで、つまり2回ずつ重ねているので6人分の声)でやっています。こちらのコーラスはまさし自身のヘッド・アレンジです。
このギターは簡単そうでいて、歌いながら弾くのは結構大変そうですが、きまったらカッコイイでしょうね。
このアルバムで一人多重コーラスを使ったのは、“桜桃”と、この“サクラサク”ですが、ミックス・ダウンで前者を暖かく柔らかいイメージにしたのに対して、こちらは冬の歌ですので、透明感や澄んだ空気感を出すイメージでやりました。

12、桜人 〜終章 しづ心なく〜(さくらびと 〜しゅうしょう しづこころなく〜)
1曲目とメロディとアレンジ・コンセプトは同じですが、歌詞、サイズ、演奏、歌などは異なるものです。
こちらの終章の方では、紀友則と西行の歌を使っています。
編成はこちらも、まさし自身のアコースティック・ギター、ナッシュビル・チューニングのギター、それに渡辺さんアレンジ・指揮による篠崎ストリングスです。
ミックスで、こちらも「はらり〜」、「ゆらり〜」のところで同じ処理をしていますが、こちらの方が多少エフェクト成分が強いと思います。また、序章と比べると若干ナッシュビル・チューニングのギターのバランスが大きいこともあり、全体的により幻想的に聞こえるはずです。

尚、この3日間で“美しき日本の面影”について書いた文の中で、ベイシック・トラックのアレンジ表記がない場合は、さだまさし本人のアレンジです。
また、通常の曲作りではメロディを先に書いて、それに歌詞をパズルのように当てはめてゆくのですが(つまり曲先)、今回のアルバムは基本的に詞先だったことも書き添えておきます。

コメント

八野さん、連日の詳細にわたる解説、ありがとうございます。

今回のアルバムでも使われてるナッシュビル・チューニングは石川鷹彦さんが「22才の別れ」で使用したのが、多分日本ではもっともエポックメイキングだったと思います。何とも煌びやかで新鮮な響きになりますよね。
さださんでは「鳥辺野」が最初じゃなかったでしょうか。
さださんのギター、とりわけアコースティックギターについては非常にこだわりが感じられ、単なる伴奏楽器の一つじゃない思い入れを感じます。(ストリングスについてもそうですが)
さださんの弾くアコギには石川鷹彦さんのプレイとはまた次元の違う味、表現がちりばめられていて、ギターを弾く立場の者にとってはたまりませんね。
できれば、アルバムのギター譜を「恋文」の時のように出して欲しいなあ。昔はアルバム毎にギター譜が出版されたものでしたが、近年はニーズが減ったのでしょうねえ。
あ、アルバムとは違った方向に行ってしまいました。

実に多くのアイディアや思いが作品の構成に盛り込まれた上で、最終的な作品になっているのだということが今回の3回の解説でよくわかりました。プレイヤー、アレンジャー、ソングライター、プロデューサー、エンジニア…こうしたみなさんのコラボレーションのあり方について、また後日質問させていただきたいなって思いました。
いつも中身の濃い情報、本当にありがとうございます。ではまた♪


Jun.さん、こんにちは。

ナッシュビル・チューニングは、おそらく「22才の別れ」が最も印象的でしょうね。
個人的には、ナッシュビル・チューニングは、add9のコードが一番よく似合うと思っています。「鳥辺野」もマイナーadd9ですね。

ギター譜などの件で、楽譜出版社に対して、こちらサイドから出版の許諾を出さないことは、ないと思います。楽譜そのものがいいかげんなものでない限り、NGは出しません。
ですから、出版するかどうかは、基本的にはそれぞれの出版社の問題です。

勿論、質問は構いませんよ。場合によっては時間がかかるかもしれませんが、答えられる範囲でお答えします。

八野さん、こんにちは。

返信ありがとうございました。ナッシュビルーチューニングとadd9についてのお話、全く同感です。「22才の別れ」でもイントロの出だしからずっと9thの音が含まれていますよね。「鳥辺野」もでもそうですね。そういえば、ナッシュビルではないですが「風の篝火」のイントロでも9thの音がキーになってますね。

ギター譜の件、ありがとうございました。仰るとおり出版社の問題ですね。紙メディアでの出版という形式でなくとも電子出版という形でもいいので譜面に起こして欲しいなと切に思う私です。

