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2008年11月27日

ラスト3

昨夜は大宮ソニックシティで「さだまさし35周年記念コンサート」がありました。
6月15日の三郷市文化会館から始まった今回のコンサート・ツアーは、いよいよ本日の大宮ソニックシティ、12月3日、4日のNHKホールを残すのみとなりました。

この「35周年記念コンサート」の10月9日と10日両日をフェスティバルホールでライヴ・レコーディングし、その2本のコンサートの“いいとこ取り”したライヴCDを作っていたことは前に書いた通りです。これを来春に発売するべく進行しています。

この贅を尽くしたコンサートがもう間もなく終わってしまうのはとても残念ですが、満足出来るライヴ・アルバム(3枚組)として残すことが出来てほっとしています。

今回のコンサート・ツアーも大勢の方々にお越し戴きました。誠にありがとうございました。

2008年11月19日

アルバム「タイムスリップ」発売!

本日、チキガリのニュー・アルバム「タイムスリップ」が発売されました。

聴いてくださった方々からの反応が楽しみなような、怖いような・・・。
先日、服部克久先生の「音楽畑」コンサートで「好きさ好きさ好きさ」を歌ったところ、「ウォー」という地鳴りのような歓声が凄かったとは聞きましたが・・・。

2008年11月18日

東京ニューシティ管弦楽団 第58回定期演奏会

昨夜はお招き頂いて、東京ニューシティ管弦楽団の演奏会に行ってきました。
僕の隣は作曲家の渡辺俊幸さんご夫妻でした。
会場である東京オペラシティのコンサートホール入り口の手前に巨大なクリスマスツリーがあり、訪れる人たちの目を楽しませていたようです。

白状すると僕自身はブルックナーの数ある交響曲をそれぞれ50回以上は聴いてはいません。ブルックナーに関する書籍やスコアを読んだこともありませんので、ブルックナーや彼の音楽のことをあまり理解しているとは思えません。それでも昨夜の内藤彰さん指揮による「交響曲第5番」の熱気ある演奏のことは忘れられないと思います。
最近の研究によるブルックナーが書いたオリジナルに限りなく近い「版」を初めて使った演奏とのことでしたので、作曲家の当初の意図を想像しながら聴き入っていました(ここのテンポはこうだったのか、ここのハーモニーはこうだったのか等々)。
まるで天上から霧が降って来るかの如く、薄日が差してくるかの如く、時折1stヴァイオリンのトレモロがタケミツメモリアルホールの天井から降り注ぎました。そして僕の大好きな第4楽章のトゥッティの力感と集中力は素晴らしいものがあり、僕の目にはうっすらと涙が滲みました。改めて音楽は素晴らしいと思った瞬間でした。
内藤彰さん、楽員の皆さん、そして事務局の皆さん、素晴らしい演奏をありがとうございました。

2008年11月15日

タイムスリップ 15

このアルバムを企画してから数年になります。その間、じわじわと「おじさんバンドブーム」が起こり、GS(グループ・サウンズ)の再評価と共に、当時活躍された方々が表立った活動を再開しつつあります。

最初に数十曲を荒選びして以来、スタッフやチキガリのメンバーと何度も検討を重ねてきました。その結果、涙を飲んで今回は見送った曲が何曲もあります。
その理由は様々です。
GSの方々は当時20歳そこそこだったのですが、その年齢だからこそ似合った曲は沢山あり、彼らが熟年になってから歌ってもその曲のオリジナル歌手だから何ら不自然さは感じません。ところがチキガリは現在平均年齢が40代に入っています。
また当時ザ・タイガースと共に抜群の人気を誇ったのはザ・テンプターズです。何故彼らの曲が入ってないのかご不満の方もあることでしょう。彼らもヒット曲は多いのですが、その中で現在のチキガリが歌わせていただいても年齢的不自然さがないのは、おそらく「エメラルドの伝説」でしょう。しかしこの歌の冒頭の歌詞は「湖にきみは身を投げた」です。自殺者の数が急増している現在、オリジナルのザ・テンプターズの皆さんが歌うのとは異なり、平均年齢が40代で大人の良識を問われる彼らが歌うにはわずかに抵抗感がありました(個人的にはとても素晴らしい曲だと思っています)。
そしてチキガリの6人のリード・ヴォーカルの曲数のバランスと、それぞれのヴォーカリストにフィットするかどうかも大きなポイントでした。
また、例えばフォーセインツの「小さな日記」や「希望」なども当初候補に挙げましたが、彼らはGSというよりも「カレッジ・ポップス」でしたので今回は見送りました。余談ですが、そのフォーセインツのリーダーで、ヴォーカルを担当されていたのは上原徹さん。上原さんはその後、フジテレビに入社され「夜のヒットスタジオ」などのディレクターをなさり、現在はフジパシフィック音楽出版の社長という重責を担いながらもさだまさしの映像作品を担当してくださっています(つまり近年のさだまさしのDVDは、上原さんが映像ディレクター、僕が音楽ディレクターという訳です)。

