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1枚のCDが世に出るまで 5

9.<レコーディング本番(歌)> まさしにとっては曲作りと並んで最も大変な作業がこの歌入れです。通常1曲に2〜3時間かかります。声出しに30分程かかり、同時に最終的なメロディの歌い回し、歌詞などを確認しつつ、変更しつつ、進めていきます。

ですからこの段階でも細かいメロディや歌詞の手直しが行われている訳です(こうして何度も何度も検討して、時間の許す限り、可能性がある限り、常にまさしは更なる高みを目指しています)。トークバック(スタジオ内とコントロール・ルーム間を専用マイクを使って話し合えるシステム)を使ってまさしと僕が確認し合いながら作業は進んでいきます。詞曲の完成形やどういうイメージで歌うかなどが決まってから最終的に5〜7テイク位録ります。シリアスな曲ではスタジオ内(まさしが歌っている方)の照明を歌詞カードが何とか見える程度にまで暗くして、より集中力を高められるようにもしています。
録り終わるとまさしにコントロール・ルームに戻ってきてもらい、録ったいくつものテイクの中からまずは僕が部分的にセレクトして(録りながらどのテイクのどの部分が良かったかチェックしています)暫定的にOKテイクを決め、それをアシスタント・エンジニアにひとつのテイクとして聞こえるようにエディットして(まとめて)もらいます。それをまさしと僕が中心になって聴き、当然のことながらまさし本人の要望を取り入れ、必要に応じて更にテイクを選び直し、エディットします(もう30年近く一緒にやっていますので、お互いがどういうテイクをOKにしたいと思っているかは分かります)。
この作業を曲によっては何度も繰り返すことすらあります。まさしの場合、何度でも時間の許す限りやり直したいと思っているようです。この頑張りにも頭が下がります。勿論、曲によっては全くエディットせずに、ただひとつのテイクをOKテイクにしている場合もあります。
尚、エンジニアの皆さんは、楽器であっても歌であっても常に最高の音質で録れるように工夫してくれています。

10.<エディット(編集)> 演奏や歌を録った直後にOKテイクのセレクトという面でのエディットをして作業を終えますが、後日、それを更に細かく僕とエンジニアとでエディットをやります。この作業で、リップノイズ(「ピチャ」とか「クチャ」などの口を開く時などの音)をカットしたり、歌いながらマイクを吹いてしまった時の「ボコッ」(カ行やハ行などで出やすい)という音をカットしたり、聞こえにくい言葉がある場合にはその子音だけレベルを上げたり(例えば「ひとり」という歌詞があり、それが「ひとい」に聞こえてしまうようなら、本来の「り」のアタック成分「R」の部分だけをコンピューター上で上げるようにエディットします)。その他、歌でも演奏部分でも必要に応じてエディットします。時には録った時にさかのぼって別テイクを探したり、より完成度が高く感動的なOKテイクを作る努力をします。まさし本人にも納得してもらえるように、その曲、歌、演奏などが一番輝く音楽を作りたいという思いを抱きながらやると、1曲について数時間かかります。このエディットと次のミックス・ダウンは、まるでパッチワークやパズルのようですし、そこで最終形が決まってしまいますので、僕にとっては一番緊張する作業です。このエディットとミックス・ダウンという2つの工程がCDの最終的な出来を左右します。

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