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「月の歌」ツアー、そしてアルバム「永縁」

「さだまさしコンサートツアー2016 月の歌」コンサートが一昨日、昨日、埼玉の大宮ソニックシティで催され、昨日がツアー最終日でした。
本ツアーへの沢山のお客様のご来場、誠にありがとうございました。
ツアー・ファイナルの昨日は「夢であいましょう」が追加され、アルバム「永縁」から、「遠くへ行きたい」を含めて2曲歌いました。

レコーディングの歌唱では、たとえ1日時間があっても、そこで必ず何曲も録れる訳ではありません。本人の疲労が蓄積している日もあれば、元気であっても声が出ない日もあります。声が出ても、それが鼻声であれば、その日は録らないことも。
まさしと36年以上一緒にレコーディングをしてきた経験では、確か1日5曲の歌入れが一番のハイペースだったように記憶しています。
ただ、1日に3曲も録れてしまうと、次の日は声が出にくいということはしばしばありました。
1曲に1.5〜2時間程度費やして、1日で2曲録れれば万々歳です。
そういう中でも、時折1曲30分などという離れ業もあったりするので、歌入れというものは不思議なものです。

最新アルバム「永縁」で一番記憶に残っている歌入れは「女ひとり」です。
8月25日にアルバム「永縁」の歌入れを始めたのですが、坂本スミ子さんが歌ってくださったオープニングの「夢であいましょう」からスタートしました。
それが終わり、その日は中村八大さんのご子息・力丸さんが立ち会ってくださったので、力丸さんの要請でアルバムに収録することになった「生きるものの歌」から始めました(まさしの歌に関してです)。間奏の台詞は録ったものの、後日やり直しました。
初日には、もう1曲「芽生えて、そして」を録りました(この曲はまさし自身がこのアルバムの中で一番歌が難しいと思っていました)。

次の26日の歌入れで、「おさななじみ」を録った後、「女ひとり」に取りかかりました。
1回声出しを兼ねて歌ってもらった時、トークバックで「もう本番(のテイク)を録りましょう」と伝えました。
2〜3テイク録った時、「ありがとうございました。これでOKです」と伝えたら、まさしは「えっ、ホント? もういいの?」と。
「最高です! これを使わせて頂きます」と僕。
トークバックでのそんな会話があって、まさしはコントロール・ルームに戻ってきました。
「あ〜、良かった。録れて!」とまさし。
声の調子が良かったので、その後、「上を向いて歩こう」を録って、その日の歌入れは終わりました。
本人が帰った後、僕とアシスタント・エンジニアの齋藤クンが残って、演奏部分のエディットに突入し、21時半にその日のスタジオ作業を終えました。

レコーディング・スタジオでディレクションをしていると、不思議な感覚にとらわれるというか、鳥肌が立つというか、数々のそういう思いを経験してきました。
素晴らしい演奏であろうが、歌であろうが、OKテイクになる(する)ものは、その曲を録り始めて数秒、或いは何小節かで分かります。
スタジオ内の空気というのか、波長とでもいうのか、演奏者、歌唱者、僕やエンジニア達全員の集中力、波長などが揃うとOKテイクになるように思います。
本当にこれは不思議な感覚です。

今回の「女ひとり」の歌入れもそんな感じでした。
良い声、良い表情、音程やリズムの合わせ方などと並んで、僕はある種の色っぽさを大切にしています。
それら全てが「女ひとり」の歌唱で見事にはまりました。
その瞬間を感じたので、声出しを始めてすぐに「本番を録りましょう」となった訳です。
後日、懇意にしている音楽関係者から電話を頂きました。「八野さん、私、女ひとりの歌にやられました。さださんの声が何とも色っぽいですね!」と。
伝わる人には伝わるんだな、と事務所のデスクで思わずニンマリしてしまいました。

コメント

うわ~、スゴい。それしか言えません。

ただそれを、書かずにいられなくて。

Takaishiさん、こんにちは。
コメントありがとうございました。

不思議な体験はあるものですね。
今までさだまさしは数多くのアルバムをリリースしてきましたが、今回の「永縁」の歌唱は最も素晴らしいものだと思っています。

もうこの記事を読んで、「永縁」を買うことに決めてて、昨日手に入れました。
さてさて私にも「色気」を感じることができるでしょうか、ご紹介ありがとうございました。

Takaishiさん、コメント並びに「永縁」のお買い上げ、ありがとうございました。

「色気」を感じる、感じないは、もしかすると個人個人の「色気」の定義によるのかもしれません。

でも音楽をやってらっしゃるTakaishiさんは、きっと感じ取られるのではないかと思います。

こんにちは、八野さま。「女ひとり」の「色気」を感じたかは自信がないです。「ウエディング・ドレス」も聞いて、「音と言葉」を思い、「ああ、これが男の歌う女心?」と思いました。さだまさしさんの引き出しのいくつかですね。
こういう風になると、触発されたか、「不器用な花」を聞いてしまうんです。そして「必ずいつか報われるだろ」あたりでベソかいちゃうんですね、ここは男の人生の先輩の「男の色気」でしょうね、また違った音の持つものを感じました。声もいいです。
ああ、生活に疲れた男がひとり。(笑)
「不器用な花」の頃のさださんより、今の私の方が年上なんだけどなあ、52歳。
長くなりました。失礼します。
この時期は忙しいでしょうか、よいお年をお迎えください。

Takaishiさん、おはようございます。
コメントありがとうございました。

心の中に「相手(対象物)を愛する気持ち」があれば何らかの「色気」は出るのではないかと思っています。
今回の「永縁」はさだまさしの、永六輔さん、中村八大さん、いずみたくさんへのリスペクトの気持ちを表したものですから、自然に「色気」は出るとも思います。

良い年をお迎えください。

投稿が多くなり申し訳ありません。

八野さんの「さだまさしの、永六輔さん、中村八大さん、いずみたくさんへのリスペクトの気持ちを表したもの」で「私も既に感じていた」ことに気づきました。私にとっては「色っぽさ」という言葉が自分の眼を曇らせた、かといって「ニュアンス」ぐらいしか言葉が浮かびません。あとは「リスペクトが伝わって来る」か。僕が使ってしまった「色気」は、確かに伝わってきます。

八野さんに伝えたかったので、読んでいただけたら、このコメント、ボツにでも。ありがとうございました。

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