このように涙を飲んで見送った曲の何と多いことでしょう。僕としては何曲でも使わせて頂きたかったというのが本音です。今回のレコーディングの前も後も、GS作品を生み出された方々、GSの方々、そしてGS関係者の方々に対する尊敬の気持ちでいっぱいです。当時のリスナーの人たちを喜ばせていただき、後進を育てていただき、そして今回楽曲を使わせていただき、本当にありがとうございました。

エンジニアの鈴木智雄さん、遠藤等さん、谷健太さん、アシスタント・エンジニアの石山晶規さん、西山潔さん、そしてマスタリング・エンジニアの鈴江真智子さんを始めレコーディング関係者の皆さん、ありがとうございました。皆さんの協力と努力があったからこそ、このアルバムが出来上がりました。また次も宜しくお願い致します。そしてレコーディング機材を提供してくださったAccuphaseさん、Acoustic Reviveさんにも感謝申し上げます。

チキガリのメンバー共々ギリギリまで選曲その他の練り直しをしました。それゆえ時間のあまりない中でレコーディングに突入することになってしまいました。チキガリのメンバーの頑張り無しにはこの企画や作品自体が成立しませんでした。レコーディングの回数を重ねる毎に、アルバムの数を重ねる毎にチキガリは進化し続け、深化し続けています。彼らは「音楽」を愛しているからこそ成長し続けることが出来ているのだと思います。このアルバム「タイムスリップ」は彼らのアルバムの中で、音楽的な観点から見ても、オーディオ的な観点から見ても、間違いなく今までで最高のものになったと思います。

当時GSをお聴きになっていらした方々の「思い」や「気持ち」が「あの頃」にタイムスリップ出来て、楽しんで頂けるのなら、そしてGSを知らない世代の方々にも楽しんで頂けるのなら幸いです。そして前にも書きました通り、様々な世代の方々がこの「タイムスリップ」がきっかけのひとつになって、お互いに理解を深めることが出来、今まで以上に会話の場が持てるなら、こんなに嬉しいことはありません。

2008年11月14日

タイムスリップ 14

「いつまでもいつまでも」
作詞・作曲は佐々木勉さん。オリジナルは「ザ・サベージ」の皆さんが歌っていました。サベージのリーダーは奥島吉雄さん(ギター、ヴォーカル)で、後にヤマハでプロデューサー(レコーディング・ディレクター)をなさり中島みゆきさんのアルバムも担当されていたと思います。もうひとりのヴォーカリストが寺尾聰さん。寺尾さんは名優・宇野重吉さんの長男として生まれ、歌手としてだけでなく後に俳優としても活躍されているのはご存じの通りです。1981年に「ルビーの指環」が大ヒットしましたね。

この曲も当時としてはコード進行が凝っていて、マイナー系のコードに移ったり、オーギュメントがあったりととても印象的でしたので、今回のチキガリでもそれらを活かしたアレンジにするように依頼しました。
そして基本的に6声コーラスにアレンジしていますので、チキガリのアルバムにはよくあることですが、アルバムのラスト曲にしました。
過ぎ行く季節の中のラヴ・ストーリーを爽やかに、切なく、もの悲しく歌ったこの名曲は、このアルバム「タイムスリップ」のラストを飾るにふさわしい曲だと思います。

