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2015年07月30日

終わった?

先日、大学時代の友人達と酒席を囲んだ。
その時、某大企業に勤務するTとこんな話になった。

T「最近、変な人が多いよね!」
僕「それもさぁ、よりによって人を導くような・・・」
T「60代以上の人だよね!」
僕「そうなんだよ。この前もさ、都心のJRの駅で電車を待って並んでいた時、70代の男の人が俺の2人前に並んでいてね、電車のドアが開いて、降りてくる人がまだまだいるのに、一番前に出て行き、降りてくる人をかき分けて、空いた席に座ったんだよ。また、別の時には、やはり俺が2列で並んでいる横(並んでいる外側)に女性が来て、ドアが開いたら俺の前に強引に割って入って、空いた席に座ったり!」
T「そんなことは日常茶飯事だから、怒っちゃダメだよ」
僕「まぁ、そうだね。血圧を上げるのは良くないよね」

今日も、通勤時に閉まりかけたドアに突進してきてバッグを挟み込ませ、強引にこじ開けて乗ろうとする60才位の人を目の前で見た。
夜遅い帰宅時に、無灯火の自転車がさほどスピードを緩めず角を曲がって来て、轢かれそうになったことは数知れず。
相変わらず、携帯電話やスマートフォンを操作しながら自動車を運転している人を毎日のように見る。どちらも猛スピードで走る凶器だ。
ついこの前の新幹線車内での事件もしかりだが、自分さえ良ければ何をやっても良いと思っている人が増えているのか・・・。
いかなる事情があるにせよ善意の第三者の生命を危うくさせることは絶対に許せない。

もう日本は終わってしまっているのだろうか・・・。

2015年07月27日

影響を受けたCD その130

ワーグナー名演集
http://www.amazon.co.jp/ワーグナー-名演集-ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団-クナッパーツブッシュ-ハンス/dp/B00B8XYVVW/ref=cm_cr_pr_product_top?ie=UTF8

往年の名指揮者ハンス・クナッパーツブッシュがウィーン・フィルと組んで演奏したもので、もう50年以上前の録音ですが、ある意味ではこれを凌駕するものはないかもしれません。
このCDで感じるのは、巨大な立体音響の凄さ。ワーグナーの頭の中にあったのは、きっとこんな凄い音楽だったのでしょう。
かすかな地鳴りから始まり、まるで天までをも振るわせるような、こんな破天荒な響きがウィーン・フィルから得られようとは思いませんでした。個人的なウィーン・フィルのイメージは、もっと上品で、一歩引いて音楽と対峙しているようなわずかにクールなもの。と言ってもこの演奏が下品な訳ではありませんし、客観性が皆無になるほどのめり込んでいる訳でもありません。
あきらかにここでのクナッパーツブッシュとウィーン・フィルの燃焼は凄まじく、カラヤンとベルリン・フィルの名演とも性格が異なっています。
ここでのウィーン・フィル独特の美音と圧倒的な高揚感は比類無きもので、古い録音ではあってもデッカ・サウンドに変わりはなく、最新録音と同等とは言えないまでも立体音響が楽しめる1枚だと思います。

2015年07月25日

ワルトビューネ・コンサート2015

「ベルリン・フィル ワルトビューネ・コンサート2015」を観ました。
と言っても、残念ながらベルリンに行った訳ではありません。
例年行われるワルトビューネ野外音楽堂でのコンサートはとても素晴らしく、自分がベルリン市民でないことを残念に思う大きな理由のひとつです。

今年は映画音楽を数曲演奏した後、ラン・ランがソリストとして登場し、グリーグのピアノ協奏曲(例のさだまさしの「関白失脚」の中間部の華やかなピアノ演奏は、この協奏曲冒頭の部分)が始まりました。
ラン・ランの華麗で確かなテクニックに裏打ちされた、ほとばしる情熱に圧倒されっぱなしでした。
千変万化するラン・ランの音の表情、それを最大限に後押しするベルリン・フィルの芸術監督であるサイモン・ラトルの指揮と、それに応えるベルリン・フィルの職人芸の凄さに言葉を失いました。

