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予感 3

“私は犬に叱られた”
3月下旬にまさしがスタジオ入りした時、「あのさ、今日ね、犬に叱られた夢を見てさ」と話し始めました。
それが実際の曲になったのですが、それに輪をかけるようなとんでもなく素晴らしい弦のアレンジを渡辺俊幸さんがしてくださいました。
3月27日にレイン・ソング・ギターを録り、弦のダビングは4月9日に、松原正樹さんのギターは4月10日、歌入れは4月12、13日にやり、ミックス・ダウンは4月23日にやりました。
13日にいったんまさしも僕も満足出来る歌入れが出来ました。まさしがコントロール・ルームに戻ってきそうになりましたが、ふと思い立ってスタジオのドアのところまで僕が走っていって、もう1テイク更にテンションが高いものをお願いしました。まさしは快く応じてくれ、その結果1テイクでは終わりませんでしたが、物凄い歌を録ることが出来ました。やはりこうしたその場の“ノリ”的な集中力というか、凝縮力は凄いものがあると再認識しました。

“茨にもきっと花咲く”
これから旅立つ人に向けた応援歌になるように作りました。
3月17日にレイン・ソング・ギター、12弦ギターを入れ、4月2日にトゥリー・オブ・ライフや例のパーカッションを入れ、4日に一本茂樹さんのウッド・ベース、朝川朋之さんのハープ、桑山哲也さんのアコーディオンを入れ、7日に歌を入れました。
そしてミックス・ダウンは4月21、26日に。
まさしの希望により、レコーディングでもミックス・ダウンでも全体的にフィル・スペクターのサウンドを意識したものにしています。

“静夜思”
唐の詩人・李白の作品に触発されて作った実に味わい深い作品になっていると思います。個人的にはこういう作品は大好きです。
未だかつてこの曲ほどレコーディングでリテイクを繰り返した作品はなかったように記憶しています。
3月7日に最初のギター(トゥリー・オブ・ライフ)を録り、4月6日にガット・ギターを、7日に歌を入れ、14日にベイシックのギター(トゥリー・オブ・ライフ)を差し替え、15日に歌を差し替え、22日にギターを差し替え、歌を差し替え、26日にイントロやエンディングのギター(ハーモニックス)を追加した後、三度目の差し替え、ミックス・ダウンは28日。この曲が一番最後までやっていた曲です。
個人的には、特にこの曲の空気感、温度感、立体感、世界観への思い入れが強く、曲のイメージを解りやすく表現しようと、レコーディング、エディット、ミックス・ダウン、マスタリングでこだわり抜きました。

“予感”
アルバムのタイトル曲になったこの曲は一番最後に詞曲が出来上がったものです。
4月3日にトゥリー・オブ・ライフを入れ、9日に弦とハープを入れ、10日にギターを差し替え、12日に歌を入れ、23日にミックス・ダウンをやりました。
「片恋」で始まり、「予感」で終わりますが、そこまで聴いてきてみると「片恋」に戻って行くことが解ると思います。もしかするとこんな風に「人を想う」気持ちは永遠にループするのかもしれません。

コメント

八野さん、こんにちは。
内容の濃い解説に、毎回、大きく頷いたり、感動したり、驚いたり…と楽しく拝読しています。
本当にありがとうございます。アルバム「予感」の最後の4曲についても、相変わらず偏った感想ですが綴ってみます。
「私は犬に叱られた」
このタイトルを見て、てっきり「私は犬になりたい」のアンサーソングで、曲調もコミカルなものかと軽く思っていましたら、何と何と!こういう歌詞の発想は普通到底できるものじゃありません。それを夢で見るのも驚きですし、そこからこれだけの唄を創出してしまうのもいやはや凄いです。また、渡辺俊幸さんによる、各パートがスピード感の溢れるフレーズの連続で、緊張感が見事に表現された渾身のストリングスアレンジ、実に素晴らしいと思いました。
「茨にもきっと花咲く」
「その橋を渡る時」のライナーノートにも触れられている人生観に通ずるまさしさんらしい応援歌ですね。12弦ギターの倍音豊かなストローク感が何とも心地よいです。12弦ギターというと「最終案内」「きみのふるさと」がすぐに思い浮かびます。その中でも12弦のストロークとなるとやはり「きみのふるさと」で、YAMAHAの12弦ギターをかき鳴らすさださんの姿が思い出されます。YAMAHAの12弦、コンサートでも活躍しそうですね。