2008年11月13日

タイムスリップ 13

「廃虚の鳩」
作詞は山上路夫さん、作曲は村井邦彦さん。村井さんはこの後、赤い鳥に「翼をください」「忘れていた朝」などを提供して作曲家として活躍され、アルファレコードを設立しプロデューサーとして荒井由実さんをデビューさせました。
この「廃虚の鳩」のオリジナルはザ・タイガースで、アルバム「ヒューマン・ルネッサンス」のラスト曲として収録され(シングルにもなりました)、リード・ヴォーカルは加橋かつみさんが担当なさっていました。
メロディの素晴らしさと共に、音楽全体のクラシカルなイメージと加橋さんのハイトーン・ヴォーカルが印象的で、その歌詞も素晴らしいものだと思います。この歌詞は現在にも当てはまります。いや、40年前以上に理不尽で悲惨な出来事が多い現代の方が遙かに聴く人の胸に突き刺さるように思います。この曲が深夜のニュース番組のエンディング・テーマにでもなったら、物凄くインパクトがあるでしょうね。
さて、この曲のタイトル表記ですが、当初「廃墟の鳩」が正しいのか、「廃虚の鳩」が正しいのか悩みました。調べてみると両方ともCDなどで使われているようでした。結局、この曲を管理している音楽出版社「渡辺音楽出版」さんに確認したところ、最初にレコード化した時のもの(「廃虚の鳩」)に揃えて欲しいとのことでした。そういう事情で、このアルバム「タイムスリップ」では「廃虚の鳩」と表記しています。

チキガリ・ヴァージョンでは、この曲もイントロなどのフレーズはオリジナルのものを使わせていただきました。この曲を使わせていただくにあたって、加橋さんの美声のイメージではなく、今回はもっとシンプルな方がいいと思いました。
様々なしがらみの中で生活をしていると、悲しいこと、理不尽に思うこと、人間の見苦しい面を見ることにも遭遇します。仕事や人間関係などに疲れて帰宅の途につき、雑踏を離れ、自分の部屋に入り、ひとりになった時に、ふっと溜息をついたりします。そんな時、自分に言い聞かせるように何かの曲をふと口ずさんでしまうことはありませんか?
僕はそういう状況を想像した時に、この「廃虚の鳩」の冒頭のフレーズを唄うイメージに数年前から取り付かれてしまいました。これはもう前澤ウィスパー・ヴォイスしかないと思いました。最も伝えたいことはシンプルに伝える方がいいですし、音楽的にもそういう方向にする方がこの曲を活かせますし、チキガリ自身をも活かせると思いました。メンバー全員が理解してくれ、この曲の世界を見事に表現していると思います。

2008年11月12日

タイムスリップ 12

「青い鳥」
作詞・作曲はザ・タイガースのメンバーの森本太郎さん。タイガースのオリジナルでは、リード・ヴォーカルが沢田研二さんで、3度下を森本さんがハモっています。
これはタイガースの名アルバム「ヒューマン・ルネッサンス」(2008.7.14にこのブログで書いています)の中に収録されていて、シングルにもなりました(アルバムとシングルはヴァージョンが異なると思います)。
これもタイガースを代表する曲のひとつでしょう。僕は必死にこの曲のギターをコピーしていましたので、イントロや間奏のフレーズが染みついていますが、同時期に聴いていた方にとってもこれらのフレーズが染みついているのではないでしょうか。

チキガリ・ヴァージョンでは、イントロ、間奏などのオリジナルのフレーズをそのまま使わせていただき、Aメロではリーダー川上のリード・ヴォーカル、濱田のハーモニー・ヴォーカルになっています。川上の哀愁のあるウェットなヴォーカルと、初めての試みである川上・濱田によるツイン・ヴォーカルをお楽しみ下さい。
尚、前にも書きました通り、タイガースはレコードではクラシックを意識した音楽作りをやっていましたので、この曲のチキガリ・ヴァージョンでは間奏のメロディのバックで、3人のコーラスによるバロック風のフレーズを使ってクラシカルなイメージを出しています。

