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2008年03月27日

東京ニューシティ管弦楽団

何度か共演してくださっている東京ニューシティ管弦楽団。その音楽監督でいらっしゃる内藤 彰さんがブログを始められました。
http://www.naito-akira.com/

たびたび東京ニューシティ管弦楽団の皆さんのコンサートにお邪魔しています。彼らの「人や音楽に対する真摯で暖かい眼差し」がとても好きなことがその理由です。聴き終わると何とも言えない暖かい気持ちになり、幸せを感じます。
機会がありましたら、是非彼らのコンサートにも足をお運びください。

2008年03月26日

さだまさし楽曲提供

3/5のブログで「まだ詳細は明かせませんが、まさしとスタジオ入りし、提供曲の曲作り及びデモ・レコーディングをやっていました」と書きました。レコード会社から届いたその曲の詳細は下記の通りです。興味のある方はご覧ください。

●シングル『明日咲く花』September 
1.明日咲く花(作詞・作曲:さだまさし 編曲:安部潤)
2.手紙 (作 詞:Rie 作曲:Qoonie 編曲:September)
3.明日咲く花(backing track) (作詞・作曲:さだまさし 編曲:安部潤)  
FRCA-1190 ¥1,000(tax in) 
2008年4月23日リリース
 制作:ユーキャン/ユーズミュージック
 発売:ユーキャン 販売:ユニバーサルミュージック株式会社
 ◇『明日咲く花』
  フジテレビフラワーネット(2008年4月〜)TVCMイメージソングに決定!

2008年03月25日

1枚のCDが世に出るまで 8

13.<その他> これまで音楽面、サウンド面だけを書いてきましたが、これらの作業と並行して、ジャケットなどのアートワークを制作する作業が行われます。

レコーディング終了後、僕にはレコーディングしたデータ(音楽をデータ化したもの)のバックアップをとる作業、マスタリング済みのCD-Rを関係者用に大量にコピーする作業、オリジナル曲で新曲の場合はメロ譜を作ってジャスラックに作品登録する作業、印刷物を校正する作業、レコーディング関係の請求書処理、仮払いの精算、プロモーションの一部等々があります。それらをやっていると発売日が間近に迫り、もう次のプロジェクトの準備期間となり、何らかの実作業がクロスすることにもなります。

だいたいこれまで書いてきたような工程を経て、CDは世の中に出て行きます。しかし以上のことは僕が関わっているプロジェクトのやり方であり、他社のものはレコーディングの進め方も様々なスタッフの役割もケース・バイ・ケースだと思います。また、今回、制作面だけを書いてきましたが、この他に宣伝や営業のスタッフが動いてくださり、それによってCDが世の中に認知され、出回ることになります。

たった1枚のCDであっても沢山の才能ある方々(アレンジャー、ミュージシャン、エンジニアetc.)の協力を得て出来上がっています。そうして、「さだまさしの思い」はCDというパッケージに入った音楽で表現され、世の中に出て行きます。ですからCDを購入してくださるリスナーの皆さんへの感謝は勿論ですが、周りで一緒に一所懸命にやってくださっている方々にも感謝の気持ちでいっぱいです。

2008年03月24日

1枚のCDが世に出るまで 7

12.<マスタリング> 本来マスタリングは「工場に送るマスター(数年前まではテープでしたが、最近ではディスク)を作ること」です。当初は「最終的に各曲の音量を揃え、曲順通りに並べ、曲間を調整する編集作業」という認識が一般的だったかもしれません。しかし近年では、少しでも派手に聞かせようとレベル競争になっている傾向があります(オン・エアーされた時に他の人の曲よりも録音レベルが大きいと派手に聞こえ、インパクトがありますから、売れ易いと判断してのことだと思います)。