後半のベルリン・フィルにとってチャレンジであった映画音楽特集も素晴らしく、相変わらず音楽としての完成度の高さに脱帽でした。
「オーケストラが音楽を作るということは、こういうことだと思う」といつもながら教えられるような音楽。
ひとりひとりがたった今演奏している音楽に対して忠誠で、真摯で、世界一のテクニックと情熱を献身的に捧げています。
そして各セクションのリズム、強弱、音色、表情の合わせ方が絶妙なので、弱音でもトゥッティでもオーケストラ全体のバランスが崩れず、音楽全体が有機的で凛としています。

最後の3曲は映画音楽特集には欠かせないジョン・ウィリアムズ作品でした。
その3曲目に入る前、ラトルが「最後の曲はタイトルは言うまでもありません。フォースと共にあれ!」と言った時、僕のテンションはMAX。
その曲を聴きながら「涙と感動」でした。
画面に映っている聴衆の熱狂的で喜びに溢れている表情が印象的でした。
僕も手に汗握る興奮の2時間を過ごしました。
仕事を離れて僕がブルーレイ・レコーダーに録画する番組の大半がNHK BSプレミアムということもあって、NHK BSプレミアムに感謝の日々です。

2015年07月19日

NHK「SONGS」

「SONGS」の収録を7/10に、エディット&ミックス・ダウンを7/17にやりました。
もしかしたら、ある意味で空前絶後かもしれません。
是非、7/25(土) 23:30〜24:00のオン・エアーをご覧ください。

2015年07月15日

さだまさしアルバム「風の軌跡」下

「風の宮」
まさしはかなり前から伊勢神宮を題材にした曲を作ることを考えていましたが、この曲でそれが実現しました。

曲が出来上がり、デモを録ったのが4/28、ベイシック・トラック録音を5/6、弦などのダビングを5/8、歌入れを5/9の3曲目、エディットを5/7.11.12.13.16、ミックス・ダウンを5/17.21にやりました。

こういうドラマティック・マイナー(僕の造語)は毎回、歌入れも、エディットも、ミックス・ダウンも困難極まるものになります。
歌は9テイク録りましたし、エディットは5日間、ミックス・ダウンも2回やりました。
ミックス・ダウンは間違いなくハンディキャップ1番になるだろうと、やる前から解っていました。

特にここまで楽器が多いアレンジになると、ミックス・ダウン時にフェーダーをわずか0.5mm動かしただけで、他の楽器や歌に影響を及ぼしてしまいます。
もうイタチごっこ繰り返しのようでした。
歌やオケの集中力、力感、拡がり、透明感、温度感などあらゆるものを疎かに出来ませんし、エディットやミックス・ダウンで更に良くすることが必須なので時間が足りませんし、集中力と体力の限界までやり続けました。

レコーディング中でも、制作スタッフ全員が共通のイメージを持つことは大切なことなので、イントロのアコースティック・ギター・ソロは「アル・ディメオラ登場!というイメージのバランスで」とエンジニアの鈴木智雄さんに話したら、渡辺俊幸さんが「そう、それがいいね!」と。
ミックス・バランスといい、質感といい、歴代のドラマティック・マイナーの中でも最も上手くいったと思います。

「夢見る人」
曲が出来上がってデモを録ったのが1/11、正式なレコーディング(歌入れ)のためにデモの歌を採譜し、デモやコード譜と一緒にアレンジャーの渡辺俊幸さんに送りました。
オケの録音は1/25、歌入れは2/12.19、エディットは2/20、ミックス・ダウンは2/22でした。

少しでも良い声、良い表情で歌を録ろうとして何度も何度もトライを繰り返し、ようやく2/19に満足出来る歌が録れて、まさしも僕も胸を撫で下ろしました。録った歌のテイクの数は何と15でした。
ですから、エディットも困難を極めました。選択肢が多いことは僕にとっても良いものを作り出す条件ではあるのですが、15テイクもあれば単純に普通の3倍の時間がかかります。
エディットの際、例えば1コーラス目の1行目を、1〜15テイクを順番に聴いて行きます。その中で出来の良い順番を付け、次の行に進みます。
1行の中でも、少しでも良い部分を他のテイクから探すのは勿論、客観的に良いと思うものがあっても、前後の流れの中では使えないテイクが出てくる可能性さえあります。