2008年11月11日

タイムスリップ 11

「シーサイド・バウンド」
作詞は橋本淳さん、作曲はすぎやまこういちさん。オリジナルは言わずとしれたザ・タイガース。
僕は小学生の時にこの曲を聴いて衝撃を受け、GSファン、タイガース・ファンへの道をまっしぐら。それからというものギターの練習に明け暮れました。
制作陣の希望によるものなのかどうかは知りませんが、すぎやまこういちさんはこの曲を作曲するに際し、海のイメージを出すためか部分的に沖縄音階(ドレミファソラシドの中の「レ」と「ラ」がありません。「ドミファソシド」と歌うだけで気分は沖縄になります)をお使いになっています。

やはりアップテンポでノリが良い曲のリード・ヴォーカルは濱田以外にないと思います。やはり彼にやってもらって大正解でした。間奏のメロディ(タイガースがラララで歌っているところ)はオリジナルを使わせていただきました。また、オリジナルにあるエレキ・ギターによる間奏のメロディと同様のものは小林がやっています。1回目の方はザ・ビートルズの「イェロー・サブマリン」を連想させますが、彼はヴィブラートを唇でやったのではありません。CDを聴いていただいて、どうやってやっているのかがお分かりになったら凄いと思います。よ〜く聴いて、そのやり方を想像してみてください。

2008年11月10日

タイムスリップ 10

「たどりついたらいつも雨ふり」
作詞・作曲は吉田拓郎さんです(それにしても拓郎さんの曲は、どなたが歌っていても拓郎さんの曲だと分かりますから、物凄く個性があるということですね)。

拓郎さんはGSのイメージではないと思いますが、この「たどりついたらいつも雨ふり」は鈴木ヒロミツさんが在籍されたザ・モップスが歌っていました。
鈴木ヒロミツさんはグループ解散後、俳優、タレントとして活躍されましたが、残念ながら昨年他界されました。亡くなる1週間前のインタビューと病床で書いた奥さんとお子さんへの手紙をまとめた書籍「余命三ヵ月ラブレター」が幻冬舎より出版されているそうです。
またモップスのギタリストだった星勝さんは、その後アレンジャーとして井上陽水さん、小椋佳さんなど数多くの作品で活躍されています。

チキガリ・ヴァージョンでは小林がリード・ヴォーカルを担当し、オリジナルのロック色とは多少異なる透明感溢れる世界を表現しています。サウンド全体では、モップスのものは泥臭くカッコいいロック色溢れるものですが、チキガリ・ヴァージョンはより洗練されたスマートなものになっていて、間奏のクロマティック(半音階)のフレーズが印象的だと思います。

2008年11月09日

タイムスリップ 9

「長い髪の少女」
作詞は橋本淳さん、作曲は鈴木邦彦さん。デイヴ平尾さん率いるザ・ゴールデンカップスが歌ってヒットしました。カップスは横浜を本拠地に活躍したバンドで、演奏力に定評があり、後にキーボーディストとして15才のミッキー吉野さんが参加されました。当時、彼は天才少年と呼ばれていたことをご記憶の方もおありだと思います(ミッキー吉野さんは後年ゴダイゴを結成し、「ガンダーラ」「銀河鉄道999」「ビューティフルネーム」などのヒットを飛ばすことになります)。
オリジナルのカップスのヴァージョンは、ドラムスのマモル・マヌーさんの甘いヴォーカルとデイヴ平尾さんの個性的なヴォーカルによるとても印象的なものでした。

