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2007年02月28日

影響を受けたCD その56

「カルメン幻想曲/アンネ・ゾフィー=ムター(ヴァイオリン)」
演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団/指揮:ジェイムス・レヴァイン
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1388590

中学生の時にポップスと同様にクラシックにものめり込むきっかけになったのは、メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」と、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン(“ジプシーの歌”という意味)」との出会いでした。
当時、東京交響楽団のコンサート・マスターだった徳永次男さんのソロ、東京交響楽団の演奏、秋山和慶さんの指揮で、このツィゴイネルワイゼンを初めて聴きました(これはたしかNHK-FMでオン・エアーされたもので、つい最近このLPを入手出来ました)。この曲の中間部の悲しくも美しいメロディに魅了されて、その後も他の方の演奏をLPやCDで聴いてきました。

数年前に、このムターの弾く「ツィゴイネルワイゼン」を聴き、この曲に出会ったあの日の感動が蘇りました。ムターのヴァイオリンも、レヴァイン指揮によるウィーン・フィルの演奏も情熱的で、前向きで、しかも哀しくなるほど美しい演奏です。録音も素晴らしく、ムターが演奏しながら身体を揺らしているのが分かるくらいリアルで、しかもホール・トーンもしっかり収録されていて、とても心地良いものです。
このアルバムに収録されている「タイースの瞑想曲」も素晴らしい出来だと思います。
尚、最近はSACDハイブリッド盤でもリリースされています。

2007年02月25日

最近聴いたCD3

ビートルズ/LOVE
http://www.amazon.co.jp/LOVE-DVDオーディオ付-ザ・ビートルズ/dp/B000JBXLOM/sr=1-3/qid=1172384194/ref=sr_1_3/249-6365212-9963522?ie=UTF8&s=music

これは2006年11月20日に発売されたビートルズ名義の新譜です。これをビートルズ自身の新譜と考えるかどうか、内容としてどう思うかなどで、ファンの間では賛否両論あるようです。個人的にはとても楽しめましたし、感激しました。

このアルバムはポール・マッカートニー、リンゴ・スター、オノ・ヨーコなどの了解を取り付けた上で、ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーティンとその息子のジャイルズ・マーティンがプロデュースした、ビートルズの音楽素材を使ったサウンド・コラージュです。

この作品を聴くまでは個人的には否定的でした。失礼な言い方かもしれませんが、僕の尊敬するジョージ・マーティンは今でもジョージ・マーティンなのかという興味もあって聴いてみました。結果、やはり彼の仕事であり、僕の尊敬する彼は今でも彼であり、賛否両論あるにしても圧倒的な出来具合と音質改善とに驚かされました。これを聴いて、最新のリマスタリングをしたビートルズのオリジナルCDを聴きたいと思ったのは僕だけではないでしょう。
僕などはマーティン親子の足下にも及ばないですが、同業者の1人として、この作業の大変さ、困難さがよく解るだけに、素直に頭が下がりました。「もっと頑張れよ」と背中を押された作品でした。

2007年02月24日

影響を受けたCD その55

「ヨハン・セバスティアン・バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番etc.」
ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1810536

バッハによるヴァイオリンの無伴奏のものは、今までに、奇才・クレーメル、巨匠・シェリングなどのものを聴いてきましたが、このヒラリー・ハーンのデビュー・アルバムに出会った時の衝撃は忘れられません。17歳の少女のものとは思えないようなテクニックと音楽性だと思いました。
録音が新しくて素晴らしく、DSDによる好マスタリングにも助けられているとは思いますが、ピッチを含めた演奏の安定感と決して無機的にならない血を感じました。この非人間的な無機質さにも、それと正反対の情念にも偏りすぎない演奏の崇高さは聴く前までの想像を遙かに超えたものでした。
この演奏を聴いて、なかなか適切な言葉が浮かばないのですが、バッハは宇宙を描き、宇宙と交信していたのではないかと思うようになりました。

2007年02月22日

影響を受けたCD その54

「ヨハン・セバスティアン・バッハ/ゴルトベルク変奏曲」
ピアノ:グレン・グールド(1981年版)
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1810776
ピアノ:マレイ・ペライア
http://www.hmv.co.jp/product/detail/272301
この曲に関しては上記の2つの演奏を聴くことが多く、それぞれ特徴があって甲乙付けがたいので2枚挙げることにしました。

天才グレン・グールドのものは、デビューCD(1955年のモノラル盤)も、この1981年のステレオ盤も昔から名盤の誉れ高いもので、バッハとグールドの魂が一体になったような凄い演奏。これ以上何も言うことはありません。脱帽です。

僕にとってタッチが一番素晴らしいと感じるピアニストは、マレイ・ペライアです。
彼は1990年代に指の故障のため、しばらく演奏を休止していましたが、その後、見事にカムバックしました。個人的には世界一美しい音を出す人だと思っています。このCDは録音も素晴らしいです。