「静夜思」
「春告鳥」「玻璃草子」といった作品のもつ独特の空気感や世界観が感じられる曲ですね。だからこそのこだわりが解説から、アルバムの音からも伝わってきました。
前にコメントしたイントロのあの音はゆはりハーモニクスだったのですね。絶妙なタイミングで入るこのハーモニクスがエンディングも含めて実に印象深く、そして空気感を見事に創出しているように思いました。
「ビートルズとベルリン・フィル」でもコメントした通り、このアルバムの中で心に残る楽曲の一つになりました。

「予感」
さださんらしい臨時記号が効果的に入ったメロディーラインに渡辺俊幸さんのストリングスアレンジが心地よく、「片恋」にもつながる「人への想い」のぬくもりや幸福感がしっとりと心に伝わってきました。渡辺俊幸さんのストリングスはいつまでも聴いていたくなりますね。何度もリフレインしていてほしい…と思うのは私だけでしょうか。
本当におだやかな想いでこのアルバムを聴き終えることができました。
長々と下らぬ感想にお付き合い下さり、ありがとうございました。

Jun.さん、こちらでもコメントありがとうございました。

「予感」(曲)は、3月に入った頃から、まさしがディズニー風のものも作りたいと言っていたものだと思います。
彼がディズニー風と呼ぶのは、歌詞ではなく、メロディが半音進行し、コードも半音進行することを指すことが多いです。
具体的に書くとサビの「ように」の部分です。これと同じ手法は「おむすびクリスマス」の「クリスマス」の部分です。
この手法を使うと、まさしや僕がディズニーの音楽に対して描く共通のイメージの特徴を表すことが出来ます。もっともこんなことはディズニーの音楽を聞く全員の共通イメージではないでしょうが・・・。

“私は犬に叱られた”
さださん、怒ってます!怒った犬が乗り移ってます!
渡辺さんの弦が、これまたもの凄く怒ってます。
怒りの弦、荒れ狂う弦、巻き上がり、唸り渦巻く弦、“加速度”で初めて聴いた、ぎこぎこ弦、のような強烈な印象、理不尽さが思いっきり表現されていて、怖いぐらいです。

人間の相槌、最後の「あ~、もっともだ」、見事な表現力!
完全無欠圧倒的作品!という印象。

“茨にもきっと花咲く”
ゆったりとしたテンポ感がとても心地よい曲ですね。
なんとなーく南国ムードが漂う気がして、途中からつい、“It never rains in California”、って歌が出てきてしまいました。
とても爽やかで素敵な応援歌、大好きな一曲です。

“静夜思”
美しい言葉、美しい旋律、見事に融合していますね。
究極の片恋、「地球」の、「月」に寄せる想いとして、味わいの深い仕上がり、このメロディーが頭から離れないのは何故でしょう。

“予感”
静かにひたひたと始まるイントロ、“たずねびと”を想い起こしつつ聴くうちに、朝焼けが、しずしず広がり夜が明けていく・・・
なんとな~く感ずる、もしかしたら・・・、の予感・・・そんなふんわり感が、上昇音階の不思議な入りで、かもし出されているように感じます。情景が、風景が、目の前に浮かびます。

間奏、後奏を聴いているうちに、「心配しなくていいよ、おもひで泥棒なんていない」、頭の中に流れて、「そうだ、そうだ、心配なんかしなくっていいんだ・・・」、そんな安心感に包まれるような気がしてきます。
渡辺俊幸さんの編曲は、本当に美しくて伸びやかで、心が洗われます。

片恋でもいい、自分が幸せなら、それで充分に「しあわせ」・・・
その自己完結が、最後のしめくくりの旋律「し~あわせ~」に表現されているように聴こえ、
だから、私も・・・し~あ~わ~せ~・・・

凛さん、こちらでも詳細なコメントありがとうございました。

いつものことですが、全曲こだわって作ったものですので、かなり細かい部分まで意図的に作ってあります。
「予感」のラストは、おっしゃる通り「しあわせ しあわせ」という歌詞がリスナーの頭の中に浮かぶであろう事を想像して、そうしたものです。勿論、偶然の産物もいくつもあるのですが・・・。

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