チキガリの数ヶ月前のコンサートで「ソー・マッチ・イン・ラヴ」をやりました。それを聴いて、「これは使える」と思いました。メンバーの濱田がそれまでの振り絞ったようなハイトーン・ヴォイスではなく、柔らかい声で歌っていて新しさを感じたのです(勿論、彼の最大の特徴はインパクトのあるハイトーン・ヴォイスであることは間違いありませんが・・・)。これを受けて、彼のそういう側面をCDでも出せないかと探ってきましたが、この「長い髪の少女」はそれにピッタリだと思い、これをこのチキガリ・ヴァージョンのコンセプトのひとつにしました。
ミックス・ダウン中にある関係者がスタジオに入って来て、「これ誰ですか?」と言いました。僕にとっては「してやったり」と思った瞬間でした。「何これ?」とか「誰これ?」を毎回やるのは不可能ですが、何かしらの新しいチャレンジはし続けたいと思っています。

2008年11月08日

タイムスリップ 8

「ブルー・シャトウ」
作詞は橋本淳さん、作曲は井上忠夫さん。
この曲のオリジナルは言わずとしれた「ジャッキー吉川とブルーコメッツ」。
作曲者の井上忠夫さんはブルーコメッツ解散後、作曲家「井上大輔」として活躍され、数々のヒット曲をこの世に送り出しました。井上さんはこの「ブルー・シャトウ」を15分で作曲なさったと聞いたことがありますが、残念ながら彼は数年前に他界されていますので確かめようがありません。ギターの三原綱木さんとのユニゾン・ヴォーカルとハーモニー・ヴォーカルが実に印象的でした。

チキガリでは、ゴールデン・コンビであるリーダー川上と小林のユニゾン・ヴォーカルとハーモニー・ヴォーカルを前提にしたアレンジにし、イントロや間奏などはオリジナルに忠実にやらせていただきました。流石に学生時代からずっと一緒にやっているだけあって、川上と小林のツイン・ヴォーカルは完璧です。
この歌が流行った当時、替え歌にもなったことがあり、数多くの老若男女に親しまれました。それ故この曲はGSを代表する曲と言っても過言ではないでしょう。

2008年11月07日

タイムスリップ 7

「バン・バン・バン」
作詞・作曲はザ・スパイダースのメンバーかまやつひろしさん。この曲は様々な方によってカバーされていますし、最近CMで替え歌が流れているように思います。
オリジナルは「田辺昭知とザ・スパイダース」。

このグループのヴォーカリストは近年司会者としても活躍され、最近素敵な曲のCDをリリースした堺正章さん、そして俳優としても活躍されている井上順さん。勿論、ソング・ライターのかまやつひろしさんも曲によってはヴォーカルを担当されていました。リーダーの田辺昭知さんは、グループをやりながらスパイダクションというプロダクションを作り、それが後にあの「田辺エージェンシー」に発展することになります。ギターの井上尭之さんは、後にキーボードの大野克夫さんらと共に「井上尭之バンド」を結成し、「太陽にほえろ!」のサウンド・トラックをやってらっしゃいました。

チキガリ・ヴァージョンではベースの長谷川がリード・ヴォーカルを担当し、例のベース声で歌っています。そのため、この曲では臨時にベース・ヴォーカルを渡辺が担当しています。
この曲の場合、アレンジは原曲と異なるものにし、間奏では誰かと誰かが交互にソロを取るようなアレンジにして欲しいとメンバーに伝えました。結果はCDでお聴きいただきたいのですが、ステージでも盛り上がるのではないでしょうか。

2008年11月06日

タイムスリップ 6

「モナリザの微笑」
作詞は橋本淳さん、作曲はすぎやまこういちさん。ザ・タイガースの3rdシングル曲で、ジュリーこと沢田研二さんによる甘く切ない歌唱、そして全編に流れる弦やハーモニカによるフレーズが印象的です。

この曲のヒット以来、僕にとってはハーモニカが使われている名曲と言えばこの「モナリザの微笑」になりました。当時特に沢田研二さんの人気は凄まじく、若い女性が熱狂していたのを覚えています。テレビに出てこの曲を歌う時には、メンバーの森本太郎さんがハーモニカを吹いていらっしゃる姿が印象的でした。後年僕が音楽業界に入った頃、タイガース解散後に音楽プロデューサーとして活躍されていた森本太郎さんとワーナー・スタジオで頻繁にすれ違ったのを記憶しています。

