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白鳥座/アルバム「DENEB」5.「川風」

LPではA面のラストに収録されたメグが歌ったスロー・バラード。
これもアレンジを安田裕美さんに依頼しました。

最初に録ったベイシック・トラックが本来のコンセプトとは異なってしまって(その演奏も素晴らしいものでしたが、目指していたものとはイメージが少し異なりました)、後日、六本木に出来たばかりのセディックというスタジオでピアノを録り直しました。
そのスタジオには新品のピアノが収まっていたのですが、新しいだけになかなか楽器が鳴らなくて、マイク・セッティングやピアノのタッチに関して試行錯誤しながらのレコーディングになりました(お試し価格でスタジオを使えたのでそういうことが出来ました)。それらの試行錯誤の結果、歌中のニュアンス溢れるアルペジオを実現出来、エンディングでは輝くようなピアノの音で、日が傾いてきた頃の川面を表現することが出来ました。浜口茂外也さんによるパーカッションも川面の光をイメージしていて、サウンドに更なる美しさを加えています。

そしてこの曲でも高比良の歌詞は冴えています。
例えば冒頭の部分ですが、普通は「風は静かに 川面渡って 芦の穂を揺らしてゆくだけの午後」と書いてしまいそうです。ところが彼は「芦の穂を」ではなく「芦の穂影を」としています。そうすることにより、その日の天候とその時間をも分かりやすくし、詩的な表現にもなるようにしています。彼は当時、二子玉川に住んでいたので多摩川の河川敷をイメージしたのかもしれません。
そして「オニヤンマ 飛んで行く」ではなく、「オニヤンマ すべってく」にしたところも、オニヤンマの飛ぶ姿の特徴をよく表していてリアリティが増すと思います。流石です。
この詞曲の持つ「ゆったり感」や「青春の煌めき」と、この安田さんのアレンジや光り溢れるような演奏はベスト・マッチングしていると思います。
メグのヴォーカルも、この曲のゆったりした、柔らかな世界観を見事に表現した最高の名唱だと思いますし(特にクレッシェンド、デクレッシェンドをたったひとつの音の中で繊細に使い分けることで曲の世界観や愛情を表現してもらいましたので美しいことこの上ないものになったと思います)、今回のリマスターで全体の完成度が高まったとも思います。

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