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2007年05月26日

影響を受けたCD その71

ワーグナー/管弦楽作品集
演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団/指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1902211

昔はワーグナーの音楽を理解出来ませんでしたが、十数年前にハマって抜け出せなくなり、ワグネリアン(ワーグナーの音楽の信奉者という意味。ただし僕は、彼の思想的な部分には疑問を持っています)への道を歩みました。
彼の音楽を聴けば聴くほど、彼が常人には到底及ばないほどの天才だったと思い知らされました。

彼は一連の「楽劇」と呼ばれる作品で、作曲ばかりでなく、ストーリーまで自身で書き、彼を庇護したバイエルン国王のルードヴィヒ2世の援助を受けて、自分の作品を最も良い状態で発表するためにバイロイト祝祭劇場まで作ってしまいました。
ワーグナーは人格的には問題があったとされていますが、優れた彼の音楽は後の世に絶大な影響を及ぼしています。
楽劇「トリスタンとイゾルデ」を作り、そこで部分的に使われた和声(機能和声を崩壊の危機まで追い込んだと言われています)は後に「トリスタン和声」と呼ばれるようになりました。この和声は美しく官能的で身も心もとろけそうになります。僕自身、自作曲で使ったこともありますし、作編曲家の渡辺俊幸さんも、さだまさしの「交響楽」のイントロ冒頭で使っています(ライヴ・アルバム「LIVE二千一夜」に収録)。

上記のベルリン・フィルのCDは、オーケストラの優秀さとカラヤンの気迫が相まって最高の管弦楽作品集になっていると思います。美音の洪水です。これでもう少し録音が良ければ・・・(勿論、鑑賞するには充分ですが、マスタリングでもっと良くなる可能性はあるのに、残念です)。

2007年05月19日

影響を受けたCD その70

Bob James / Heads
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1856743

ボブ・ジェームスはクリード・テイラーのCTIレーベルを離れた後、自身のレーベル“タッパンジー”を立ち上げて、1978年にこの「ヘッズ」をリリースしました。
当時の実力派ミュージシャンが多数参加したこのアルバムは、ゴージャスかつスリリングです。
全体的に計算され尽くしたアレンジと即興演奏のせめぎ合いが素晴らしいです。
バラードの名作ボズ・スキャッグスの「ウィー・アー・オール・アローン」はかなり速いテンポで演奏されていて、これはこれでもの凄くカッコイイです。
オシャレなものから美しいものまで、どの曲にもボブ・ジェームスのセンスが光っています。

このアルバムではありませんが、1975年に発表されたポール・サイモンのグラミー賞受賞アルバム「時の流れに」でもエレクトリック・ピアノを弾いていましたし、タイトル曲の「時の流れに」では素晴らしい弦のアレンジを披露していました(この曲の間奏の弦がとても美しいのですが、その美しいサウンドに乗って、先日亡くなったマイケル・ブレッカーが素晴らしいテナー・サックスのソロを吹いています)。
また、ボブはCTI時代には、ポール・サイモンの「夢のマルディグラ」をカバーしていました。
当時、僕の憧れのアレンジャーのひとりでした。

2007年05月18日

紙ジャケット&最新リマスター

1960年代から80年代中頃までにリリースされた音楽メディア(パッケージ)はLPが主流でした。
その頃はジャケットやブックレットのサイズが大きいため、アイデアを練り、様々な工夫をし、アート・ワークを完成させていました(今は手を抜いているというわけではありません。念のため)。
その頃のLPを近年、ブックレット、帯などを完全復刻(出来る限りですが)し、紙ジャケットにしてCD化する動きがいくつかのレコード・メーカーで活発化しており、メーカーによってはセールスも好調と聞いています。

そんなレコード業界の動きの中で、さだまさしのオリジナル・アルバムはオリジナル・ジャケット、紙ジャケットではないものの、DSDによる最新のリマスタリングをしてかなり早い時期に商品化しました。お陰様で「高音質」との評価を戴き、現在に至っています(Sonyの開発したDSDという技術のお陰もありますが、それ以上に誰がどのようなコンセプトでマスタリングをするかの方が遙かに聴感上の音質を左右します)。

