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2007年09月30日

影響を受けたCD その85

ベートーヴェン/交響曲全集
演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団/指揮:ハンス・シュミット=イッセルシュテット
第1、3番 http://www.hmv.co.jp/product/detail/883160
第2、4番 http://www.hmv.co.jp/product/detail/887565
第5、6番 http://www.hmv.co.jp/product/detail/880448
第7、8番 http://www.hmv.co.jp/product/detail/885899
第9番   http://www.hmv.co.jp/product/detail/879876

ベートーヴェンの交響曲全集には名盤が数多くあると思います。人によって異なるものを評価することがあるのは当然ですし、そもそも僕自身がたったひとつの全集に絞ることが出来ません。
上記はベートーヴェンの演奏にかけて他に類を見ないほどの伝統を有するウィーン・フィルが、ひとりの指揮者によってレコードのために録音した最初の交響曲全集です。

指揮者のイッセルシュテットは音楽の造型感と雄大な流れを大事にし、極めてノーマルなテンポでオーソドックスに音楽を進行させ、しかもそこかしこによく歌わせたフレーズを配しています。勿論、ウィーン・フィルの技量、音楽性、美しい音色を抜きに語ることが出来ないことも事実です。
9曲のどれもが優れた演奏だと思いますが、特に第8番は現在に至るまで名演として語り継がれています。僕自身は第8番とならんで第5番もとても優れた演奏だと思っています。造形美、強さ、逞しさ、優しさ、高揚感、凛々しさなど美点を挙げたらきりがありません。
この交響曲全集のプロデューサーは、イッセルシュテットの実の息子で音楽学者としても名高いエリック・スミス(1931〜2004)。(参考CD http://www.universal-music.co.jp/classics/release/great_recordings/great_recordings.html)
またこの全集には4名のエンジニアが関わっているのですが、僕が第8番、第5番を好むのは、その2曲のレコーディング・エンジニアがケネス・ウィルキンソンであることも大きな理由のひとつです。彼は僕が最も敬愛するクラシックのエンジニアのひとり。彼の音は周波数特性がフラットに聞こえながらレンジが広く、音場の拡がりや奥行きの表現力も確か。立体感があり、しかも情報量が多く、解像度も高い、素晴らしいものだと思います。

2007年09月26日

“Mist”CD評

さだまさしのニュー・アルバム“Mist”のCD評を、音楽評論家の富澤一誠さんが書いてくださっています。
音楽之友社さんから出版されている月刊「STEREO」というオーディオ雑誌の10月号(9/20発売号)199ページ目です。

きちんと評価してくださっていてとてもありがたい記事です。
富澤一誠さん、そして関係者の皆さん、どうもありがとうございました。

2007年09月19日

写真展

今日は、榎並悦子さんの写真展(http://www.sada.co.jp/cgi-bin/kyubin/news/disp_news.cgi?news_times=1188804549)に行ってきました。

彼女とは20年以上に渡って何度も仕事をご一緒させていただいています。
さだまさしのアルバム「自分症候群」のオリジナル盤(ワーナーやテイチクからリリースされていたもの)のジャケット、「続・帰郷」のジャケットなどです。

今回の写真展は何年にも渡って「おわら風の盆」を取材したものです(今回も写真展にまさしがコメントを寄せています)。写真展の会場は路地のような作りになっていて、虫の音が流れていました。
彼女のものを見る目は鋭いのですが、写真は相変わらずその人柄を反映してか穏やかで暖かく、優しい眼差しに満ちています。
たくさんのエネルギーを戴いて帰ってきました。

2007年09月15日

さだまさしコンサート・ツアー「Mist」

本日、サンシティ越谷市民ホールから新しいコンサート・ツアーが始まりました。

お越しくださった皆様、ありがとうございました。
いくつかのことで今までとは異なるものになっています。
楽しんでいただけたら幸いです。

2007年09月10日

影響を受けたCD その84

ブレッド/アンソロジー
http://www.hmv.co.jp/product/detail/165859

前にこのブログでも少し触れましたが、まさしや僕が大好きな世界中で愛され続けている儚くも美しい名バラード「イフ」、「オーブレー」が収録されています。
デヴィッド・ゲイツの作曲センスに打ちのめされますが、聴いているうちにそんなことを忘れて、切なくて感動的で心地良い音楽にただただ包まれてしまいます。作品、アレンジ、演奏、歌ともにとても良く出来ていて美しい作品です。
やはり特に上記の2曲はオススメで、何度聴いても涙が出るくらい美しく感動的です。

