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影響を受けたCD その94

ビゼー/「アルルの女」組曲第1番、第2番、「カルメン」組曲
演奏:ロンドン交響楽団/指揮:クラウディオ・アバド
http://www.hmv.co.jp/Product/detail.asp?sku=2509316

ここ数年、ビゼーの音楽にのめり込んで、何種類ものCDを聴いてきました。
クラシック・ファンの方々にとって定盤・本命はイーゴリ・マルケヴィチがコンセール・ラムルー管弦楽団を指揮したもの、対抗はヘルベルト・ケーゲルのものかもしれません。
マルケヴィチ http://www.hmv.co.jp/product/detail/1888244
ケーゲル http://www.hmv.co.jp/product/detail/651650

上記のものを2つとも充分に素晴らしいと思いながらも、アバドのものを取り上げたのは、ここ数年廃盤になっていたのが最近復刻されたのと、アバドの「中庸の素晴らしさ」に近年改めて気づかされているためです。「中庸」は「凡庸」とは異なります。アバドは音楽上やるべきことをきちんとやっている指揮者だと思います。
イタリア出身の彼が、かつてベルリン・フィルとウィーン・フィルという世界の頂点の2つのオーケストラのシェフ(音楽監督)を務めることが決まった後、イタリアのクレモナにお住まいのヴァイオリン製作のマエストロ・石井 高さんと仕事をする機会がありました。その時アバドのシェフ就任についてお聞きしたら、地元のイタリアでの音楽ファンの盛り上がりは相当なものだとおっしゃってました。

「アルルの女」「カルメン」両曲ともメロディ楽器とバックのバランスが良く、しかもバックの全ての楽器バランスも完璧。そしてメロディ楽器のフレーズの受け渡しがとてもうまくいってますし、全体的な音の透明感も良く出ています。
特に「アルルの女」が素晴らしく、HMVのHPでどなたかもお書きになっていましたが、特に「アダージェット」が絶品だと思います。とても美しくて感動的。あくまでも主観ですが、アバドが作り出す音楽の美質に、もう少しロマンティックさと熱が加われば完璧な音楽になると思います。
このCDは現在では輸入盤しかありませんので入手しづらいと思います。
比較的入手しやすいエマヌエル・クリヴィヌが指揮したCDもとても素晴らしいと思いますので、こちらもオススメです(http://www.hmv.co.jp/product/detail/1975137)。録音が新しいので、最近はこちらのCDを聴くことが多くなりました。立体的でとても美しく感動的な「アルルの女」です。
また、数年前に東京芸術劇場で聴いたゲルト・アルブレヒト指揮の読売日本交響楽団の「アダージェット」も美の極致でした。

コメント

八野さん、おはようございます。

アルルの女、私もすきです。
メヌエットもさることながら、ファランドールがたまらなく好きですね。
ところで、八野さんにお聞きしたいことがあります。
我が家にはLPレコードがたくさんあります。まだプレーヤーも健在で聞くことができるので、CDとはちがった味を時々きいては楽しんでいます。
かつての名盤をCDにしたものが売られていますが、音質については何を基準に(視聴できない場合は外側の情報のみ)よいものを選べばいいのでしょう。廉価版のクラッシックのCDも何枚か買ったことがありますが、音はあまり満足できません。私のような素人の耳では、「高いお金を出して買ったCDなら安心」という安易な刷り込みがあるような…音の違いなど、わかった顔してきくわけにも行かず…安いのはだめかな?何て思っているだけ??それとも、ちゃんとしたものかどうかを見極めれば、安くてもいいものがあるのか?
八野さんが時々書いてくださっているCDの情報はとても興味深く、新しいことをたくさん知ることができます。ずいぶん前のことですが、安くても音質の良いCDをご紹介くださったこともありましたよね。
今ならはじめからCDの製作を考えての録音なのでしょうが、昔の音源のデジタル化というのがどのようにされているものが良質ととらえればいいのか、教えていただけるとありがたいのですが…。お時間のある時によろしくお願いいたします。

Kiyokoさん、こんにちは。

アナログ盤もなかなか味わい深いものがあって、捨てがたい魅力がありますね。僕はスペースの関係でハードもソフトも全て処分してしまって残念な思いをしていますが、アナログ盤とCDのどちらが無くなったら困るかと考えると仕事のこともあってCDを採るしかありませんでした。ただそのために、どうしたらCDを本来のマスター・テープの音質に近い状態で再生出来るかに努めています。つまりオーディオですね。

さて、kiyokoさんがどういうところにご不満があるのか、文面からだけでは分からないところがあります。例えば、高音がシャリシャリするとか、音のヌケが悪いとか、低音が少ないとか多いとか、立体感が足りないとか、です。
もとのマスター・テープからCD化するに際して、おおざっぱに言えば1990年代中頃まではストレート・コピーをするケースが多かったかもしれません。勿論、音圧をかぜぐ努力はしていたでしょうが・・・。
1990年代中頃から、リマスターの時代に入ったように思います。それまでのストレート・コピーに近い状態から、積極的にマスタリングで音をいじるようになったと思います。