さて質問の件ですが…
音楽作品を創るときにソングライターが提供した楽曲を編曲してそれをプレイヤーが表現する。
それらをミキシングして楽曲にまとめる。
という基本ラインはわかるわけですが
八野さんのブログを拝見していて、作品を創り上げていく中ではもっと複雑にプロデューサーやエンジニア、プレイヤーなどがコラボレートしているということがわかりました。
その中でのプロデューサーが要だということも。
では、そのコラボレートのあり様について、実際にはどうなっているのでしょうか。

1)アレンジャーがどこまで詳細に譜面に書くの?
2)楽器の音量バランスなどをアレンジャーはどこまで指定するの?
3)エンジニアの音作りに対する注文はプロデューサーから?  アレンジャーから?
4)プロデューサーは作品づくりの最初から最後までどう関わるの?

私は宅録をしてますが、この場合は全て自分がかかわることになるので、上記のような意思疎通は必要ありませんが、専業化されたプロの現場ではそれぞれの役割の範囲と連携はどのようになされているのだろうかと。
たとえば1)ですが、「空蝉」のエンディングのようにエレキギターのフレーズとバックのストリングスの壮絶な絡みは見事ですよね。これらはどこまでアレンジャーが譜面に起こしているのかと…。(ストリングスは譜面に起こすことは分かるとしても、エレキギターは…)昔の話なので具体的にお応えいただくのは無理としても、プレイヤーに委ねられてる部分とアレンジャーが指定する部分。これらの絶妙なコラボレートによって素晴らしい作品に昇華していくのでしょうね。

これまでの八野さんのレコーディング日記からも具体的にご説明いただいたことも多いとは思いますが、作品作りの現場では、具体的に各人の仕事の役割をどういう形で表現し、コラボレートしているのかということについて、また機会があれば開示できる範囲内で結構ですので、解説いただけるとうれしいです。

Jun.さん、こんにちは。

“風の篝火”も、9thが重要ですね。これから先の話は、ギターをかなりのレベルで弾く人でないとおそらく分からないでしょうし、かなりマニアックなものになってしまいますが、もう少しだけ書きます。
“風の篝火”は、ご存じだとは思いますが、イントロ、間奏、エンディングのフレーズは、最後のロー・ポジションのDmに落ち着く前までは、1弦と4弦が常に開放弦です。そして、間の2弦、3弦がハイ・ポジションの10フレットから、様々に左手のポジションをかえながら、ロー・ポジションに向かって降りてゆくことでフレーズを作っています。
“向日葵の影”のイントロもこれと同じような考え方だと思います。

さて、後半の質問ですが、非常に難しい質問です。というのは、プロデューサーあるいはディレクターの定義が、特に日本ではハッキリしてないというか、人によって、あるいはプロジェクトによってあまりにも異なるからです(プロデューサーとディレクターの違いも曖昧ですので、この文章ではプロデューサーという名前で統一します)。
プロデューサーとは何か、ということを詳細に述べると、大学や専門学校の講義のようになってしまいますので、ここでは、その役割は千差万別だということでご理解ください。会社に属している場合は、制作面での社内連絡、資料作成、スケジュールなど関係者に対する様々な調整、あるいはスタジオでの食事の手配くらいにとどめる人もいると思いますし(つまり金銭面、音楽面をコントロールしてない)、金銭面、音楽面、人事面も全て掌握し、スタジオ内外でアーティスト、アレンジャー、エンジニアなどをリードするような人もいるかもしれません。
ですから、プロジェクトによってあまりにも異なると思いますので、何とも言えません。このプロデューサーの問題をどう考えるかによって、質問の1番以外は、質問に対する具体的な答が変わってきます。

ご理解頂けましたでしょうか?

八野さん、忙しい中、丁寧な返信ありがとうございました。

「風の篝火」は仰られるように1弦・4弦の開放をうまく使い実に印象的な響きを表現していますよね。こういうところがさださんの作品のギターの魅力ですよね。「鳥辺野」も1弦・2弦の開放を使いながら、3弦・4弦の動きで表現するスリーフィンガーという点でも共通してますね。
そういう意味でも「向日葵の影」が今から楽しみです。
詳しい解説ありがとうございました!