尚、サイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」(1969年)のピアノは、ラリー・ネクテルというピアニスト(兼ギタリスト兼ベーシスト)が弾いたものですが、1971年に、彼はデヴィッド・ゲイツから誘われて、この「ブレッド」のメンバーになり、ここでも大活躍しました。

2007年09月07日

さだまさし“Mist”3

ネタバレになりますので、アルバム“Mist”に関することをまだお知りになりたくない方は絶対にお読みにならないでください。

<賢者の贈り物>
O.ヘンリーの短編集(第2集)に収録されている「賢者の贈り物」のタイトルを借用しました。この短編小説を中学生か高校生の時、英語の副読本で読みました。その後も、その愛に溢れた感動的なストーリーが忘れられませんでした。ところがすっかり作者やタイトルを失念していて、まさしと仕事をさせてもらえるようになった頃、雑談の中でその話をしたら、即座に作者名、タイトル名を教えてくれました。
1970年頃のジェームス・テイラーやCSNY風のギター・サウンドに、ブラシを使ったドラム、全体的に柔らかさがあるベイシック・トラック(ラス・カンケルやリーランド・スクラーなどのイメージです)を使うことがサウンド・コンセプトになりました。編曲・指揮は渡辺俊幸さん、その他のミュージシャンは、倉田信雄さん、田代耕一郞さん、松原正樹さん、岡沢章さん、島村英二さん、宅間久善さん、木村誠さん、篠崎正嗣Stringsの皆さんです。
多少地味に聞こえるかもしれませんが、深い味わいのある曲に仕上がったと思います。

<霧 -ミスト->
この曲を聴くと深いところで「生きること」そして「人の心」について思いをはせるかもしれません。様々な解釈が出来るのも、この曲の特徴かもしれませんので、何度も聴いてお楽しみ戴けたら幸いです。
ベイシック・アレンジとアコースティック・ギターはまさし、弦のアレンジと指揮は渡辺俊幸さん、弦は篠崎正嗣Stringsの皆さんです。まさしのギターも素晴らしいですが、特にこの弦アレンジは絶品だと思います。見事に霧が降っています。

<かささぎ>
NHKのドラマ「海峡」のテーマ・ソングとして作りました。このドラマの音楽は当初から渡辺俊幸さんが担当されることが決まっており、その関係もあって依頼されました。中国では古より「かささぎ」は翼を拡げて天の川の橋渡しをし、織姫と牽牛を結びつける鳥とされています。推敲に推敲を重ねたこの曲は、そのドラマのテーマにそった美しくも感動的な名バラードに仕上がり、今回のアルバムのラストを締めくくるにもふさわしいものになったと思います。
このアルバムの中で一番シンフォニックなサウンドです。編曲・指揮は渡辺俊幸さん、その他のミュージシャンは倉田信雄さん、フルートの高桑英世さん始め沢山の木管、金管の方々、宅間久善さん、篠崎正嗣Stringsの皆さんなどです。

今回のアルバムは、いつも通り曲作りでまさしは苦しみ続けました。しかしレコーディングそのものは比較的スムーズに進行していきました。曲作りによる疲労が声に影響することを怖れていましたが、最終的に歌も大変充実したものになったのではないかと思います。個人的には今回はデパートの中にある専門店街のようなものをイメージしました。ミックスでもマスタリングでも全体のイメージの統一を図りながらも、温度感、空気感を大切にし、個々の個性も出していったつもりです。
渡辺俊幸さん、倉田信雄さんをはじめ沢山のミュージシャンの皆さん、そしてエンジニアの鈴木智雄さん、マスタリングの鈴江真智子さん、アシスタント・エンジニアの渋沢俊介さんなど沢山のスタッフの皆さんの協力があってこそ、このアルバムは完成しました。心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