何かをやればそれには犠牲が伴うことがあります。レコーディングやマスタリングで録音レベルを上げる為にコンプレッサー(大きい音のみを自動的に小さくする機材)を使えば使うほど、歌や音楽がクレッシェンドしているのにクレッシェンドしているようには聞こえなくなる可能性がありますし、決定的な部分ではメインである歌に伸びやかさが無くなります。つまり歌の魅力を減じる方向に向かいます。そして何より感動的には聞こえなくなります。またコンプレッサーをかけ(すぎ)ると僕にはダイナミックレンジ(大きい音と小さい音の差)だけではなく周波数レンジ(音域の高い音から低い音の差)さえも狭くなったように聞こえますので、音質的にも酷いものになっていくように聞こえます。だからといってマスタリングで音圧(レベル)を上げる必要が無いとは思ってはいません。ですからマスタリングは二律背反の作業であり、苦しみが伴う場合があります。

マスタリングは、最終的な音量、音質調整の場であると同時に、僕にとっては、ミックス・ダウン後に、万が一何かひと味足りないと思った時に、追加でスパイスをかける最後のチャンスであることも事実です。まず全部の曲を一番ドラマティックにダイナミックに聞かせたい曲から淡々とした曲へと、また温度を一番高く聞こえさせたい曲から一番低く聞かせたい曲へと性格分けします。そして1曲1曲他の曲と比べながら(時には前アルバムとも聴き比べます)客観的により細かく音作りをします。そうすることによって、そのアルバムの中におけるそれぞれの曲の特徴を出し、それぞれの曲がそれぞれにふさわしい役を演じることが出来るように考えます。そして、それらの曲を決められた曲順通りに、各曲の性格を考慮しながら次の曲が出るタイミングを調整して並べてマスターを作ります。後日、上記のようにマスタリングして作られたディスクがCDのプレス工場に送られます。

ここ10年程一緒にやっているマスタリング・エンジニアの鈴江真智子さんは、音楽的な、音質的な満足感を損なうこと無く、レベルを上げられる希有なエンジニアです。お願いして最終的な各曲の色合い、温度感を希望通りに調整してもらいます。その結果、ミックス・ダウンした時以上の感動を得られるように持って行ってくれます。僕としてはこうあるべきという各曲のサウンド・イメージだけではなく、「フリーフライト・レーベルの音」のイメージを持ってマスタリングに臨んでいます。それを実現させるためにも鈴木智雄さんと並んで鈴江さんの存在は大きいのです。

以上のようにマスタリングを含めた一連のレコーディングの流れは「ヴィジョンの具現化」であり、より具体的には「頭の中で完成している音楽へ実際の音楽を近づけること」だと言えます。

2008年03月23日

1枚のCDが世に出るまで 6

11.<ミックス・ダウン(別名トラック・ダウン)> 曲によっては歌や演奏で数十人から百人分位の音が入っています。それを拡がり感、奥行き感などを作りだし、音量のバランス、前後左右上下間のバランス、音色のバランスなどを調整することによって1曲ごとに完成形に仕上げていきます。勿論、歌や各楽器のエフェクト(リバーブやディレイなど)も同時にほどこします。何十ものチャンネルに入っている音をステレオ(2チャンネル)にまとめる一連の作業をミックス・ダウンと呼んでいます。

この作業に入る前に、自宅で準備していることがあります。1曲毎に頭の中で鳴っているサウンドに近い曲を数多くの資料CDの中から探す作業をする訳です(この曲の歌のリバーブは「A」という曲のイメージでとか、この曲のドラムのエフェクトは「B」という曲のイメージで、という風に、時には1曲に数枚のCDを用意することもあります)。これに通常2〜3日かかります。言葉だけではなくより具体的にエンジニアにイメージを伝えることが出来ますので、これをやるのとやらないのとではスタジオでの作業効率が違います。