この様な動きの中で、ソニーミュージックさんが出している一連の紙ジャケット&リマスターのもの(クラシック、ジャズ、ロックなど)の出来が素晴らしいと思っています。アート・ワークも素晴らしいですが、それ以上にリマスタリングが成功していて、最新の録音とも思えるような高音質です。何よりそのリマスターされた「音」に愛情を感じます。担当者の情熱も素晴らしく、直接ではありませんが、僕のところにまで「Weather Report」のLPを持っているかどうか問い合わせがあったほどです。
実は先日、ソニーミュージックさんではない某メーカーの紙ジャケット&リマスターのCDを聴いて、あまりの音質の悪さにがっかりしました(あくまでもこれは僕の主観です)。
「これからも気を引き締めてそれぞれのプロジェクトに取り組まなくては」と思っています。

2007年05月12日

チキガリ東京Rec.5

5/10のミックス最終日も午前3時に終了。
そして翌5/11は遂にマスタリング。23時過ぎに全てのレコーディングが無事終了しました。
このアルバム「FACE」は6/20に発売になります。

チキガリのメンバー、レコーディング&ミックスのエンジニアの鈴木智雄さん、レコーディング・エンジニアの遠藤 等さん、マスタリング・エンジニアの鈴江真智子さん、その他の関係者の皆さん、お疲れ様でした。

アルバム「FACE」の制作に携わった全ての人たちの才能と努力で、格好良くて力感溢れる感動的な作品に仕上がったと思います。
ありがとうございました。

2007年05月10日

チキガリ東京Rec.4

今日は、いよいよミックス・ダウンの最終日。

昨日も午前3時までやっていたので少しバテ気味ですが、ここで失速するわけにはいきません。

チキガリの前アルバムは「女性シンガーが歌った曲」のカバーでしたので、ミックスでは透明感、繊細感を大切にしました。勿論、力感をないがしろにしたわけでありません。

今回は「男性シンガーが歌った曲」のカバーですので、透明感、繊細感を大切にしながらも、やや力感や迫力の方に重点を置いています。これは感覚的なものですので「ファンデーション」が弱々しく、「FACE」が透明感、繊細感に不足しているということではありません。

チキガリの成長や工夫、レコーディング機器及びオーディオ・グッズの進歩や使いこなし、全員の努力などで確実に階段を一歩上ったと思います。

2007年05月09日

チキガリ東京Rec.3

今日はミックス・ダウンの3日目。

昨夜も午前2:30までミックス・ダウンをやっていましたので、本日もスタートが昼の12時になりました。
エンジニアの鈴木智雄さんが体力的にも精神的にも一番ヘビーでしょうが、僕やメンバーの渡辺敦からの無理難題(?)を見事にクリアして頂いています。

普段東京で使っているような規模の大きいスタジオだと、ロビーでたくさんの知人に遭遇します。
昨日は、何度もご一緒している、ヴィオラの鈴木民雄さん、チェロの矢島富雄さん、坂本龍一さんのエンジニアをしているSさんなどに会いました。今日は同じく坂本龍一さんのエンジニアをしていたTさんに会いました。
仕事仲間の皆さんが元気で活躍なさっているのを見るのは嬉しいものです。

2007年05月08日

チキガリ東京Rec.2

昨日(5/7)は、午前11時に作業をスタートし、終了したのは明けて5/8の午前3時過ぎでした。
そのため、本日5/8はスタートを12時にしました。

昨日は3曲のミックス・ダウンをやりました。
やはりミックスは大変です。

チキガリは6人ですから、同時に6つの音(6トラック)しかないと思うのは間違いです。実際のレコーディングでは、遙かに多いトラック(チャンネル)を使っています。それらを整理し、並び替えるのがミックス・ダウンという作業です。