質問の件も、了解しました。
プロデューサーのあり方はプロジェクトや部署、会社によっても違うわけだから、一般論としては論じられないわけですね。もう少し絞った形での質問にすべきだったですね。失礼いたしました。

さださんの作品作りにおいては、これまでの八野さんのブログでも示されているように、非常に重要な役割をプロデューサーである八野さんが果たしてみえるように思います。中身が濃く作品全体を高い完成度で「さだクオリティ」として称されるほどのアルバムができあがる所以だと思います。
それぞれのパートがプロとして自分の真剣勝負の仕事をこなしつつも、それだけで完結せず、コミュニケートしながら、さらに練り上げる作業を丁寧に積み重ねているのがさださんの作品作りなのだと理解してよいでしょうか。他のミュージシャンの場合も多かれ少なかれそういう要素はあるのでしょうけど…。
八野さんがプロデューサーとして関わってみえるさださんのアルバム作りという点に限った上で、また機会ある毎にお話を紹介いただけたら幸いです。
八野さん、お忙しいところ、本当にありがとうございます。


八野さん
こんにちわ。
詳しい解説を有難う御座います。
素人ですから、技術的なことは全然わかりませんが、スタッフの皆さんがどれだけ熱い思いでアルバムを作っていらっしゃるかだけはよくわかりました。
大学生の娘は、中学で吹奏楽、高校では合唱に打ち込んでおりましたので、けっこう良い耳を持っております。
合唱では全国で金賞を頂いたこともあるぐらいですので、私などよりはるかにある意味マニアックなのです。
よく、「あ、ここの裏メロディがいい」とかときには、「このギターの音がめっちゃ好き」とか言います。
八野さんが聞いたら泣いて喜びそうかもと思っております。
新しいアルバムとても楽しみにしております

Jun.さん、コメントありがとうございます。

さだまさしのプロジェクトに限ってのことでいいのなら、書くのは構いませんよ。
一般論か、まさしのプロジェクトか、かどうかが分かりませんでしたので、前回のように書かざるを得ませんでした。

月虹さん、コメントありがとうございます。

音楽は、プロのためだけのものでも、マニアのためだけのものでもないと思います。
ですから、僕としては、どんな反応も嬉しいですし、ありがたいと思っています。

マニアックであろうがなかろうが、聞いてくださったお客様に喜んで戴けたら最高です。

音楽プロデューサー八野さんのブログだけあって、音楽について、深い見識の方々の投稿が多いのですね。

私は音楽的には素人ですが、曲のヒントを、大いに楽しませていただきました。最後にいたっては、紀友則?、西行?など、一層興味深く思いました。私の知っている歌かしら・・知らない歌を知るのも、また嬉しいし・・・古今和歌集をひもといてみたくなりました。

天然色の化石2006は、アリーナのコンサートを思い出しながら、楽しみます。

本当にありがとうございました!!

雪とパイン缶さん、もしかしたらご存じの歌かもしれませんよ。

こちらこそ、コメントありがとうございました。

八野さん、こんにちは。

3回に渡ってのニューアルバムのとても貴重なお話、本当にありがとうございました。
僕たちファンが喜びそうな情報だらけ、いわば
「プロデューサー版 裏 ライナーノーツ」
の様な記事ですごく嬉しかったです。

「美しき日本の面影」を聴く楽しみが今から倍増です。

と書いているうちに、今度は
佐田玲子さんのレコーディングが始まっているんですね。
休みなくお仕事を続けておられるようですが、呉々もお体ご自愛ください。


‥‥といいながら、遠慮のかけらも知らずにまた質問をさせて頂きたくて
コメントを書いています。

実は、Junさんが書かれていたことは、僕も全く
同じように疑問に思っていたことがあります。
それは、
アレンジャーがどの程度詳細な譜面を書いているのか、
ということです。

勿論、曲によってマチマチでしょうし、恐らくストリングスは
基本的にはオタマジャクシに忠実に演奏されているのでしょうけど、
例えば、
「博物館」や「1989年 渋滞」はどうでしょう?
特に「1989年 渋滞」は、1番のオーソドックスな演奏が
間奏から少しずつノッてきて、2番のさびのリフレインなんかは
ギターもベースもピアノもドラムスも、もうノリノリなって
プレイしていますけど、これも初めからオタマジャクシに
なっていたのでしょうか?
まさしさんが以前、ギター譜のライナーノートで
「エンディングは決まっていなかったけれど、1,2,3,4と
カウントしたら、終わっちゃった。音楽って生き物なんだよ。」
と書かれていたのを覚えています。
さすがにコード譜だけということはないのでしょうけど、
実は結構自由度の高いアレンジだったのでは? と
勝手に憶測していました。
それを、まさしさんの言葉で言う「せーの録り」で
臨場感を保ちながらレコーディングしたのではないかなぁ
と思っていたんですけど、ひょっとして全然違っています?