今回のチキガリのヴァージョンでは小林がリード・ヴォーカルを担当し、アレンジ的にはオリジナルの印象的なイントロのフレーズやオブリガートをそのまま使わせていただきました。歌やコーラスを含めた全体のサウンドが甘く、ウェットで、切なく、もの悲しいものにすることがテーマだったのですが、そのように感じ取っていただけますでしょうか。

2008年11月05日

タイムスリップ 5

「花の首飾り」
作詞は菅原房子さん、補作詞はなかにし礼さん、作曲はすぎやまこういちさん。原曲はGSの大人気グループあの「ザ・タイガース」が歌っていました。集英社の月刊「明星」が「タイガースが唄う歌募集」ということで歌詞を募集し、菅原房子さんのものが選ばれ、なかにし礼さんが補作したものだったと記憶しています。

タイガースの前身、「サリーとプレイボーイズ」は、岸部修三さん(愛称:サリー、リーダーでベース担当)、瞳みのるさん(愛称:ピー、ドラムス担当)、森本太郎さん(愛称:タロー、ギター担当)、加橋かつみさん(愛称:トッポ、ギター担当)の4人によって京都で結成され、その後「サンダース」で活動していた沢田研二さん(愛称:ジュリー、ヴォーカル)が加入し、バンド名を「ファニーズ」に改称。その後、あの内田裕也さんから渡辺プロダクションのオーディションを受けるように勧められ、それに合格して東京に出てくることになります。そしてフジテレビのディレクターであり、作曲家のすぎやまこういちさんと出会い、彼らが関西出身であることから、すぎやまこういちさんがバンド名を「ザ・タイガース」と命名。その後、彼らザ・タイガースの快進撃が始まります。

タイガースにはメイン・ヴォーカリストとして、今年還暦を迎えられたジュリー(ジュリー・アンドリュースのファンであることから)こと沢田研二さんがいらっしゃいますが、この「花の首飾り」は加橋かつみさんが唄っています。作曲者のすぎやまこういちさん自身によるオリジナルのアレンジでは、ハープのアルペジオからスタートし、歌が始まると、弦楽器による美しいオブリガートがそこここにちりばめられています。この曲は詞曲の素晴らしさに加え、クラシカルで幻想的にして美しいサウンドに特徴があり、それにプラスして加橋さんの綺麗なハイトーンのヴォーカルが良い味を出していると思っています。この曲がGSで一番売れた曲だったのではないでしょうか。

チキガリのヴァージョンでは、リーダー川上がリード・ヴォーカルを担当。オリジナルにある、この曲の全編を支配するアルペジオと美しくも印象的なオブリガート、そして全体的に幻想的なイメージにするという基本的なサウンド・コンセプト(そういう風に思っているのは僕だけではないと思います)を守ることがこの曲にとって一番ふさわしいと思いました。
タイガースは「中世の騎士」というイメージ戦略がなされ、コーラスや管弦楽を多用することが音楽上のテーマだったように感じていますので、今回のアルバムでタイガースの曲を使わせていただいたものは基本的にクラシカルなアレンジを意識しています。またこの曲が今回のアルバムの中で一番ミックス・ダウンに時間がかかりました。幻想的で美しい仕上がりに出来たと思います。

2008年11月04日

タイムスリップ 4

「亜麻色の髪の乙女」
作詞は橋本淳さん、作曲はすぎやまこういちさん。すぎやまこういちさんと言えば、近年では大ヒット・ゲーム「ドラゴンクエスト」の作曲者として有名ですが、元々はフジテレビの名ディレクターで、音楽番組をおやりになりながら、作曲家としても活躍なさっていました。この「亜麻色の髪の乙女」は2002年に島谷ひとみさんがカバーしてヒットしたのはご記憶に新しいと思います。