尚、上記のグールドの1955年のものをコンピューター解析して、キータッチ、音量、ペダルの踏み込み加減に至るまで完全にデータ化して、それをヤマハ製の自動演奏ピアノで再現したSACDが3/21にリリースされるそうです。

2007年02月20日

影響を受けたCD その53

デヴィッド・フォスター/シンフォニー・セッションズ
http://www.hmv.co.jp/product/detail/166395

前にさだまさしの「続・帰郷」か何かのアルバムのライナー・ノートに書いた記憶があるのですが、デヴィッド・フォスターといえば1980年代に一世を風靡した生ピアノとエレクトリック・ピアノのユニゾン・プレイが印象的です。ひと頃は僕らもずいぶん影響を受けてさかんにその方法を使っていました。
さて、このアルバムは、1980年代のサウンドを牽引した、そのデヴィッド・フォスター自身のリーダー・アルバムです。

クラシック・ピアノのトレーニングを重ねてからポップスの道に入って来たのであろう彼を知るには最適のアルバムであろうと思います。ポップスのエッセンスとクラシックのエッセンスが適度に入り交じった素晴らしいアルバムで、曲も、アレンジも、演奏も、音質も凄いです。エキサイティングなところと、癒しが同居していて、音楽ファンにも、オーディオ・ファンにもいいと思います。
タイトルはご存じなくても、もしかしたらこの中の「ウィンター・ゲームス」という物凄くカッコイイ曲はどこかでお聞きになっているかもしれません。
このアルバムも対峙して聴くも良し、BGMにしても良しだと思います。

2007年02月19日

さだまさし「ライブベスト」マスタリング

2/15、17は、さだまさし「ライブベスト」のマスタリングでした。

2年以上の期間、延べ数百時間にわたった、ライブCD約80枚からベスト4枚分へのセレクションとマスタリングなどの音に関する作業がほぼ終了しました。
このプロジェクトに関わった皆さん、ありがとうございました。
この数百時間で何よりも思ったことは、音楽は魂の発露と交歓だということでした。
ステージに立つ人やそれを支えるスタッフだけでなく、リスナーの方々を含めた全員でライブは作られているということでした。聴き疲れてしばしの休憩を取る際に、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

2007年02月16日

さだまさし「ベスト3」マスタリング

2/14は東京の某スタジオにて、さだまさし「ベスト3」のマスタリングをやりました。朝11時に作業を開始し、作業終了が夜0時30分。それでも全てが終了したわけではなく、翌15日に持ち越しに。

今回のリリースで、「ベスト」と銘打ったものは3枚目になります。
今までのベスト盤は比較的録音年代が揃っていたように思うのですが、今回は特に収録楽曲のレコーディングの年代が幅広いのです。今回の収録曲で最もレコーディングが古い曲は「療養所」で1979年のもの、最もレコーディングが新しい曲が「天然色の化石」で今年(2007年)のものです。

実は、今回「ベスト3」に収録している「天然色の化石」は、「天然色の化石(ソロ・ヴァージョン)」というタイトルにした新録音のものです。ソロ・コンサート3333回の時の、ギター弾き語りによる「天然色の化石」の評判が良く、それを受けた形で2005年10月28日にスタジオでまさしのギター弾き語りヴァージョンをレコーディングしました。
その後、チキン ガーリック ステーキによるコーラスを2005年11月7日と2007年2月6日の2回に分けて大阪のスタジオで収録し、7日に東京でエディットとミックス・ダウンをしてまとめ上げたものが今回のヴァージョンです。

「ベスト3」はレコーディング期間が28年もの長期に渡るもののコンピレーション・リマスターCDです。今回のマスタリングもエンジニアリングをSさん(酒サケさん)にお願いし、満足出来るものになりました。お疲れ様でした。そしてありがとうございました。

2007年02月14日

スイートベイジル・ライヴ

2/13は、東京・六本木にあるスイートベイジルでチキン ガーリック ステーキのライヴがありました。
ライヴ、コンサート、レコーディングを進めるごとに一歩一歩チキガリは進化しています。
お客様から頂戴する拍手も、より熱を帯びてきていることを感じます。
応援してくださっている全ての方に感謝しています。
本当にありがとうございます。

2007年02月11日

影響を受けたCD その52

ジョージ・ベンソン/ブリージン
http://www.hmv.co.jp/product/detail/551090

ダイアナ・クラールの時にも書きましたが、この「ブリージン」というアルバムはジョージ・ベンソンと僕の敬愛するレコーディング・チームが1976年に作った傑作です。
このアルバムに収録されているどれもが素晴らしい曲、アレンジ、演奏です。
ジョージ・ベンソンのスキャットとギターのユニゾンは絶品ですし、バックのミュージシャン達も最高のプレイをしています。