本当にこういうシャウトしないバラードは全てが難しいです。
例えば、力むと歌の表情が減りますし、弱過ぎると良い声には聞こえない。このバランスが何とも微妙なんです。
元々メロディ・ラインのイメージからは、柔らかく優しいものが連想されると思います。ですから、デモ録音の時から、本人には「柔らかく美しく歌ってください」とお願いして来ました。
僕にとって、上記のように相反するものをいかに上手く両立させるかということが、オケでも歌でもミックス・ダウンでも最大の課題でした(勿論、この曲だけではなく、全ての曲で、ですが)。
全てのバランスが整った歌、演奏、エディット、ミックス・ダウンがこのCDに収録されているものです。
サウンド的にも「TBSテレビ60周年特別企画 日曜劇場 天皇の料理番」の主題歌に相応しいものになったと思います。

「風に立つライオン(シネマ・ヴァージョン)」
1987年の春の夜のことでした。
深夜0時過ぎにまさしから僕の自宅に電話がありました。
「今、作っている曲が1コーラスだけ出来たから聴いて」と言われ、電話で聴かせてもらったのが「風に立つライオン」の1コーラス目でした。
聴かせてもらった後、僕は茫然自失。感動に打ち震え、涙を浮かべていました。
まさしは「(黙っちゃって)どうしたの?」 僕は「感動で泣いてました」と。
「自分では、ここの部分が気になるんだけど、どうかな?」とまさし。僕は「気になりませんし、それがある方がいいと思います」と。
「じゃぁ、これから2番の歌詞を作ってみるよ」とまさしは言い、電話が切れた。
10分後位にまた電話がかかってきた。
2コーラス目を聴かせてもらった。
「最高です。これから歌い継がれる曲になると思います。アルバムの目玉になりますね」と僕。

その日から27年以上の時が流れた。
その間のこの曲への評価は周知の通りです。
映画「風に立つライオン」のためにリテイクをすることになり、まさしと話して、シンフォニック・コンサートの時のスコアを使ってレコーディングすることにしました。
オケの録音は2014年12月28日、歌入れは12/29にやりましたが、歌い慣れている曲なので、1〜2回声出しで歌った後、録ったテイクは3つでした。
エンディングのコーラス録音を1/7、エディットを1/5.8.9、ミックス・ダウンを1/10にやりました。
録りもエディットもミックス・ダウンも全てが上手く行き、満足出来る仕上がりになりましたので、1987年の春の夜のこと、その時の感動を鮮明に思い出しました。
いつ聴いても、何度聴いても、それぞれの方が最初にこの曲を聴いた時の感動が甦るような、普遍的なものを目指しました。

この曲に限らず、今回も特にレコーディング・エンジニアの鈴木智雄さん、マスタリング・エンジニアの鈴江真智子さん、アシスタント・エンジニアの齋藤春樹さんに無理難題を言い放しだったかもしれませんが、皆さん素晴らしい仕事をしてくださいました。

<最後に>
今回も、さだまさし本人のいつもながらの頑張りには脱帽でしたし、最高の譜面を書いてくださったアレンジャーの渡辺俊幸さん、倉田信雄さん、最高の演奏を提供してくださった沢山のミュージシャンの皆さん、エンジニアの鈴木智雄さん、谷健太さん、齋藤春樹さん、島田枝里花さん、春 雅之さん、マスタリング・エンジニアの鈴江真智子さん、楽器テクニシャンの小松一英さん、ミュージシャンズ・コーディネーターの関谷典子さん、アキュフェーズさん、アコースティック・リヴァイヴの石黒謙さん他、数多くの皆さんの協力で目指していたものが出来上がりました。心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

2015年07月13日

さだまさしアルバム「風の軌跡」中

「青空背負って」
2014年12月6日に曲が出来上がり、デモを録り、そのエディットとミックス・ダウンを12/7にやりました。
ベイシック・トラック、弦などのダビング・トラックの録りは12/28、歌入れは12/29におよそ3時間かけてやりました(録った歌のテイクは8つ)。
エディットは1/6.7.8.9、ミックス・ダウンは1/10.11でした。