前にもこのブログで書いたと思いますが、マスタリングをどういうフォーマットでやるのかは重要な問題です。私見ではやはりDSDでやるのが一番良いと思っていますが(さだまさしのリマスターものも新しいものもこれでやっています)、実際にはそれ以上に、誰が、どんなコンセプトでマスタリングをするかの方が重要ですし、音質を左右するとも思います。
したがって個人的には世の中に出回っている「リマスター」と銘打っているものが、100%以前のものよりも音質的に向上しているとは思っていません。むしろ聴くに堪えないようなリマスターCDもたくさんあるのが現状です(これは個人的な見解です)。癖のある音にするくらいなら、ストレート・コピーの方がずっと良いとも思います。
また、その作業で使用するモニター環境も非常に重要です。高域が丸いモニター環境で作業するとシャリシャリの音に仕上がり、逆に高域がきつい環境ですとヌケが悪いなまった音になってしまうとご理解戴けると思います。そして、作業する人の個性、つまり好みとか癖などによっても変わってしまいます。

さて、kiyokoさんがおっしゃる通り、それではどうやって音質的にクォリティが高いものとそうでないものを見極めるかが重要なポイントになるわけですが、残念ながら誰にもCDパッケージを見ただけで分かる方法などというものはありません。
よほどのお金持ちは別として、普通は使えるお金には限りがあると思いますので、僕はこのブログで極力フル・プライス(2千数百円以上)ではない廉価盤を紹介しています。世の中には安かろう悪かろう的なものは数多くありますが、リーズナブルにして優れているものも沢山あると思います。

kiyokoさんからのお問い合わせに対する直接的な回答にはなっていないのですが、実際の作業は上記のようにケース・バイ・ケースですので、これ以上のことは書けないのです。
演奏が素晴らしくても音質がそれほどでもなかったり、その逆に音質が良くても演奏がそれほどでもないこともありますよね。ですから極力両方が優れているものを紹介するようにしています。

クラシックを例にとると、全部所有して聴いた訳ではありませんが、「デッカ・ベスト100」や「デッカ・ベスト・プラス50」あたりは録音は古いですが気に入っているCDはたくさんあります。デッカの録音は当時世界最先端を行っており、今聴くと高域に多少の癖(トライアングルなどの金属系の楽器がほんの少し大きい、など)がありますが、今聴いても優れているところは沢山あると思っています。参考までに。
http://www.universal-music.co.jp/classics/release/decca100/

八野さん、お忙しい中、本当にご丁寧なお返事、ありがとうございました。
申し訳ないようです。ふと浮かんだ疑問をすぐにお聞きしてしまって…。
「どういうところに不満があるのか、文面だけではわからない」と
八野さんがおっしゃるとおりです。言っている本人も、何が不満なのか、なんて専門的な耳を持っているわけではないのでわかっておりません。(トホホ…です。)
ただ、「何となく…」なんです。重厚感を感じない、といういい方が一番かも知れません。そんな程度です。でも、八野さんのいろいろなお話を伺って、これからCDを選ぶ際にも、いいものはきっと必ずある!という思いで探してみることにします。それと、八野さんのような方が、「いい音だと思う」とおっしゃったものはきいてみたいなぁと思います。
ことばが足りないメールで恐縮ですが、取り急ぎ御礼まで。 

Kiyokoさん、こんにちは。

「重厚感を感じない、といういい方が一番かも知れません。そんな程度です。」とのことですが、僕もそういうCDはあると思います。CD化された時にリッチな感じが薄れてしまっていることは事実でしょう。

音楽ディスクの主流がLPからCDに変わったことは悪いことではなかったと今でも思っていますし、CDの圧倒的利便性にも満足しています(ディスクを手にした時の存在感は薄れてきましたが・・・)。
CDには長所も短所もありますが、一般的に言って、ご家庭でそのCD本来の音が最大限に活かされた再生がなされているとは到底思えません。
ただ個人的にはSACDという次世代CDが普及しなかったのがとても残念です。ハード、ソフト共に普及していれば、マスター・テープに非常に近いクォリティのものをユーザーの皆さんがご家庭で楽しむことが出来たのに・・・。

例えば、さだまさしの「Mist」や「美しき日本の面影」、チキガリの「Air」などは周波数特性的にもかなりフラットに作ってありますので、それらを聴いて重量感を感じるのに、お持ちのクラシックの廉価盤が重量感を感じないようであれば、そのCDの問題のように思います。しかし、「Mist」なども、クラシックの廉価盤も両方ともあまり重量感を感じないようであれば、オーディオ機材のセッティングを工夫した方が良いかもしれません。
尚、蛇足かもしれませんが、ひとつ言えることは、LPはとても魅力的な音ではありますが、マスター・テープとは異なる音だということです。厳密に言えば、あの音が僕ら制作者の作り出したかった音という訳ではありません。