それから、ギターやギター譜についてもJunさんと同じように感じていました。
まさしさんのギターは多くの人が触れているようにとても特徴的で、
それがまさしさんの曲を聴く楽しみのひとつでもあります。
前にも書かれていた4(±1)カポのプレイCもそうですが、話題になっている
開放弦を巧妙に生かしながらハイポジションから降りてくるフレーズも、
独特な「さだまさし」だと思います。
「関白宣言」や「紫野」もそうですが、「pineapple hill」なんかも
面白いですよね。

ギター譜の電子出版、すぐには難しいでしょうけど
いつか実現するといいですねぇ。というか、いつの日にか
まさしさんがギター本を書いてくれないかなぁ
と、ずーっと前から期待し続けています。
それも、何百頁にも及ぶ、文章と楽譜とギターの写真と、全てミクスチャーになった
やつ。
(もしもそうなったら、今まで一度もギター譜に入ったことのない(であろう)
「ニッコウキスゲ」は、フルパートで入れて欲しいなぁ‥‥)

むむっ、僕も話がそれましたね。
というか、初めから話がそれていましたが‥‥(それも長々と)。

八野さん、何だか工夫のない文章でスミマセン(笑)。
また、色々なお話を教えてください。
楽しみにしています!

ありげんさん、Jun.さん、こんにちは。

アレンジャーがどこまで譜面を書くか、という問題ですが、ご推察の通り、曲によってまちまちです。ですから、この曲の場合は、こうだったと書くしかありません。
ただ、弦楽器の全て、管楽器のセクションの全ては、ほぼ100%書き譜です。
絶対にこう弾いて欲しい、というところしか譜面化されてないのが普通ですね。基本的なリズムのパターンや、アルペジオやフィルなどの言葉を書き込めば、リズム隊の方たちは勝手に弾いてくれます。
ですから、特にリズム隊の方達の人選がかなり重要な部分を占めます。ちなみに演奏者を決めるのは、アレンジャーかプロデューサーです。

“博物館”の場合は、最初からリズム隊と弦でオーソドックスにやることが決まっていて、リズム隊の譜面はコードネーム、休符+αくらいしか書かれていませんでした。

“1989年渋滞”の場合は、「ポール・サイモン with スタッフ」が、まさしや僕の中にコンセプトとしてありましたので、まずリズム隊の方々のスケジュール調整から入りました。
最終的にゴードン・エドワーズ役は岡沢章さん、スティーヴ・ガッド役は渡嘉敷祐一さん、エリック・ゲイル役は芳野藤丸さん、リチャード・ティー役は山田秀俊さん、ギタリストとしてのポール・サイモン役は吉川忠英さんにお願いしました。
これでアレンジを渡辺俊幸さんにお願いし、コンセプトを伝えたのですが、出来上がった譜面にはコードネームとキメくらいしかありませんでした。
レコーディング現場でリズム隊の皆さんに、「ポール・サイモン with スタッフのイメージで」と伝えるだけで十分でした。まさしに仮り歌を歌ってもらいながら、レコーディングを進めていって、後は極端に言えば、こちらで一番熱気や高揚感があるテイクを選ぶだけでした。

八野さん どうもありがとうございました!

「ポール・サイモン with スタッフ」‥‥なるほど!
確かに「1989年 渋滞」のドラムスはスティーブ・ガットだし、
ピアノはリチャード・ティーだし、ギターのカッティングだって‥‥。

それにしても、殆どコードネームだけで、
「ポール・サイモン with スタッフのイメージ」であんな演奏ができてしまうなんて‥‥。

当然、これまで聴いたことのない曲を
その場で譜面を渡されて演奏する訳ですよね。
そして、それを見越してアレンジする渡辺俊幸さんも凄いですね。
あえて音符を書かないというのは、結構勇気のいることではないのでしょうか?
それとも、ミュージシャンとのあうんの呼吸で、
あの演奏すら想定通りだったのでしょうか?
例えば7thにしても、譜面にそう書かれているだけでメロディーや曲の流れから
あんな演奏になるなんて、本当に驚きです。

ジャジーなのは、曲調だけでなくプレイスタイルまでそうだったなんて‥‥
それもスタジオレコーディングで‥‥。

「1989年 渋滞」の吉川忠英さんのギター、とても好きなんですけど、
言われてみればギターリストとしてのポール・サイモンですね。
そして、まさしさんの歌は、ボーカルとしてのポール・サイモンですね!