この曲のエディットの最中、まさしから「サビをきっちりハモらせたい」と連絡があり、エンジニアの齋藤クンと共に格闘したので、思いの外エディットに時間がかかりました。企業秘密のようなものなので、その内容をここでは書けませんが、完璧なハモリになっていると思います。アレンジャーの渡辺俊幸さんは後日、ミックス・ダウンした音を聴いて、このハモリの見事さに驚いてました。

ミックス・ダウンでも、日本ソフトテニス連盟の公式応援ソングに相応しいように躍動感、爽やかさ、拡がり、青空を特に意識しましたので、映画「案山子とラケット〜亜季と珠子の夏休み〜」の主題歌としても良い出来になったのではないかと思います。

「梁山泊」
この曲の成り立ちに関するエピソードは、CDブックレットにまさしが書いたものをお読みください。
2/26に曲(NHKドラマ「ちゃんぽん食べたか」用の3曲)が出来上がり、デモを録りました。
この時から、僕も周りのスタッフも、この「梁山泊」のあまりのインパクトに衝撃を受け、その歌詞とメロディは全員の頭の中を駆け回り続けました。アルバム用にレコーディングしましょう、と話をしました。
ただ、あまりに飛んでいるので、この曲はTake It All JAPANの3人で歌うことになりました。アレンジは倉田信雄さんにお願いしたのですが、意図をくんでくださり最高のサウンドになったと思います。

ベイシック・トラック録音は4/26、ダビングは4/27、5/6、まさし、倉田さん、木村さんの歌入れは4/27、エディットは4/30.5/4.5.14、ミックス・ダウンは5/15でした。
曲のイメージに沿った歌にするべく3人とも何度もトライを重ねました。まさしは5テイク、倉田さん、木村さんはそれぞれ13テイクずつ録っています。
まさしの歌を5テイクを使って最初にエディットし、それに対して表情、発音、ノリなどが合うような倉田さんと木村さんのテイクを選び、エディットして行きました。
結局、エディットで3パターンのイメージのものを作り、3人にも聴いてもらって、その中から選んだものが最終的なOKテイクにしました。

ミックス・ダウンの時に参考音源として、サン=サーンスの「動物の謝肉祭」の中の「水族館」、映画「ハリー・ポッター」シリーズのサントラ盤を持って行き、エンジニアの鈴木智雄さんに聴いてもらい、共通イメージを持って作業を進めました。
これから何が始まるのだろうというような期待感、幻想的な音空間、奇妙なリアリティを感じて頂けましたでしょうか。

「問題作 〜意見には個人差があります〜」
今回のアルバムの曲作りのために4/11からスタジオにこもりました。
4/20頃だったでしょうか、まさしが「凄く馬鹿馬鹿しい曲を考えているんだけど、サビで、意見には個人差があります、って何度も叫ぶんだよ」「人間、生きていると頭にくることも沢山あるじゃない!?」「日頃、それぞれが頭にきていることを書いて、具体的な皆の怒りをまとめて」と。
勿論、あまりにもシリアスなこと、微妙なこと(政治、宗教、イデオロギーなど)は除き、市民が普通に暮らす中での「怒り」に焦点を合わせて、まさしが曲を書きました。

曲が出来上がり、デモを録ったのは4/28。出来上がった段階ではタイトルが「日本が意見には馬鹿で個人差が薄まってゆくあります」というものでした。これは「日本が馬鹿で薄まってゆく」と「意見には個人差があります」の単語を交互に並べたもの。最終的には分かり易い方がいいということになり、「問題作 〜意見には個人差があります〜」になりました。

ベイシック・トラック録音を5/6、弦のダビングを5/8、歌を5/9の4曲目に録りました(録ったのは11テイク)。エディットは5/11.14、ミックス・ダウンは5/15の1曲目。
楽器バランスを完璧にするのは当然として、オケと歌のノリが合うように、テンション・温度感が合うように細心の注意を払いながらエディットやミックス・ダウンを進めて行きました。
暮らしやすくて安全な世の中、理不尽なことがまかり通らない世の中、人が見ていなくてもコツコツと真面目に努力している人が報われる世の中になって欲しいものです。

「逍遙歌 〜そぞろ歩けば〜」
加山雄三さんから依頼されて2012年にさだまさしが歌詞を書かせて頂いた曲です。
「若大将のゆうゆう散歩」のテーマ曲に相応しいように、「逍遙(そぞろ歩き)」という言葉が使われ、加山さんがお好きな「案山子」を思わせる内容のものになりました。