実際のミックス・ダウンで最終的な音量及び音色のバランスが整ってきた際に、各楽器や歌の音量バランスは±0.25dB(デシベル)がOKとNGの境界線です(専門用語ですみません)。ステレオやCDラジカセなどのヴォリューム・ツマミとそのパネルに音量の目安を示す線が引いてあるところを想像してください。そのツマミの線の位置がパネルにプリントされているある線の下か、中心か、上かはおそらく1〜2mm程度の差だと思いますが、何十もの歌や楽器を最終的にそれぞれをそれ以下の精度で追い込んでいくのです。また楽器によっては、その楽器固有の特性上ある音程を境に音量や音色が変わってしまうポイントがある場合があります。そのポイントを挟んだフレーズの場合、極力自然に感動的に聞こえるようにするだけでも大変なことです。いつも一流ミュージシャンの方々に演奏して頂いているとは言え、各楽器のフレージングに万が一不自然なところがあったり、強弱やクレッシェンド、デクレッシェンドの幅が足りなかったり大きすぎたり、強弱やクレッシェンド、デクレッシェンドの幅やスピードが楽器間でそろってなかったり、音の長さなどに不揃いがある場合にもそれを補う必要があります。ただ難しいのは、どんな楽器でも音楽全体でも完璧にしすぎると躍動感が減ったり、整いすぎてかえって魅力の無いものになってしまう可能性があることです。これにも注意しなければなりません。

このミックス・ダウンを、誰が、どのようなコンセプトで行うかによって、同じ曲でも雰囲気は全く異なったものになります。このミックス・ダウンという作業がある意味ではレコーディングの要です。通常は、それぞれの曲のミックス・ダウン最初の数時間は名エンジニア・鈴木智雄さんにお任せで作業を進めてもらい、その後、僕が加わって上記のようにより細かくバランスを整えていきます。個人的には、この作業はまるでオーケストラを指揮する感覚に近いのかもしれないと思う時があります。全ての楽器、歌、その他の音を最終的に確認しながら、どのような音量バランス、音色バランスにした時に最高の完成度、最大の感動になるのかを見極めるのは極めて大きな問題です。そして常に僕が重視するのは「温度感」です。例えば冬を題材にした曲では、「身を切られるように冷たく張り詰めた空気感」を出すのか、「雪が降っている風景を暖かい部屋の中から見ている」イメージを出すのかによって温度感も、雰囲気も異なります。一般的に温度を低くすれば、よりシリアスで説得力のあるものになりますし、高く設定すれば陽気でガッチリしたサウンドになります。エンジニアの鈴木智雄さんには、「あと2度温度を低く」などとお願いすることもあります。鈴木さんはベテラン・エンジニア故に多くの引き出しをお持ちですのでとても助かります。僕が時々かなり無理難題を押しつけているのではないかと思うと申し訳ないですが、ミックス・ダウンがエンジニアにとって一番の腕の見せ所だと思います。エディットとミックス・ダウンで1曲毎に10時間位かかります。

2008年03月22日

1枚のCDが世に出るまで 5

9.<レコーディング本番(歌)> まさしにとっては曲作りと並んで最も大変な作業がこの歌入れです。通常1曲に2〜3時間かかります。声出しに30分程かかり、同時に最終的なメロディの歌い回し、歌詞などを確認しつつ、変更しつつ、進めていきます。