本当に貴重なお話を、どうもありがとうございました。

八野さん、ありげんさん、こんにちは。

最初に、八野さんの連日に渡る中身の濃い書き込みにもう心から感謝、感謝です。
こういうお話は実に興味深いし、作品作りの裏側を垣間見ることは、よりその作品の重みや拡がりを感じることも出来て、私にとって非常に有意義でおもしろく拝見させていただいています。

アレンジの件、よくわかりました。
ケースバイケースとはいえ、ストリングスが基本的に100%譜面におこなさなければならない関係上、ストリングスとリズムやエレキなどのリードギターが複合的に絡むような仕上がりはアレンジャーとプレイヤーの力量の見せ処なのだと思います。場合によってはストリングスの後付というのもあるのでしょうか。前にも書いた「空蝉」のエンディングはエレキのフレーズを意識したストリングスアレンジになっている上に、エレキのフレーズはプレイヤーのフィーリングテイスト山盛りだし…。作品作りをどう進めるかというのが、曲毎に八野さんとアレンジャー、あるいはまさしさんも絡んでのコミュニケーションによるコンセプト決定の重要さを伺わせますね。通り一遍でないところが拘りとして、作品を寄り深いものにしている所以なのでしょうね。

ありげんさん、ギターの件、全くの同感です。
まさしさん執筆のギター演奏にこだわった作品に絞ってギター譜&楽譜&解説&ギターに関するエッセイ本が出たら何が何でも買いますよね!
「ニッコウキスゲ」…いいですねえ。この夏に諏訪湖から車山高原を家族で歩きました。ニッコウキスゲがもう満開で、ずっとこの唄が頭の中で響いていました。ギター譜には是非、同じくまだ譜面になっていない「神の恵み」「教室のドン・キホーテ」もとりあげてほしいです!実は教師をしている身なので、この2曲にいつも励まされているんです。
八野さん、いつか機会があったら、是非、まっさんにそんなことを本気で願ってる輩がいるんだよって伝えてくださいね!
「まっさん、ギターを語る!」って題名で譜面・写真・解説・エッセイ、それにDVDもつけちゃいましょう!(*^_^*)
ああ、夢は広がるばかりです…。

八野さん、ホントに楽しいブログ、いつもありがとうございます。

度々おじゃまします。

「ポール・サイモン with スタッフ」のコンセプト、
具体的な曲はもしかして、「追憶の夜」のイメージではないでしょうか?

まさしさんの曲で「追憶の夜」というと、「東京」も連想されますが、
「1989年 渋滞」は、曲調だけでなく自叙伝的な歌詞も
「追憶の夜」のイメージに重なります。

以前「無人島の1枚」のコメントにも書いた、ポール・サイモンのアンプラグド、
いつも見ながら「さだまさしみたいだなぁ」と思っていたんですよ。

考えてみたら、順序が逆ですね(笑)。

‥‥何て、もしかすると全然違っていたりして。

ありげんさん、こんにちは。

スタジオ・ミュージシャンの人たちのレベルは半端ではないんです。様々な音楽を要求されるので、普段から色々聴いていなければいけませんし、弾けなければいけません。それも、譜面やコンセプトを示されて瞬時に、です。

“1989年渋滞”はまさしく“追憶の夜”です(笑い)。

で、ご推察の通り、“東京”のエンディングも“追憶の夜”です。渡辺俊幸さんに“追憶の夜”が入ったCDを渡し、そういうイメージのエンディングのリフを考えてきてもらいました。
では“東京”(曲そのものやエンディング以外のアレンジ・コンセプトなど)は何の曲にインスパイアされて作ったものだと思いますか?

Jun.さん、こんにちは。

“空蝉”は、まず先に松原正樹さんによるエンディングのアドリブ・ソロがあり、それを採譜して、弦のフレーズに反映させたようです。このレコーディングは、僕が入社する1年前に行われ、この部分が特に印象的でしたので、後日渡辺俊幸さんにこの時の模様を聞きました。
弦の人たちの演奏能力も相当なレベルですね。

