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別れの風景

「別れの風景」を題材にしたポピュラー・ソングは数多くあります。
「別れの風景」を題材にした作品を書いたらこの人の右に出る人はいないのではないかと思っているソング・ライターは「正やん」こと伊勢正三さん(さだまさしはあまりにも身近すぎてこういう場合は念頭に置いてはいません)。そしてまた伊勢さんは「小道具使い」の名手でもあります。

ご存じの通り「なごり雪」はプラットホームでの別れのシーン。「なごり雪」を小道具に使い、「去年よりずっときれいになった」というフレーズで締めています。これによって風景描写と心情描写とが重なり、男女間に於ける時間の流れ方の相違にも目を向けさせられます。
「22才の別れ」では女性が去るシーンを「なごり雪」とは反対に女性側から描いたもの。ここでの小道具は鏡とローソク。個人的には鏡を使ったことが秀逸だと思います。そして「あなたは〜、そのままで」というフレーズによって女性の心情が表現されていますが、一方では、去って行く女性はそのようには考えないという意見もあるようです。

特に有名なのは上の2曲でしょうが、その他にも素晴らしい楽曲は数多くあります。例えば「あの歌はもう唄わないのですか」では小道具「マッチ」を使うことにより情景描写と心情描写とが見事に重なり最大限の効果を上げていると思います。また「海岸通」では「あなたの言う通り妹のままで〜」というのは何とも哀しいフレーズで、聴く人の涙を誘います。

このように名曲が多い彼の作品の中で個人的に最も感動するのは「君と歩いた青春」(太田裕美さんのヴァージョンもとても素敵ですね)。伊勢さんは言わずとしれたストーリー・テラーです。個人的に歌詞の中に欲しいと思う要素は、「時の流れ」「情景描写」「心情描写」「事象の多面的描写」「色彩感」「温度感」「空気感」「ノスタルジックさ」「普遍性」などですが、特にこの作品にはその全てが網羅されているように思います。
幼い頃の故郷での出会いに始まり、仲間と共に成長し、それぞれが都会に出て暮らし、二人して同じ時を過ごし、やがて別れ行く。そのストーリーの中で男が最後に呟く言葉は・・・。この男の身勝手とも悔恨とも諦めともつかない複雑な心情。この曲を聴く度に涙腺が弱くなるのは僕だけではないと思います。しかし「心」や「純粋さ」や「思い遣り」が美しいと思えるような時代ではなくなってしまっているのかもしれませんし、もしかすると男の身勝手さだけを書き連ねたものに見えてしまう時代なのかもしれません。

かつて伊勢さんと仕事をさせて頂いた折、電話で何度か話をさせて頂きましたが、憧れの人なだけに思いっきり緊張しました。
伊勢正三さんにはこれからもお元気で活躍して欲しいですし、伊勢さんのようにクォリティの高い作品を紡ぎ出せる人にもっともっと出てきて欲しいと思います。

コメント

八野さん、こんばんは

伊勢正三さんの歌は私もとても好きです。特に「置手紙」が好きでした。なつかしいです。

八野さん、こんばんは!
正やんさんがかぐや姫や風で歌ってみえた時代はリアルでは知らないのですが(小・中学生だったのですが)、さださんのファンになり、さださん以外の当時フォーク歌手・ニューミュージック歌手と呼ばれてみえたいろんな方々の歌も聴くようになり、イルカさんの歌で正やんさんを知りました。(懐かしのメロディー?みたいな番組で過去の映像を見聞きすることはありますが。)イルカさんご本人が作られた歌ももちろん素敵ですが、「なごり雪」「海岸通」「雨の物語」どれも正やんさんの作品なのですよね。本当に素晴らしいストーリー・テラーですよね。(高校生の頃、「海岸通」の情景に物凄く憧れてました。海なし県に住んでいる私が物凄く海に憧れるようになったきっかけの歌だと思います。(さださんの歌にも素敵な海の歌本当にたくさんありますけど。)とにかく「海岸通」の初めの♪あなたが船を選んだのは私への思いやりだったのでしょうか♪からもうずっと「心情描写」ととても美しい「情景描写」とにすっかりやられてしまったって感じです。残念ながら八野さんの一押しの「君と歩いた青春」は聴いた事がないので、レンタルショップかどこかで探して聴いてみたいなと思います。

あ~・・・罪です、八野さん・・・
私、もう、いけません、「正やん」・・・

彼のあの、ちょっと鼻にかかったような声、
少しぶっきらぼう気味にすら聞こえる、照れたような歌い方、
全てが胸キュンです。

Kiyokoさん同様、私も、「置手紙」、たまりません。
おめめさん同様、私も残念ながら、「君と歩いた青春」、知りませんでした。
今、歌詞だけ確認したところですので、また味わってみたいと思います。

でも、私にとっては、何と言っても、「22才の別れ」、これが一番思い出深いものです。
丁度その年まわりの頃に、まさに歌のとおりの状況があり、苦しい葛藤とこの歌が、ピッタリと重なっていました。ペドロ&カプリシャスの「別れの朝」ともども、若かりし日々の恋愛の・・・
「甘酸っぱい」思い出です。
「苦い」思い出にせずに、本当に良かった・・・あれから35年経った今の気持ちです。

Kiyokoさん、おめめさん、凛さん、こんにちは。
コメントありがとうございました。

確かに「置手紙」が好きな方も多いですね。

様々な曲には作者や関係者の「思い」だけでなく、リスナーにとっての「思い出」が詰まっているのだと思います。
気に入った歌は「思い出」と共に「永遠」ですね。

八野さん、こんにちは

フォークソングを聴き始めの頃の中学生の私にとって、伊勢正三さんこと正やんはさださん、谷村さんと並んで「三大素敵作詞家」でした。
御三方それぞれが描くその小説的世界観。そして限りなく美しく丁寧な日本語で表現された作品の数々は今でも宝物ように私の思い出の中に残っています。

かぐや姫時代の隠れた名曲「アビーロードの街」かぐや姫版反戦歌「あの人の手紙」何より好きだったのは正やんがイルカさんのソロデビュー曲として提供した「あの頃の僕は・・」です。

「あの頃の僕は若すぎて・・・」
青春時代の大切な思い出の一曲です。

羽柴小一郎さん、おはようございます。
コメントありがとうございました。

学生時代にやっていた音楽サークルの仲間に、大の「かぐや姫」ファンがいました。
当時、僕はどちらかと言えば「洋楽派」だったのですが、「かぐや姫」のみなさん、「イルカ」さんのレコードも紹介してもらいました。「アリス」のみなさんも含めて名曲が多いですね。

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