レオン・ラッセル作の「マスカレード」の間奏は、ベンソンのスキャットとギターのユニゾン・プレイに始まり、アルゼンチン出身の今は亡きホルヘ・ダルトというピアニストのソロへと移り変わります。これを初めて聴いた時に絶句してしまいました。変拍子ではないのに、あたかも変拍子に聞こえるようなフレーズを弾いています。これがメチャクチャカッコイイんです。どうしたらこんな発想が出来るんだろう、と震えました。しかもカッコイイ上にすこぶる官能的なのです。勿論、ベンソンのヴォーカルも感動的です。個人的には、「マスカレード」に関しては、作者のレオン・ラッセルやカーペンターズのものよりも、ベンソンのものが好みです。

2007年02月09日

東京レコーディング

2/7の朝、エンジニアの鈴木智雄さんと共に帰京し、某スタジオに直行。
各種機材のセッティングの後、18時までは、某曲のまさしのギターと歌のエディット。その後、ミックス・ダウンに突入し、終了したのが23:30頃でした。
やはりエディットやミックスの前後では、作品の輝き、説得力、完成度が異なりますので、最後まで気を抜くことは出来ません。

2007年02月08日

大阪レコーディング

八ヶ岳から戻った後、2/6は大阪の某レコーディング・スタジオで、チキガリのレコーディングでした。

「真夜中なのに生放送 卒業式にもさだまさし」(NHK総合テレビ)という3月18日(日)0:15〜1:30(土曜日の深夜です)に放送する番組のジングルと、さだまさしの某曲のバック・コーラスを録音するためにチキガリの6人に集まってもらいました。

作業は13時にスタートし、最初にジングル数曲を録音(放送ではこの中のいくつ使われるかは分かりません)。
次に夕方まではまさしの某曲のバック・コーラスを収録。その後、各曲のエディットとジングルのミックス・ダウンをやり、21時頃に作業は無事に終了し、深夜2時過ぎまでの打ち上げに突入しました。

2007年02月05日

八ヶ岳

2/2〜4まで八ヶ岳にいました。
チキン ガーリック ステーキのライヴ、パーティ、そば打ちを八ヶ岳高原音楽堂及び八ヶ岳高原ロッジで行いました。

八ヶ岳高原音楽堂は、武満徹、リヒテル、ブーニン、キース・ジャレットなどそうそうたる方々がコンサートを行ったところです。ホールの響きは適度で、ステージ後方にはガラス越しに富士山が見えるという最高のロケーションでした。八ヶ岳高原ロッジも綺麗なホテルで、ここでの滞在も快適そのものでした。

参加してくださった沢山の方々に喜んでいただけたなら最高です。
また、参加してくださったお客様には勿論のことですが、ホール、ホテル、旅行会社の方々にも御礼申し上げます。

2007年02月01日

影響を受けたCD その51

ダイアナ・クラール/ルック・オヴ・ラヴ
http://www.hmv.co.jp/product/detail/740234
女性ジャズ・ヴォーカルのアルバムの中で、僕にとってここ数年に聴いたうちの最高のアルバムです。

このアルバムがリリースされた時に、その評判を聞いて購入し、聴いてみました。
驚きました。僕の敬愛する最強のレコーディング・チームがサポートしていました。ダイアナ・クラール本人の実力が一番大事なのは勿論ですが、このチームがやるのなら、素晴らしいものになるのは約束されているようなものです。

プロデューサーはトミー・リピューマ。この人自身は元々ミュージシャンではないのかもしれませんが、ジャズを聴きやすくポップなイメージにして作り上げることに定評がある人です。彼の仕事の中では、特にジャズ・ギタリストのジョージ・ベンソンの「ブリージン」というアルバムが傑作として知られています(このアルバムも同じスタッフ)。話は変わりますが、さだまさしやレーズンのプロジェクトで1980年代の後半から90年代前半に、よくマウイ島でレコーディングをしたのですが、その「ラハイナ・サウンド・レコーディング」というスタジオのオーナーが、ジョージ・ベンソンでした。そのスタジオで我々とずっと一緒に仕事をしたアシスタント・エンジニアのデイヴ・ラッセルさんは、近年はスティーリー・ダンのエンジニアをしています。

アレンジャーはクラウス・オガーマン。僕の尊敬する名アレンジャーのひとりで、メロディックというよりもハーモニックな、あまりフレーズが動かない美しい弦を書くことでも有名な人です。フランク・シナトラ、ボサノヴァの大家・アントニオ・カルロス・ジョビンなど沢山のトップ・アーティストと仕事をしています。

オーケストラはロンドン交響楽団。僕が特に好きな五つのオーケストラのうちのひとつで、純クラシックではない仕事も沢山していて、パーカッションの人のリズム感が素晴らしいです。

エンジニアはアル・シュミット。このベテラン・エンジニアの音は自然でありながら、周波数レンジ、ダイナミック・レンジが広く、ピークやディップが少なく、情報量も多く、解像度も高いです。音場感が豊かで暖かくてクリアーな素晴らしい音です。

勿論、このアルバムの主人公・ダイアナ・クラールのヴォーカルも絶品で、技術も表現力も素晴らしいとしか言いようがありませんし、ピアノの腕もたいしたものです。完成度が非常に高く、音楽的にも、オーディオ的にも大満足な、僕にとって大ヒットのアルバムです。