ですからこの段階でも細かいメロディや歌詞の手直しが行われている訳です(こうして何度も何度も検討して、時間の許す限り、可能性がある限り、常にまさしは更なる高みを目指しています)。トークバック(スタジオ内とコントロール・ルーム間を専用マイクを使って話し合えるシステム)を使ってまさしと僕が確認し合いながら作業は進んでいきます。詞曲の完成形やどういうイメージで歌うかなどが決まってから最終的に5〜7テイク位録ります。シリアスな曲ではスタジオ内(まさしが歌っている方)の照明を歌詞カードが何とか見える程度にまで暗くして、より集中力を高められるようにもしています。
録り終わるとまさしにコントロール・ルームに戻ってきてもらい、録ったいくつものテイクの中からまずは僕が部分的にセレクトして(録りながらどのテイクのどの部分が良かったかチェックしています)暫定的にOKテイクを決め、それをアシスタント・エンジニアにひとつのテイクとして聞こえるようにエディットして(まとめて)もらいます。それをまさしと僕が中心になって聴き、当然のことながらまさし本人の要望を取り入れ、必要に応じて更にテイクを選び直し、エディットします(もう30年近く一緒にやっていますので、お互いがどういうテイクをOKにしたいと思っているかは分かります)。
この作業を曲によっては何度も繰り返すことすらあります。まさしの場合、何度でも時間の許す限りやり直したいと思っているようです。この頑張りにも頭が下がります。勿論、曲によっては全くエディットせずに、ただひとつのテイクをOKテイクにしている場合もあります。
尚、エンジニアの皆さんは、楽器であっても歌であっても常に最高の音質で録れるように工夫してくれています。

10.<エディット(編集)> 演奏や歌を録った直後にOKテイクのセレクトという面でのエディットをして作業を終えますが、後日、それを更に細かく僕とエンジニアとでエディットをやります。この作業で、リップノイズ(「ピチャ」とか「クチャ」などの口を開く時などの音)をカットしたり、歌いながらマイクを吹いてしまった時の「ボコッ」(カ行やハ行などで出やすい)という音をカットしたり、聞こえにくい言葉がある場合にはその子音だけレベルを上げたり(例えば「ひとり」という歌詞があり、それが「ひとい」に聞こえてしまうようなら、本来の「り」のアタック成分「R」の部分だけをコンピューター上で上げるようにエディットします)。その他、歌でも演奏部分でも必要に応じてエディットします。時には録った時にさかのぼって別テイクを探したり、より完成度が高く感動的なOKテイクを作る努力をします。まさし本人にも納得してもらえるように、その曲、歌、演奏などが一番輝く音楽を作りたいという思いを抱きながらやると、1曲について数時間かかります。このエディットと次のミックス・ダウンは、まるでパッチワークやパズルのようですし、そこで最終形が決まってしまいますので、僕にとっては一番緊張する作業です。このエディットとミックス・ダウンという2つの工程がCDの最終的な出来を左右します。

2008年03月21日

1枚のCDが世に出るまで 4

8.<レコーディング本番(演奏)> 実際の楽器の収録では、時には何十人もの人がひとつのスタジオに入り作業が始まります。リズム隊(ピアノ、ギター、ドラムス、ベースなど)のみを先に録音する場合は、緻密で洗練されたテイクを録ることが出来ます。アレンジャーや気心の知れたひとりひとりのミュージシャンの方々とディスカッションしながら進めていきます。これは例えば「赤い月」や「窓」などがそうでした。逆に「かささぎ」は、ピアノや大編成の弦や管などを同時に収録(同録)しています。この「同録」の長所は皆のテンポ感、呼吸、ダイナミクス(強弱)などを合わせ易いことで、特にクラシカルなイメージのものには最高の録り方です。

大編成の弦の録音で注意しているのは、演奏が素晴らしいか、感動的かどうかは当然ですが、最終的にミックス・ダウンで、必要な音を最適なバランスに出来る可能性が高いかどうかです。例えば2ndヴァイオリンやヴィオラの音量が想定よりも小さいということは時々あることです。後々ミックス・ダウンで2ndヴァイオリンやヴィオラの音量を上げられそうであればいいのですが、それが無理なようなら実際に弾く時にアンサンブルを乱さない程度により強く弾いてもらうようにお願いしなければいけません。ただし聞こえにくいところだけを無理に強く弾くとそこだけ音色が変わってしまったり、流れが不自然になってしまう場合もあります。また後々ミックス・ダウンで音量を無理に上げようとすると、その楽器だけ音像が近くなり、楽器の遠近感のバランスが崩れてしまうこともありますので注意が必要なのです。