2007年09月06日

さだまさし“Mist”2

ネタバレになりますので、アルバム“Mist”に関することをまだお知りになりたくない方は絶対にお読みにならないでください。

<白雨>
曲作りの最終日(7/14)に出来た3曲のうちのひとつです。今回のアルバムの中で一番青春を感じさせる曲かもしれません。ウェストコースト・ロック風の軽快で爽やかなラヴ・ソングで、映像が浮かびやすい曲のひとつだと思います。生きていく上で時にはこんなノスタルジックなムードに浸るのもいいかもしれません。
アレンジとキーボードは倉田信雄さん、参加ミュージシャンは石川鷹彦さん、松原正樹さん、土方隆行さん、岡沢章さん、島村英二さん、木村誠さんです。

<窓>
昨年のホテル・ニューオータニでのディナーショーの楽屋にシンガー・ソングライターの矢野真紀さんと矢野さんのプロデューサーを務める寺岡呼人さんがいらっしゃいました。矢野真紀さんの30歳のバースデイ・アルバムに歌詞を提供して欲しいとのことでした。メロディはかつてJUN SKY WALKER(S)のベーシストとして活躍され、近年では「ゆず」のプロデューサーとしても活躍中の寺岡呼人さんが書き、それにまさしが歌詞を後付けするということでお受けすることになりました。
ファンの方々の要望もあり、バラードとして力強くも美しいメロディと説得力のある歌詞を持つこの曲は、このアルバムにふさわしいと判断し、収録することになりました。
編曲・指揮は渡辺俊幸さん、ミュージシャンは倉田信雄さん、田代耕一郞さん、朝川朋之さん、高桑英世さん(Flute)、篠崎正嗣Stringsの皆さんです。
アート・ガーファンクルの名アルバム「天使の歌声」に収録されている「老人」に通ずるようなエンディングの美しさも気に入っています。
矢野真紀さんの「窓」も素敵ですので、こちらも併せてお聴きいただければ幸いです。

<都忘れ>
これも曲作りの最終日(7/14)に出来た3曲のうちのひとつです。さだまさしらしい曲想と歌詞を持つこの曲は、昔からのファンの方々に好まれる曲のひとつかもしれません。この曲の女性主人公と「賢者の贈り物」の男性主人公は好みの人物像です。
この曲は、サウンド的にはまさしの弾くギターが核になっています。これを中心に構成し、アレンジがなされていますので、アレンジはまさしと倉田信雄さんの共同名義になりました。参加ミュージシャンはまさしの他に、石川鷹彦さん、宅間久善さん、木村誠さん、ボブ・ザングさん(Flute)です。

<桜桜咲くラプソディ>
これも曲作りの最終日(7/14)に出来た3曲のうちのひとつ。この曲はまさしのソロ・ヴァイオリンと松原正樹さんのソロ・ギターをフィーチャーすることを前提に書きました。宅間さんのヴィブラフォン、ボブ・ザングさんのフルートも良い味を出していて、ジャズっぽい倉田さんのアレンジと共にオシャレで素敵な雰囲気を醸し出しています。その他の参加ミュージシャンは、石川鷹彦さん、土方隆行さん、岡沢章さん、島村英二さん、木村誠さんです。この曲もソロ・ヴァイオリンを「赤い月」と同様、まさしの代わりに佐田大陸くんが弾いています。
尚、この曲はコーラス・グループ「サーカス」の皆さんのデビュー30周年記念アルバムの中の1曲としても使っていただくことになりました。

2007年09月05日

さだまさし“Mist”1

ネタバレになりますので、アルバム“Mist”に関することをまだお知りになりたくない方は絶対にお読みにならないでください。

<51>
実はこの曲のコンセプトは前回のアルバムの曲作りをしている時から既にありました。「日本」、「日本人」などを「現在」の「自分(主人公)」の視点から、ラヴ・ソング的要素を交えながら綴っています。こういう書き方は「前夜(桃花鳥)」から始まりました。もしかすると「生きていること」それ自体が矛盾かもしれません。深く考えずに生きていれば、あまり矛盾を感じないのかもしれませんが、自分だけでなく、家族、人類、国などについて、そのしあわせについて考えれば考えるほど何らかの矛盾が生じると思います。歌詞は手直しが繰り返され、その都度完成度が高まっていきました。
6/23に録ったギター弾き語りのデモ・テープをアレンジャーの渡辺俊幸さんに渡し、素敵な弦と間奏を書いていただきました。音楽的な部分では、間奏で弦が出てくるあたりが聴き所のひとつ。きっと感動的だと思います。
編成は、まさしのアコースティック・ギター、渡辺俊幸さん編曲・指揮による大編成の弦(篠崎正嗣Strings)。尚、歌中のソロ・ヴァイオリンはコンサート・マスターの篠崎正嗣さんによるものです。