ベイシック・トラック録音を4/26、弦などのダビングと歌入れ(6テイク)を4/27、エディットを4/30.5/1.4.14、ミックス・ダウンを5/17.21にやりました。

加山雄三さんが既に歌われた曲なので、そのイメージを汚してはいけません。
まさしも僕も緊張しながら歌入れ(レコーディング)に臨みましたが、結果的にハートフルなテイクが録れ、お互いにホッとしました。加山さんのヴァージョンとは異なる魅力が出せたとも思っています。
最終的に曲順を決める際、まさしも僕も「梁山泊〜問題作〜逍遙歌」という並びを考えていましたが、この曲のお陰でアルバム全体が良い流れになったと思います。

2015年07月10日

SONGS

本日はNHK「SONGS」の収録でした。
エディットもミックス・ダウンも、まだこれからの作業ですが、オン・エアーは7/25に決まっています。
乞うご期待、です!

2015年07月09日

さだまさしアルバム「風の軌跡」上

「ふるさとの風」
この曲を作った経緯はアルバムのライナーノートにまさし本人が書いた通りで、原曲は2013年9月1日に出来上がりました。
それは曲サイズが10分を超えるものだったので、「風の軌跡」に収録するにあたりダウンサイズすることにし、まさし本人と話し合いの末、2013年に録ったデモを2015年4月27日にエディットして短くし最終的なサイズ(エディットしたデモの段階では5:30ほど)にまとめ、それを編曲者の渡辺俊幸さんに渡しました。

ベーシック・トラックの録音は5/6、弦などのダビングは5/8、ヴォーカルは歌入れ初日の5/9で、最初に録ったのがこの曲でした。
この日はまさしの声の調子がとても良かったので、何と4曲も歌入れが出来ました。1日に4曲も歌入れをするのはとても珍しいことです。
声出しを兼ねて数回通して歌った後、4テイク録り、5/11、12、14にエディットしてOKテイクを作り、5/16.17にミックス・ダウンを行いました。

これまでも(アルバムを制作する際)アルバム全体の統一感を計りながらも、1曲1曲の個性を出すようにしてきましたが、録り、エディット、ミックス・ダウンで個人的に一番こだわったのは、一番説得力があり、感動的でもあるテイク(歌)をセレクトすることは当然のことですが、声の響きとダイナミクスをいかにオケとマッチングさせるか、ということでした。
東日本大震災関連のことがテーマの曲ですので、まさしの声のあたたかい温もり、(聴いてくださる方全てを包み込むようなイメージで)優しさを増すようにすると共に、実際の音楽の音場感というだけでなく、普遍的でもあり、未来に向けて拡がって行くようなサウンドを作ることでした。

「みらいへ」
ジャパネットたかたさんのCMオン・エアーに間に合うように、曲作り、録音が行われました。曲作りとデモ録音は1/11、ベイシック・トラック録音及び弦などのダビングは1/25、歌入れを1/11.26、エディットを1/26.27.28にやり、ミックス・ダウンを1/30に。それでギリギリCMオン・エアーに間に合いました。
歌は6トラック録り、それをまとめてOKテイクを作り、ノイズをカットするなど細かいエディットをしました。

この曲のサビをお聴き頂くと、それ以外の部分と声の感じが異なるのにお気付きでしょうか?
実はエディットをやっている時にまさしから「サビの歌をダブルとかトリプルにして欲しい」と連絡があり、今回はいつもの方法とは異なることを敢えてやりました。
通常はOKテイクに別のトラックの歌をひとつ重ねるダブル、2つ重ねてトリプルという風にするのですが、今回は個人的にはもっとピュアな響きが欲しくて、OKテイクを4つコピーしてOKテイクが入ったトラックを4つ作り、その2つを大きくずらす、残りの2つを小さくずらすことで、合計5つの歌(声)にしています。それらの音像定位をも工夫することによって、拡がりがあるのに濁ってないピュアな響きになったと思います。
ジャパネットたかたさんのCMで使用された、まさし自身が選んだ当時ハイティーンだった方のピュアな瞳の美しさに感動したこともあって、このようにしました。