この「亜麻色の髪の乙女」は「GSの貴公子」と呼ばれた「ザ・ヴィレッジ・シンガーズ」が1968年に歌ってヒットしました(元々、青山ミチさんが1966年に「風吹く丘で」というタイトルで録音していたそうですが・・・)。
ザ・ヴィレッジ・シンガーズのメンバーは小松久さん(リーダー、ギター)、清水道夫さん(ヴォーカル、ギター)、林ゆたかさん(ドラムス)、笹井一臣さん(ベース)、小池哲夫さん(キーボード)。
グループ解散後、小松さんはTUBEやZARDなどのディレクターとして、清水さんは細川たかしさん、冠二郎さんなどのディレクターとして、笹井さんもレコーディング・ディレクターとして、小池さんはCM音楽プロデューサーとして、また林さんは俳優として活躍。そして近年、「ヴィレッジ・シンガーズ」は再結成されているようです。
10年程前のある日、東京・新宿のあるコンピューター・ショップで、ヴィレッジ・シンガーズのリーダーだった小松久さんをお見かけしました。「あっ、小松久さんだ」と思った瞬間、エンジニアの鈴木智雄さんに声をかけられました。小松さんはソニーミュージックでディレクターをされていたので、同じソニーミュージック出身の鈴木智雄さんとは仕事仲間です。それゆえ一緒にMacショップにいらしていたそうです。そして小松さんを紹介して頂きました。

チキガリ・ヴァージョンでは、この曲のリード・ヴォーカルを渡辺がやるのが、曲本来の爽やかなウキウキ感を出せると当初から思っていました。アレンジは原曲とは多少異なりますが、これはこれで成功したと思っています。また渡辺の声は午前中が一番良いと彼も僕も思っており、やはり午前中にこの曲のリード・ヴォーカルの歌入れをやって大正解でした。彼の声には爽やかな張りがあり、今回のアレンジではリズムがハネるようになっていますので、若い女性が恋人に会うためにいそいそ出掛ける様を見事に表現出来ているのではないでしょうか。

2008年11月03日

タイムスリップ 3

「好きさ好きさ好きさ」
この曲は元々イギリスのゾンビーズが1965年に歌ったものです(原題は「I Love You」クリス・ホワイト作)。
そして日本では漣健児さんが日本語詞を付け(楽譜出版社であり音楽出版社でもあるシンコーミュージックの総帥、故・草野昌一さんは訳詞をなさる時に「漣健児」というペンネームをお使いになっていました)、ザ・カーナビーツの皆さんが歌ってヒットしました(ですから正確にはこのヴァージョンもカバーだった訳です)。
特にドラムのスティックを持ちながら「お前の〜すべて〜」と歌う当時16歳のアイ高野(2006年にご逝去)さんのインパクトはもの凄いものがありましたので、ご記憶の方もおありだと思います。

この「好きさ好きさ好きさ」をチキガリが歌うに際し、この曲を最大限に活かすには濱田のリード・ヴォーカル以外にないと全員一致で決まりました。これでオリジナルのインパクトとカッコ良さを残し、チキガリらしさも出すことが出来たと思います。
ヴォーカルとエレキ・ギターの存在がGSの特徴だと言われていますが、このチキガリの「好きさ好きさ好きさ」では、小林が「口三味線」ならぬ「口ギター」をやっています。ミックス・ダウンでエフェクト処理はしていますが、生で聴いてもギターそっくりで、レコーディング時にスタジオにいた全員が凄いインパクトを受けました。いつかは「尺八」や「三味線」などの和物にもトライして欲しいと思います。

2008年11月02日

タイムスリップ 2

「想い出の渚」
1966年に発表されヒットしたザ・ワイルド・ワンズのデビュー曲。作詞はメンバーの鳥塚繁樹さん、作曲はワンズのリーダーの加瀬邦彦さん。
ザ・ワイルド・ワンズは加瀬邦彦さん(リーダー、リード・ギター)、鳥塚繁樹さん(ヴォーカル、ギター)、植田芳暁さん(ヴォーカル、ドラムス)、島英二さん(ベース)でしたが、後に渡辺茂樹さん(ヴォーカル、キーボード)が加入しました。