八野さん、おはようございます。
またまたご丁寧なお返事、恐縮です。
私の家のオーディオはそんなに贅沢なものではありませんが、夫がけっこう下調べをし、納得のいくものを買い求めておりますので、おそらくそんなに悪いものではないと思います。そして、さださんのCDでは音に満足しておりますので、やはり、廉価盤の問題ではないかと思います。確かに音の違いを感じるのです。
マスター・テープを私達が耳にすることは不可能でしょうが、こういう話を聞くといつかきいてみたいなぁと思ってしまいます。
私達はできるだけライブ会場に足を運び、空気も一緒に楽しむことに専念いたします。オーケストラもやはりコンサート会場で楽しむのがいいですものね。
SACDについては、メーカー側も「売れるかどうか」が生産の条件なので、仕方ないのでしょうが、残念なことです。普及して初めて私達のような素人の所には届くのですからねぇ…。
また興味深いお話を楽しみにしています。
いつもありがとうございます。

Kiyokoさん、音楽はコンサートもディスクも両方とも素晴らしいですね。
僕は両方を多少性格の異なるものだと思って楽しんでいます。
個人的には、雰囲気を楽しむなら圧倒的にライヴですし、各楽器のバランスを含む完成度を聴きたいなら圧倒的にCDですし・・・。

SACDはオーディオ・マニアにしか売れませんでしたから・・・。この2、3ヶ月、既に廃盤になってしまった「UCGG-7098」という品番のSACDをネットでも、お店でも探し回っていたのですが、結局入手出来ませんでした。残念でたまりません。
通常のCD盤は持っているので、演奏自体は聴けるのですが、やはり名演は圧倒的な音質のSACDで聴きたいですから。
やはりCDは出た時に無理してでも買っておかないとだめですね。

コメントありがとうございました。

八野さん、おはようございます。

UCGG-7098というのはどんなものかなぁ…という気持で検索したら、amazonで
モーツァルト:レクイエム [Hybrid SACD]
がヒットしましたが、これはちがうのでしょうか??
モーツァルトのレクイエムは私の夫も若かりし頃、合唱で参加してステージに立ったことがある思い出の曲です。
SACDについては知識がないのでわかりませんが、たとえば私がこのCDを買ったとして、普通のオーディオで聞けるものですか?そして、同じ機械でも音質はちゃんといいものになるのでしょうか??
もし、そうなら、この一枚は買ってみたいのですが。
ベームの指揮ですから、ぜひ聞いてみたいのです。
教えていただけたら嬉しいです。

Kiyokoさん、おはようございます。そしてコメントありがとうございました。

そうです、ベーム指揮、モーツァルトのレクイエムです。
amazonでは購入を受け付けるようになってはいますが、メーカーに在庫がありませんので、残念ながら多分amazonから入手するのは不可能だと思います。

「モーツァルトのレクイエム」は近年、古楽器で演奏されたものを聴くことが多かったのですが、時にはモダン楽器で演奏されたものも聴きたくなります。エキサイティングではなくても安心して音楽に身を任せられますから。

さて、SACDは2種類あります。
ひとつは、SACD初期に多かった単に「SACD」と書かれているものです。こちらは純粋なSACDソフトですので、SACDプレーヤーかユニバーサル・プレーヤー(注)でしか聴くことが出来ません。
もう1種類は「SACD Hybrid」あるいは「Hybrid SACD」と書かれているものです。こちらは単なるCDプレーヤーであっても聴くことが出来ますが、それはCD層を聴いていることになり、本来のSACDの高品位の音質ではありません。SACD本来のマスター・テープに近い音はSACDプレーヤーかユニバーサル・プレーヤーでしか聴くことが出来ないんです。つまり「Hybrid」と書かれているものは、SACD層には本来のSACDの音、CD層には普通のCDの音、の2種類が入っている訳です。

(注)SACDプレーヤーでは、SACD、SACD Hybrid、CDを聴くことが出来ます。
ユニバーサル・プレーヤーでは、SACD、SACD Hybrid、CD、DVDオーディオを聴くことが出来ますし、DVDビデオを観ることが出来ます。

ほぉ~…なるほど…勉強になりました。教えていただけて良かったです。よくわからずにHybridなんて書いてあるといいような気がして買ってしまったかも知れません。(手に入れば、ということですが)
モーツァルトのレクイエムは、我が家にはLPとCDがあります。
以前は良くきいていましたが最近はあまりきいていませんでした。また思い出して楽しもうと思います。
わかりやすいご説明、本当にありがとうございました。

Kiyokoさん、コメントありがとうございます。

Hybridにはまだ先の話があります。Hybrid SACDにする際には音楽をDSDに変換することが必要になります(従来CDはPCM)。ですから事実上、リマスターすることになるのですが、ということは従来のマスターを使用したCDよりも音質の向上が期待出来ることになります。そのため、CDプレーヤーしかお持ちでない方でも、Hybrid SACDのCD層の音を聴くことで、随分と音質が向上したと思われる方は多いようです。ただし、Hybrid SACDのCD層の音質と従来のCDの音質は全く同じマスターを使用した場合、従来CDの方が良いという意見もあります。
ちょっと解りにくい話なんですが、同じマスターを使ったHybrid SACDとノーマルCDの2つがリリースされているものでないと聴き比べられないのですが・・・。

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