「ラストレター」
4/29に曲が出来上がり、デモを録りました(最後に出来上がった曲です)。
ベイシック・トラック録音は5/6、弦などのダビングは5/8、歌は5/9の2曲目、5/11.13.14にエディット、5/16の2曲目にミックス・ダウンをやりました。

曲全体のダイナミクスは「ふるさとの風」と共通するところがあり、柔らかいイメージを大切にして、歌も10テイク録った中から、表情の良さ、温かさ、優しさなどを優先してセレクトして細かいエディットをやって行きました。
この曲に限らず、柔らかく歌った曲は、バックの楽器のアタックや楽器の音の重なりによって、聞こえづらくなることがしばしばあります。
そういう場合、聞こえづらい歌詞のアタックのみをエディットでレベルを上げて行きます。例えば、「こ」が「お」に聞こえてしまう場合、その部分の歌の波形をMacのProToolsというソフト上で出して、「K」の部分のみのレベルを上げる訳です。
このようにして行くと、1曲のエディットは数時間から数日かかってしまうこともあります。
楽器でもこのようなことが出てくるので、演奏のエディットもやることになります。

そして特にこの曲で僕がこだわったのは空間処理、音場感でした。
この曲の「故郷を捨てた人の故郷を懐かしむ言葉が 深夜の空から降り注ぐ」という歌詞が僕を揺り動かし、イントロ、間奏、エンディングのピアノの音が「深夜の空から降り注ぐ」ようにしたいと思いました。エンディングのハミングもしかりです。エンジニアの鈴木智雄さんはそれによく応えてくださり、ノスタルジックで、美しくて、見事な音空間になっていると思います。

2015年07月08日

発売日!

本日はさだまさしのアルバム「風の軌跡」の発売日です。
どうか思いが届きますように。

2015年07月04日

影響を受けたCD その129

ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界から」
ボルティモア交響楽団/指揮:マリン・オールソップ
http://www.hmv.co.jp/artist_ドヴォルザーク(1841-1904)_000000000019851/item_交響曲第9番『新世界より』、交響的変奏曲%E3%80%80オールソップ&ボルティモア響_2735023

マリン・オールソップは1956年に生まれ、1989年にタングルウッド音楽祭クーセヴィツキー賞を受賞し、レナード・バーンスタイン、小澤征爾さんに教えを受けたアメリカ人女性指揮者。2007年からボルティモア交響楽団の音楽監督に就任したことで、アメリカで初めてメジャー・オーケストラの音楽監督を務める女性指揮者となりました。
マリン・オールソップのCDを聴いたのはこれが2枚目(初めて聴いたCDはブラームスの1番)ですが、真面目で端正な音楽作り、オーソドックスな音楽作りをする人という印象です。
このCDでもその印象は変わらず、情に流されずに淡々と音楽を進行させ(無味乾燥という悪い意味ではありません)、スコアに音楽を語らせる手法を採っているように思われます(とは言え、歌心はしっかりあって感動的です)。
イシュトヴァン・ケルテスがウィーン・フィルを指揮した「新世界より」のダイナミックにして、洗練された、情の細やかな演奏は個人的には大好きですが、時にはこういった「スコアに語らせる」演奏も聴きたいと思う時があるのも事実です。
最近「新世界より」が聴きたくなった時に、CDの音質が優れていることも手伝って、まず最初に手に取るCDはこれです。
聴いていると、デュナーミクとアゴーギクが極めて自然なので、美しさと感動で心が満たされます。

2015年07月03日

このところ・・・

アルバムのレコーディングが5月末に終わってからも、いくつものテレビ収録(生放送を含む)のためにバタバタの日々が続いています。
事前の打ち合わせは言うに及ばず、収録後もエディット&ミックス・ダウンをやらなければならないため、ひとつの番組に4日程度は関わることになります。
佐田玲子の日光でやったジョイント・コンサートのためのアレンジをやったり、そのコンサートに立ち会ったり、水曜歌謡祭で島根県邑南町に行ったりもありました。
このあと残っているのは、明日の生放送「THE MUSIC DAY〜音楽は太陽だ。〜」(日本テレビ)、他。
さだまさしも僕らスタッフも相変わらず活発に活動しています。