<赤い月>
ここ数年のアルバムは、ある意味で原点である「フォーク・ソング」に回帰することがそのコンセプトのひとつでした。しかし今回のアルバムは、ここ数年のフォーク・ソング路線よりも幅広いものする、ということがコンセプトのひとつになりました。
そこでしばらく封印してきたドラマティック・マイナー(※)を復活させることになりました。
渡辺俊幸さんの編曲・指揮で、参加ミュージシャンは倉田信雄さん、安田裕美さん、松原正樹さん、岡沢章さん、島村英二さん、宅間久善さん、篠崎正嗣Strings。そして五十肩でヴァイオリンを弾くのが辛いまさしに代わって、まさしの長男・佐田大陸くんがソロ・ヴァイオリンを弾いています。尚、彼は今回のレコーディングで、この曲のソロ部分だけでなく篠崎正嗣Stringsの一員としてもレコーディングに参加しています(ちなみにこのアルバムが親子初共演となります)。

※「ドラマティック・マイナー」は僕が言い始めた造語で、ドラマ性があるダイナミック・レンジが広いマイナー曲の意。詳細は「さだまさしベスト3」のライナー・ノートや、このブログの2006.8/17分で書いています。

<眉山>
ご存じの通り、まさしが書いた小説「眉山」は既に映画化されました。そして、この12月には舞台化されます。その舞台「眉山」のテーマ曲になるのが、この穏やかで雄大なバラードです。既に提供済みだった「窓」を除けば、このアルバムの中で最初に出来た曲(6/19にデモ・テープを録りました)。個人的に好きなフレーズが2コーラス目にちりばめられていて、生きること、愛することについて考えさせられます。
編曲・指揮は渡辺俊幸さん、参加ミュージシャンは倉田信雄さん、安田裕美さん、松原正樹さん、岡沢章さん、島村英二さん、宅間久善さん、朝川朋之さん(Harp)、篠崎正嗣Stringsの皆さんです。

2007年09月04日

MUSIC FAIR21

今日(9/4)はフジテレビの「MUSIC FAIR21」の収録がありました。
渡辺美里さん、矢野真紀さんとはテレビ初共演でした。

たった30分の番組の制作に費やされる時間はどれ位だと思われますか?
まさしは出演者で一番早い入りではありませんでしたが、おそらく早い方は昼頃だと思います。スタッフの方は朝から仕込みだったことでしょうね。我々は14時頃にスタジオ入りました。
トークを含めてまさしの収録部分は22時に終了しましたが、渡辺美里さんは深夜までかかることと思います。
出演者及び関係者の皆さん、お疲れ様でした。

なかなか素敵な番組になったと思いますので、今週土曜日のオン・エアーをどうぞお楽しみに!

2007年09月02日

影響を受けたCD その83

リンダ・ロンシュタット/ホワッツ・ニュー
http://www.hmv.co.jp/product/detail/17611

リンダ・ロンシュタットの1983年発表のスタンダード集。
スタッフは長期に渡り第一線で活躍している名プロデューサーのピーター・アッシャー、アレンジと指揮は巨匠ネルソン・リドル、エンジニアは名匠ジョージ・マッセンバーグです。もうこの組み合わせだけで、この作品のクォリティは保証されたようなものです。

主役のリンダ・ロンシュタットは、カントリー、ロック、ポップスの分野で長い間活躍していますが、これは彼女が脂がのりきっていた時期にレコーディングされたジャズのアルバムです(スタンダード3部作の最初のもの)。
歌い回しの癖が少ない彼女が歌うといわゆるジャズには聞こえにくいのですが、ネルソン・リドルと組んだことで、オーソドックスでゴージャスで素敵な作品に仕上がっています(ネルソン・リドルは残念ながらこの3部作のレコーディング後に他界しました。これらが最後の灯火だったのでしょうか)。
秋の夜長を飲み物片手にこのアルバムを聴くのは最高かもしれません。
マッセンバーグの音は太くて温かくて、しかもクリアですから、オーディオ的な快感も楽しめます。
尚、このアルバムはDVDオーディオ盤にもなっています。