ここから先は一般論ですが、仮に60人位の人数のオーケストラの奏者がひとつのホールの中で、それぞれの強さ、音量、音色で演奏していると想像してください。
人によっては本来の想定された強弱とは異なる演奏をすることもあり得ますし、演奏中に譜面を落としてしまうこともあります。咳をしてしまうこともあります。音を出すのが早かったり、遅れたり、間違った音を出してしまうこともあります。ステージの上で演奏しているつもりが、気がついたら客席で演奏してしまっているかもしれません。人によっては1回前の演奏の方が良い場合もあります。また、部分的に1回前と2回前を使い分ける方が良い場合さえあり得ます。
それら60人の演奏を60台のテープ・レコーダーで録っていると想像してください。
それらの全ての音を明確なひとつの音楽的方向性、演奏している場所、強さ、音量、上下左右や奥行きなどの各奏者の立ち位置、音色などを調整して、ひとつのまとまった演奏(音楽)にするのがミックス・ダウンという作業なのです。オーケストラを指揮している感覚に近いかもしれません。
この最終一歩手前の作業が、その作品の出来不出来を左右することになります。

2007年05月07日

チキガリ東京Rec.1

5/3に東京タワー近くの某スタジオでレコーディングしました。
これはアルバム「FACE」に収録される曲のハンド・クラップを、メンバー6人で広いスタジオを使って録るのがメインでした。

本日(5/7)から、いよいよミックス・ダウンが始まりました。
午前11時前に鈴木智雄さんたち4人のエンジニアで機材のセッティング、スタジオ内の音響調整を始め、その後ミックスがスタート。

チキガリのメンバー代表として「あっちゃん」こと渡辺敦が神戸から駆けつけ、このミックス・ダウン作業に参加。
昼食後にセッティングをお手伝いいただいた2人のエンジニアの方はスタジオを離れ、これから4日間は基本的にはエンジニアの鈴木智雄さん、アシスタント・エンジニアの方、渡辺敦、そして僕の4人での作業となります。

2007年05月06日

影響を受けたCD その69

「スティング/ナッシング・ライク・ザ・サン」
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1230439

イギリスのロック・バンド「ポリス」を解散してソロで活動を始めたスティングが1987年にリリースしたセカンド・アルバムで、母性や母への愛情を表現した、彼の亡き母への鎮魂歌でもあります。1作目の「ブルー・タートルの夢」の方を評価する人も多いのですが、僕は断然この「ナッシング・ライク・ザ・サン」を支持しています。
このアルバムから影響を受けている人は多いと思いますが、本当に名曲揃いのアルバムで、演奏も歌もサウンドもみなクォリティが高く、「心で聴く名盤」と呼んで間違いないと思います。
さだまさしのアルバム「夢回帰線Ⅱ」の「白鯨」のドラムは、大ヒットしたこのアルバムの中の「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」からの影響が見られますし、「フラジャイル」や「シスター・ムーン」のサウンドも折に触れて随分参考にさせて頂きました。バック・ミュージシャンの演奏も素晴らしく、ピアノ、キーボードの今は亡きケニー・カークランドやサックスのブランフォード・マルサリスのプレイも絶品です。

スティングの渋くて切ないセクシーな声も彼の最大の武器のひとつですが、2001年に公開されたメグ・ライアン主演の映画「ニューヨークの恋人」のDVDを観た時に、エンディング・ロールでスティングの声が流れてきて驚きました。映画の力も大きいのでしょうが、その声を聴いて、その曲「アンティル...」(このアルバムに収録されている訳ではありません)の曲想を感じて、不覚にも涙を流してしまいました。切なくて、愛しくて、哀しくて、そんな感情が溢れてきてしばらく涙が止まりませんでした。

2007年05月02日

チキガリRec.

チキン ガーリック ステーキのレコーディングは、歌入れとエディットがほぼ終了し、この後スタジオを東京に移して再開されます。

ミックス・ダウンをしていくと、それまでにいくらエディットをやっていても気になるところが出てくるものです。
作業全体を俯瞰してみると、現在7合目あたりにさしかかった感じでしょうか。

楽しみと同時に大きなプレッシャーも感じています。
「Next One」の気持ちを持ち続けているものにとって宿命でしょうね。