ザ・ワイルド・ワンズの皆さんは当時大人気だったママス&パパス(アメリカのロック・バンドで混声コーラスに特徴がありました)がお好きだったようで、「夢のカリフォルニア」などのカバーもされていたように記憶しています。
「ザ・ワイルド・ワンズ」というバンド名の命名者は、加瀬邦彦さんの大学の先輩でもあられる、あの加山雄三さんです。
余談ですが、僕は音楽業界に入った頃よくワーナー・スタジオに出入りしていました。当時ワーナーのチーフ・エンジニアをなさっていたのがワンズの島英二さんのお兄さんの島雄一さんで(元々はドラムをおやりになっていたそうです)、後にさだまさしの「親展」を一緒に作ることになります。また、スタジオ・レコーディングで時々ご一緒するベーシスト・渡辺直樹さんは、ワンズの渡辺茂樹さんの弟さんです。

「想い出の渚」は夏の日の恋を振り返って歌ったものですが、爽やかでありながらも、ちょっぴりもの悲しい湘南サウンドに特徴があると思います。ザ・ワイルド・ワンズのオリジナル盤ではイントロなどで加瀬さんの弾く12弦ギターが実に印象的で、爽やかなイメージの広がりもありました。ですからチキガリ・ヴァージョンでもそのイントロのフレーズを残してあります。また、チキガリのCDでは初めて、全員が交代してリード・ヴォーカルをとっていて、爽やかでありながらもちょっぴりもの悲しいこの作品に合った、実に彼ららしい作品に仕上がったと思っています。

2008年11月01日

タイムスリップ 1

これから何回かに分けてチキガリのニュー・アルバム「タイムスリップ」について書こうと思います。具体的な内容に触れるようなこともありますので、先入観なしに「タイムスリップ」をお聴きになりたい方は、この先をお読みにならないでください。

数年前にこの「チキガリがGS作品を歌う」という企画を考えた時、音楽的に成功するかどうかに関しては、それぞれの曲で誰がソロを取るか、それぞれの曲のアレンジ・コンセプトをどうするかが鍵だと思いました。
GS(グループ・サウンズ)の方々が実際にお歌いになっていた頃(1960年代後半がメインですので40年前)、小学生だった僕は彼らにのめり込み、多大な影響を受けてギターを始めました。
その少し前にヒットを連発していた加山雄三さんの「旅人よ」もそうですが、GSの曲のいくつかはダイアトニック・コード(ドレミファソラシドの音を根音にしたコード)だけではなく、ノン・ダイアトニック・コード(ドレミファソラシド以外の音を根音にしたコードで転調感が伴います)が時々使われていました。あのビートルズが好んで使っていたこのノン・ダイアトニック・コードの響きは、当時もの凄く斬新でカッコ良く聞こえました。
そしてあの頃実際に聴いていた人にとって、イントロ、間奏、歌中のオブリガートなどに特に印象的なフレーズが存在します。つまりそれらは曲と切り離せない存在なのです。さだまさし作品では例えば「精霊流し」のイントロは曲のメロディそのものと一体化していますし、「風に立つライオン」には「アメイジング・グレイス」の存在は欠かせないと思います。つまり全ての曲に原曲とは異なるテイストを付加しすぎてしまうと、原曲を知っている人にとって新しさはあっても共感とはほど遠いところに行ってしまう可能性があります。

最終的な選曲とその13曲のリード・ヴォーカリストの選定と共に、その13曲でどの曲の(オリジナルにあった)どのフレーズ、どのコードをアレンジ上残すか、どの曲のアレンジはフレキシブルにするかなどを決め、それをチキガリのメンバーに正確に伝えることが重要な課題でした。
勿論、僕ひとりで決めた訳ではありませんし、メンバーの意見も入ってはいますが、それらの意図をくんでアレンジ担当の渡辺を始めメンバー全員がよくやってくれました。その結果、全体的な統一感がありながらもバリエーション豊かで、音楽的・オーディオ的にも今までで最高のカバー・アルバムになったと思いますし、業界内の評判も良いようです。
メンバー、スタッフ全員がGSの方々、作家の方々及びその作品に対し、尊敬の念を持っていますし、そういう気持ちを持って実際にレコーディングに励みました。音を聴いて頂いてそれが伝われば最高です。