録ったものを最終的に、まさし、アレンジャー、僕とで検討し、演奏者の希望その他、必要に応じて楽器ごとに部分的に差し替えてOKテイクを作ります。リズム隊の方々を始めミュージシャンの皆さんは、それぞれが最高の演奏を残せるように責任を持って必死にやっていますから、自分のパートをやり直したいと思うことは多いものです。
こうやってだいたい1曲の楽器の部分だけで10時間程度かかります。スタジオ・ミュージシャンの方々は、その場で初めてその曲の譜面を見せられて、しかも譜面に書かれてないことまで即座に完璧に弾けることが要求されます。本当にプロ中のプロの方々です。

また、どのスタジオが使えるかはとても重要です。前回のアルバム「Mist」で、確か「窓」をレコーディングした時だったと思うのですが、その日はサウンド・シティのBstしか取れませんでした。当日我々がスタジオ入りする前にピアノの調律をしてもらいました。そしてレコーディングを始めようとしました。ところがピアノの調子やその音が良くありません(スタジオの営業の方に聞いたら、いつもお願いしている調律師さんがNGだったので、別の方がやられたそうです)。ミックス、歌などを録る場合はよくBstを使うのですが、リズム隊(ピアノ、ドラムス、エレキ・ギターなど)や弦を録る時には通常は一番広いAstを使っています。その日Astは既に他社のプロジェクトで押さえられていましたので、仕方なくBstを使ったのです。しかしながらその状態では音的に本番のOKテイクに出来るグレードにはならないと判断し、レコーディングを中断しました。Astが空くのを数時間待って、改めて今度こそAstのピアノをいつもの調律師さんにお願いして本番のテイクを録りました。

このサウンド・シティAstのピアノ(スタインウェイのフルコン)が一番気に入っています。様々なスタジオを使うに際し、スタジオ到着後、本番前に時間的にも精神的にも余裕がある時には自分でピアノを弾いてみることにしています。それでそのピアノの基本的な性格やその日のコンディションを知ることが出来ますし、タッチの差にどれくらい反応出来るピアノかなどいくつもの重要なことが分かります。

スタジオを選ぶ際に注意しているのは、1.ピアノが優れているか 2.モニター・スピーカーが優れているか 3.スタジオ内の響きが優れているか 4.スタジオに所属するアシスタント・エンジニアが優れているか 5.スタジオの営業スタッフが優れているか 6.スタジオ使用料がリーズナブルか、などです(他にもありますが、専門的になりすぎますので、ここでは誤解を避けるためにあえて書きません)。

例えばモニター・スピーカーが音質的に優れてないと、演奏者たちのミス・トーンに気づけない可能性があります。例えばギターだけを録っている時には、そのギターだけに注意していればいい訳ですからあまり問題は起きません。しかし同時にいくつもの楽器を録らなければならないことは多いものです。モニター・スピーカーの解像度が悪く、きちんと調整されてないと収録する側がミスをする確率が高くなります。例えば大人数の弦の中のひとりにミス・トーンがあった場合(一流プレーヤーだって人間ですから)、僕かアレンジャーが気づかなければ、間違ったままでOKを出してしまい、そのセッションを終えてしまう可能性があります。つまり同時に何十もの楽器の音が鳴っている時に、その全ての音が聞こえている状態でレコーディングする必要があるのです。
スタジオの響きが悪ければ、大編成の弦が小編成の弦にしか聞こえませんし、ギスギスした潤いのない音質になってしまう可能性もあります。
スタジオのアシスタント・エンジニアが優れてなければ、部分的に演奏や歌などをやり直す際に、満足な結果が得られない可能性があったり、最悪は注意不足により録ったものが消されてしまったりします。

