影響を受けたCD その105
ポール・サイモン/ハーツ・アンド・ボーンズ
http://www.amazon.co.jp/Hearts-Bones-Paul-Simon/dp/B0002847XG/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=music&qid=1246363750&sr=1-1
商業的にあまり成功しなかったためか、どちらかと言えばポール自身は失敗作だと思っている節はあるのですが、個人的には実にポール・サイモンらしいかなり優れたアルバムだと思っています。
あの名アルバム「時の流れに」や「ワン・トリック・ポニー」は、ポールとフィル・ラモーンの共同プロデュースのためか、普遍的ではあってもややドライなサウンドでした。
このアルバムのプロデューサーはポールの他に、エンジニアでもあるロイ・ハリー、そして、あのレニー・ワロンカー(※1)とラス・タイトルマン(※2)です。そのためもあるのか、かなり奥行きのあるサウンドで、全体がウェットに出来ています。それがいくつかの曲調と凄くマッチしていて、美しくて、切なくて、実に感動的な作品だと思います。
後に「ネゴシエーションとラヴ・ソング」というベスト・アルバム(アルバム「グレイスランド」よりも前の作品からのセレクション)をリリースしますが、そのタイトルはこの「ハーツ・アンド・ボーンズ」に収録されている切なくなるような名曲「遙かなる汽笛に」の一節です。曲の印象的な1フレーズをベスト・アルバムのタイトルにしてしまうようなところが、いかにもポール・サイモンらしいと思います。
僕は自分が関わるどのアルバムのレコーディング、ミックスをする際にも、このアルバムのことを考え、参考にしているところがあります。
このアルバム「ハーツ・アンド・ボーンズ」の特徴は、新しさもさることながら、あの「バーバンク・サウンド」を彷彿させるノスタルジックで幻想的なサウンドと彼らしいウェットな歌詞を持った作品であると言えるでしょう。
※1 アメリカのメジャー・レコード会社、ワーナー・ブラザーズの当時の顔とでもいうべき大物プロデューサー。音楽とビジネス両方の才能を持った人物で、後にワーナーの社長になりました。彼がプロデュースしたのは、ヴァン・ダイク・パークス、ランディ・ニューマン、ライ・クーダー、エヴァリー・ブラザーズなど。「バーバンク・サウンド」の創始者。
※2 レニー・ワロンカー配下でリトル・フィート、リッキー・リー・ジョーンズ、ジェイムス・テイラー、ジョージ・ハリスンなどのプロデューサーとして活躍。