今日は貴重な体験をしました。
このところずっとまさしと一緒に連日連夜スタジオにこもっていますが、スケジュールは押しながらもまあまあ順調に作業が進んでいるため、昨日と今日はまさしがオフを取りました。
昨日は一日レコーディング・スタッフだけでエディット作業をしましたが、今日だけはレコーディング・スタッフも皆でオフを取ることに。
数日前、その日の作業が終わった時、アシスタント・エンジニアの西山クンが「ヴィラ・アフガンでカレーを食べて、分杭峠に行きたい」と言い出しました。
今回のアルバムにより大きなパワーを注入したいとの思いもあり、彼の希望を受け入れることになりました。
昨夜からの雨や雪で実行が可能かどうかはわかりませんでしたが、新宿駅近辺に朝9時30分、エンジニアの鈴木智雄さん、谷クン、西山クン、僕が集合し、中央高速を山梨方面へと車を走らせました。
しばらく走ると甲府近辺が通行止めとの情報。それでも行ってみると通行止め直前にある出口は大渋滞。出口の数メートル手前で突如通行止めが解除になり、そのまま高速を走りました。その後も通行止めやチェーン規制を心配しながらの旅は続きました。
車のチェーンを付けたり外したりしながら目的地のひとつヴィラ・アフガンに予定の30分を過ぎた12時に到着。
すると駐車場前を店のスタッフの方々が雪掻きをしており、声をかけると、雪のためにまだ何も料理の準備が進んでおらず、事実上営業が出来る状態ではないとのこと。そこで近隣のトンカツ店を紹介してもらいました。
当初の目的のひとつは達成出来なかったものの、十二分に美味しいトンカツと地元の野菜を堪能。ヴィラ・アフガンさんからの紹介があったこともあって、素敵なもてなしをして頂きました。
走行距離が長いこともあり、山の天候が変わりやすいこともあって、それからの道中は晴れたり雪が降ったりの繰り返し。それでも分杭峠へと近づくにつれて雪は段々と強さを増しました。
分杭峠まであと300メートルに迫ったところで突然車は止まりました。
何と太い杉の木が薙ぎ倒されて道を塞いでいました。
倒れた木のところまで行ってみましたが、男四人の力だけではどうにもならないことを思い知らされ、バックでしばらく戻り、どこかでUターンして帰ろうということになりました。しかしその時、後ろからトラックが・・・。
智雄さんたちがトラックを誘導したものの、ノーマルタイヤのトラックがスリップしてUターン出来ずに苦労をしているところに、今度は赤い乗用車が登ってきました。
30分後にやっと皆Uターン出来、事なきを得ました。車3台の立ち往生のために分杭峠で遭難して新聞沙汰などはまっぴらでした(数年前知人のSさんは雪山で遭難。ヘリコプターで救助され新聞沙汰になったのは記憶に新しいところ。僕らが常に気を付けていることは、僕らに何かあると「さだまさしの」というフレーズが付いてしまい、まさしに迷惑がかかる可能性があることなんです)。
帰りの中央道は打って変わり快晴になり、澄み切った透明感と雄大な風景を堪能。
そして無事に帰京し、急遽「彩風」のてっちゃんも加わってみんなで楽しい中華バイキング。
当初の目的は達成出来なかったものの、誰も怪我をせず、大きなトラブルにも見舞われずに済んだので、楽しい宴会になりました。
「やらなければ絶対に出来ないけれど、やったからといって絶対に出来るとは限らない」という至極当然の結果にはなりましたが、まさかこのようなオチが待ち受けていることを誰が想像出来たでしょうか。大雪のために料理が間に合わないことがあり、片道250キロメートルの道程のうち、最後の300メートルだけが通れずに成就しないことがあるということです。いくつもの高いハードルを乗り越えて99%が無事に済んでも最後の最後で自力では叶わないこともあるということです。
過程ではなく結果だけが大切な今の時代にあって、会話が弾んだ楽しい「過程」と“壮大な無駄”かもしれない今日の「結果」は四人にとって一生忘れられない素敵な思い出になったと思います。
智雄さんを始め、皆さんありがとうございました。