2008年03月20日

1枚のCDが世に出るまで 3

4.<アレンジの検討> 出来上がった1曲1曲をどなたに、どのようなイメージで、どのような楽器を使ったアレンジをしてもらうか、まさしと僕で検討します(これは曲作りの途中からやることもあります)。かなり細かくアレンジャーに希望を出す時もあれば、大まかな希望だけを伝える場合もあります。逆にアレンジャーからアイデアをいただく場合もあります。

5.<アレンジ打ち合わせ> 僕がアレンジャーの方と会って打ち合わせするか、あるいは電話でまさしや僕がアレンジャーと話をするかなどして、具体的(曲ごとの楽器編成やソロ楽器、オブリガートなどの希望や、曲のどこからどの楽器を登場させるかなど)に、或いは抽象的にアレンジャーの方にこちらの希望を伝えます。

6.<スケジュール調整> インペグ会社(ミュージシャンを実際に手配し、こちらの代わりに演奏料を立て替えて支払ってもらいます)の担当者と打ち合わせして、最終的にアレンジャー、演奏者などを含めた細かいレコーディング・スケジュールの調整に入ります。基本的には参加ミュージシャンの方々を僕かアレンジャーが指名します。

7.<アレンジ及び写譜> アレンジャーの方々が実際にスコア(総譜)を書き、それを深夜であろうが明け方であろうが写譜屋さんが取りに行きます。パートごとに写譜した譜面やコピーしたスコアをレコーディング当日、写譜屋さんにスタジオへ届けてもらいます。渡辺俊幸さん始めアレンジャーの方々の才能と頑張りにはいつも感謝しています。寝る時間を惜しんで最高の作品にするべくスコアを書いてくださっています。

2008年03月19日

1枚のCDが世に出るまで 2

分かり易くするため、さだまさしの通常のオリジナル・アルバム(より具体的な例を挙げた方が分かり易い場合は「Mist」を挙げます)を取り上げてその工程を書きます。

1.<企画> 「どのようなテーマで、どのような色合いのものを作るか」。これはまさし本人から「こんな曲(アルバム)を作りたい」とか、僕(時には渡辺俊幸さんからも)の方から「こんなアルバムを作りたい(こんな曲を作って欲しい)」などと話し合います。これがアルバム・コンセプトに繋がっていきます。
時々、CMソングやテレビの主題歌などとのタイ・アップがありますが、そういう場合は、先方のイメージや希望を取り入れながら曲作りを進めることになります。同時に大まかな曲作り及びレコーディング・スケジュールを決め、スタジオを押さえ、エンジニア、ミュージシャンなどの人選をし、手配をします。

2.<作詩・作曲> 最近は小さめのスタジオを借りて曲作りすることが多いです。まさし、マネージャーたち、そして僕(そして時にはエンジニアたちも)がスタジオに集合し、スタジオ内のブース(小部屋)にまさしだけが入り、そこで長時間の作詩・作曲作業に突入します。ある程度出来上がると僕が呼ばれ、作品を聴かせてもらいます。その時点で問題点などないか意見を求められ、より良くするためのディスカッションが行われます。そしてその後もまさしは作業を続けます。無から有を生み出すのはつくづく大変な作業だと思いますし、その才能と頑張りこそがさだまさしだと言えます。

3.<デモ・テープ制作> 曲が出来上がった段階でもう一度僕がブースに呼ばれ、確認作業をし、そこでまさしが弾き語りしている曲を聴きながら僕が譜面を書きます。そして、まさしがMacを使って書き、プリント・アウトした歌詞と前述の譜面を何部かスタジオのスタッフにコピーしてもらい、いよいよデモ・テープの録音に突入します(本番ではなくてもProToolsに録っています)。
最初にまさしのギターだけを録り、時には僕がシンセサイザーなどを弾き、その後まさしの歌を録ります。この段階でも何度も歌い直し、歌詞とメロディの乗り具合を検討し、よりフィットする歌詞やメロディにするべくトライを続けます。歌を取り終え、エディットしてから、ミックス・ダウンをします。ここでのエディットはCDの本番ではありませんので、大きなノイズなどをカットしたり、必要に応じてサイズなどを変更したり、割と大ざっぱにやります。そして歌やギターなどの音量のバランス、それぞれのリバーブ感などを決めミックス・ダウンし、それをCD-Rに焼きます。これでデモ・テープ(最近はディスクですが)は完成です。