八野さん、こんにちは。

Junさん同様、深くて濃いお話を頂いて、本当に感謝・感激しています。

そして、質問返しのプレゼントまで頂いて、恐縮しています。
まさか、こんな「問」を頂けるとは思っていなかったので、とても嬉しいです。


が‥‥


とても残念なことに、どれほど考えても判りませんでした。

ここでスカッと答えられたら、格好良かったんですけどね(笑)。

まさか、「追憶の夜」がエンディングのヒントになっている以外に、「東京」そのものに
インスピレーションを与えている曲があるなんて、思いもしませんでした。
それでもですね、折角こんな質問を頂いたのに、ただ「気付かなかったので
教えてください」と言ってしまうのも勿体ないので、僕なりに結構頑張って考えたんですよ。

まず、エンディングが「追憶の夜」なんだから、全体のイメージも
ポール・サイモンではないかと。
となれば、「夢回帰線」全体の感じからしても、「グレイスランド」の曲じゃないかと。
でも、それらしいのが‥‥。
で、他のポール・サイモンの曲も判る範囲で色々と考えてみたんですけど‥‥
‥‥ギブアップです(涙)。
「早く家に帰りたい」は違いますよね。

じゃあ、初めの“ポール・サイモンの曲だろう”というところが違うのでは?
全然違うアーティストの曲と「追憶の夜」を重ねたのでは? とも思ったんです。
何せ、アフリカンドラムとアメイジング・グレイスを同じ曲に盛り込んでしまう位ですからね。

でも、こうなると星屑あるいは砂粒の中から探し出すようになってしまい、
完全に降参です、ハイ。

もしかして、ブログを読んでいる方々の中に、「そりゃ○○じゃないか!」なんて、
判っている人がゴロゴロといたりして。

Junさん、いかがです?

----

ブログの記事はどんどんと進んでいるのに、この記事に居座っているようでスミマセン。
八野さんとJunさんがお話になっていた「空蝉」も“ドラマチック・マイナー”ですよね。
それにしても、ドラマチック・マイナー‥‥イイ言葉ですね。

プログレといえば、キング・クリムゾンやピンク・フロイドとはちょっと毛色が違いますけど、
ジェネシスを意識していた時もありましたよね。

また、楽しいお話をお聞かせ下さい!
そしていつかまた、機会があったらこんな感じで「問題」を頂けるといいなぁ‥‥
なんて、図々しくも思っています。

ありげんさん、コメントありがとうございます。
かえって悩ませてしまったようで、申し訳ありません。
あまり有名ではない(と思われる)曲ですので、思いつかないのは当たり前でしょうね。

ポール・サイモンではなく、アート・ガーファンクルが“シザーズ・カット”というアルバムの中に入れていた曲、“ハート・イン・ニューヨーク”です。言葉で説明するより、聴いて戴くとその感覚が分かると思います。
残念ながら日本では、このアルバムは廃盤になってしまったようです。
僕にとってアート・ガーファンクルのアルバムの中で、これがベスト3に入るものなのですが、名作と呼べるようなCDが姿を消すのは残念なことです。
やはりCDは出た時に買っておかないと後悔することになりますね。

またまた余談になりますが、東京駅に電車が到着すると「東京、東京」とアナウンスが流れます。不安や希望などの様々な思いを胸に抱いて上京する人、また達成感や敗北感などの様々な思いを抱いて東京を去る人に、それがどのように聞こえるのでしょうか? 
“東京”のレコーディングの時に、そんな様々な思いを込めてサビの「東京 東京」を歌ってもらいました。

では、また何かの機会に“問題”を出させて頂きます。

八野さん

解答をありがとうございました。
アート・ガーファンクルでしたか!

実はこれまで、何故という理由もないのですが、アート・ガーファンクルは
余り突っ込んで聴くことがありませんでした。
ずっと前に吉田政美さんが「レフティ」をべた褒めしているのを聞いて、
その時に何枚かは聴いていたのですが‥‥。
恥ずかしながら「ハート・イン・ニューヨーク」、知りませんでした。

で、当然すぐに聴いてみたくなり、Amazon.comで視聴してみました。
なるほど、歌を聴くまでもなく、ギターだけでも納得です!
サビの「東京ーー 東京ー」も、ホームのアナウンスは判ったのですが、
まさか「ニューヨーーーーク」というフレーズとも掛け合わせているなんて‥‥
ここがまさしさんのすごいところですよね!

うーん、本当に勉強になりました。
まさしさんの唄って、僕らが思っている以上に奥が深いんだということを、
あらためて実感しました。

そして、かなり楽しかったです。
そして、そのうちに次なる“問題”を頂けるのを楽しみに待っています!
また、宜しくお願いします!

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)