2008年03月18日

1枚のCDが世に出るまで 1

「1枚のCDが世に出るまで」までを8回に分けて書こうと思います。前にこのブログで書いたこととダブるところがあるかも知れませんが、それはご容赦ください。

1枚のCDが企画されてから実際に世の中に出るまでにはかなりの工程が必要ですし、しかもそれにはかなり多くの人が関わっています。
一般的に、歌手が歌い、演奏家が演奏し、エンジニアたちがマイクをセッティングし、それをテープレコーダーで録音し、そのテープを工場に送ればCDが出来上がってくる、という流れをイメージし、1枚のアルバムをレコーディングするのにせいぜい数時間から1日位しかかからないのではないかと思うのは当然だと思います。
そして実作業としては、上記のたったそれだけのことだとも、それはごく一部のことだとも言えますのでことはやっかいです。
レコーディングするにしても、ステージでやるにしても、作詞家、作曲家、アレンジャーがそれぞれ自分の好き勝手に作品を作っているわけでは決してありません。シンガー・ソングライターの場合、生きて生活していること自体が曲作りの要素を含んでいると言えるかも知れませんが、CDというパッケージ商品が世に出るには実に多くの人の意思や行動が関わっています。

実際にスタジオでレコーディングする遙か前からCD作りは始まっています。「オリジナル・アルバム」と「カバー・アルバム」とではスタジオ作業はそれほど変わりませんが、事前の準備はかなり異なります。

2008年03月13日

「夢工房」マスタリング終了!

昨日は春らしくなった日差しを感じながら神奈川県の新子安まで行ってきました。ここ数年、佐田玲子のプロジェクトでは、マスタリングはそこでやっています。

昨夜、遂に「夢工房」の音が出来上がりました。全体的になかなか良い感じに仕上がったと思います。
今回もバックのミュージシャンの方々、レコーディング現場の方々など沢山の方々にお世話になりました。ありがとうございました。

2008年03月11日

「夢工房」レコーディング2

昨日で佐田玲子のライヴ・アルバム「夢工房」のエディット及びミックス・ダウンは全て終了しました。

いつものことですが、やはりレコーディング、特にエディット及びミックス・ダウンではかなり神経を使います。そのため作業が終了すると疲れ切ってしまう日々を送っていました。
昨日の作業終了直前などは皆が疲労の極致なのかかなりハイになっていて、作業しながらも笑いのオン・パレードでした。みんなの大好物「ひつまぶし」を夕食に食べてテンションが上がっていたせいかなぁ(このところ佐田玲子のミックス最終日の夕食は「ひつまぶし」と決まっています)。

あとは明日のマスタリングを残すのみ。何だかホッとするような、淋しいような・・・

2008年03月05日

「夢工房」レコーディング1

チキガリのレコーディング終了後、ずっとブログの更新が滞ってました。

チキガリ「Air」のCD-Rコピー、レコーディングした中身のバックアップをするだけで3日かかり、その後、昨年末にライヴ・レコーディングした佐田玲子「夢工房」のチェックに1日。
そしていよいよスタジオ入りし、エディット及びミックス・ダウンを現在までに3日間やっています。
予定ではミックス・ダウンにもう1日、そしてマスタリングをやって、この「夢工房」のサウンド面は終了となります。

この間、佐田玲子の恵比寿・天窓でのライヴに行ったり、まだ詳細は明かせませんが、まさしとスタジオ入りし、提供曲の曲作り及びデモ・レコーディングをやっていました。

花粉症でこのところ辛い毎日を送っています。